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『まんが訳 稲生物怪録』【マンガ感想】

今回、コミック作品の『まんが訳 稲生物怪録』の感想について記したいと思います。好きな創作物の感想など(8)

『稲生物怪録絵巻』のファンアート(のつもり)


『まんが訳 稲生物怪録』
コミック(原作:絵巻物):大塚 英志(監修)、山本 忠宏(編)(2021:ちくま書房)全1巻

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(あらすじ)
寛延2年(江戸時代)、とある備後国三次の武家の子息、稲生平
太郎(16)は、友人の権八とともに肝試しを競うため比熊山に入る。そこにあったのは触れると物怪の祟りがあるとされる「天狗杉」。果たして山を下りた平太郎の住む屋敷には夜な夜な様々な怪異が訪れる。物怪と平太郎との1月にわたる対峙の様子を描いた物語。

主人公と様々な妖怪が対峙する(戦う)物語はコミックやアニメでも定番のストーリーといえますが、それでは、もっとも効果的でコスパが高い戦い方とは?

それは、「何もしないこと」 そんな、不思議な面白さのあるマンガです。

まず、前説明として重要なことは、本作はコミック売り場(マンガコーナー)に置いていないこと。
わたしは図書館の「民族学」のコーナーでこれを発見しました(借りて読みました)。

そして、前説明の2として、本著の原作者は江戸時代に遡ります。
これは、『稲生物怪録絵巻』の絵巻物の写真画像を(勝手に)切り貼りして(無理くり)コミック仕立てにしたもの。

その物怪(妖怪)の斬新さやデザイン性が魅力的です。

(実際に見たのではないかと思えるくらいの「想定外」の造形なのです。
  また、プリミティブで、キュートでもある)

が、それにもまして、「絵巻物」に描かれるキャラクター(原図そのもの)の顔立ちや表情とかけあわせて、
とにかく主人公の安定感、物おじのなさとゆうか、反応のなさがとにかく面白い。

それは対照的に周囲の脇役の慌てふためく様子によってさらにきわだつ。

相手は老婆の生首など、絵にも恐ろしげな姿であり、しかもしつこい。
主人公の対応は、
1.とりあえず、ほうっておく
2.疲れて、寝る
3.何事もなかったかのように、なんとなくやりすごす

少年ジャンプの編集者なら、めちゃくちゃ怒られそうな、主人公の対応なのですよ。

本作は以下のサイトで部分的に試読できます(言葉ではうまく表現できないので)。

(引用元)カドカワ / コミックウォーカー 『まんが訳 稲生物怪録』

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