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『現実逃避していたらボロボロになった話』【マンガ感想】

好きな創作物の感想など(4):今回、コミック作品の『現実逃避していたらボロボロになった話』の感想について記したいと思います。

『現実逃避していたらボロボロになった話』
コミック:永田カビ (著) (2019:イースト・プレス刊 )全1巻

『膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました。』
コミック:永田カビ (著) (2022:イースト・プレス刊 )全1巻(前作の続編)

(あらすじ)
マンガ家の主人公(作者自身)は暴飲・暴食などの不摂生な日々のすえ、ついにアルコール性急性膵炎と脂肪肝により入院。
自律が難しい彼女は食べ物や酒類の誘惑に勝てないばかりか、病院から脱走までしてしまう。
やがて、病気からの回復の過程でマンガ家として生きる道筋を自身でみつける。
その一連の顛末を描いた(非?)日常エッセイ漫画。

同作者の作品では『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の方が著名と思えるし、わたしが同作者の作品で最初に手に取ったのも、当作品でした(紙の本で買った!)

しかし、当作品はかなりウェイトがあり、読むのにもエネルギーが必要で、ましてこれを語るには自分ではまだ難しさがありました。

それに比べると、今回紹介する、一連の『膵炎』シリーズは比較的読みやすく、エンタメ要素も高く感じられるので、取り上げた次第です。


『現実逃避していたらボロボロになった話』より:ファンアートとして
病院から脱走する作者

本作も疲れた夜に読むのにぴったりです。
理由はわからないのですが、読んでどこかほっとするんですよね。

作者様の作品はすべて作者自身の実体験がもとになっているノンフィクション作品で(作中エッセイコミックとして語られる)、その実体験こそが目玉となっています。

なので、その内容に注目されがちですが、

わたしが、当作者様のマンガをみたとき、まず絵に惹かれました。「魅力的な絵だなあ」と。

とても絵が上手いと思うし、魅力にあふれる絵で、この絵で当作者様のオリジナル創作マンガがあったらいいなと素直に思いました。

シビアな内容に反して、描かれるキャラクターはほんとうに生き生きしています。

  自堕落な生活ぶりから発病し、入院するまでの経緯も興味深い題材となっているのですが、作者の素の姿(それもどちらかとゆうと褒められたものではない姿)に、クリエイターとしての作者の姿が、もう一枚のレイヤーとしてかぶさっているところが面白いと思いました。

  特異で非日常的生活感、そこにマンガ家(クリエイター)としての作者自身が投影されているとゆうか、急性膵炎がクリエイターであるからこその証(あかし)であるような。

当初エッセイコミックから脱し(両親が悲しむからとゆう理由も語られ)、オリジナルの創作マンガに取り組みながら、それが進められず苦悩する、それが原因となってさらに飲酒や暴食につながってゆく。

しかし、あるnoteに投稿されたエッセイ記事をきっかけとして、否定していた『エッセイコミック』を自分自身のジャンルであると気づき覚醒してゆく、そして回復してゆく姿はシンプルに感動できるのではと思いました。

  また、場面としては少ないものの、家族とのやりとり(父親から「お前をを宝だと思っている」)なども、心打たれるシーンでした。

 そして、入院中の病床で自作(「さびしすぎてレズ風俗に・・」)が国外でハーベイ賞を受賞した旨を受け取るシーンや、入院したとたんこれまでにない程のマンガの発注を受けるシーンなど、実際にあった作者自身のクリエイターとしての生活も垣間見えて興味つきない作品でした。

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