(第26回)喋る点字ブロック:コード化点字ブロック体験記


コード化点字ブロックとは

こんにちは
今回は喋る点字ブロック「コード化点字ブロック」の体験談をお話ししたいと思います。
喋ると言っても点字ブロック自体はしゃべりません。
警告ブロックに印刷されたコードをスマホで読み取ることによりコードに埋め込まれた情報をスマホが読み上げてくれる仕組みになっています。
開発は金沢工業大学の松井先生です。
WALK &Mobileというアプリを用いて、カメラを通して点字ブロックに印字されているコードを読み込むことでスマホが情報を読み上げてくれます。
石川県金沢市では200ヶ所以上のコード化点字ブロックが配置されています。
このコード化点字ブロックを、東京都世田谷区梅ヶ丘にて2023年に実証実験が行われました。
現在は実証実験は終了していますが、コード化点字ブロック自体は残っているという情報を得たので実際に梅ヶ丘に行き、体験してきました。

・梅ヶ丘には21個のコード化点字ブロック
インターネットなどで調べた情報では梅ヶ丘にはコード化点字ブロックは全部で21個くらいあるとのことでした。
梅ヶ丘駅の北口からうめとぴあ(世田谷区総合保健福祉センター)までの歩道に15箇所と、うめとぴあの中に6箇所で合計21箇所です。

道しるべがあるという安心感

梅ヶ丘には二度、行きました。
一度目は1人で、梅ヶ丘駅からうめとぴあまでのルートは一切調べずにぶっつけ本番で
二度目はルートの再確認なども兼ねて妻についてきてもらい、確認しながら歩いてきました。
コード化点字ブロックを経験してまず感じたのは、道しるべべとなる情報が得られることの安心感でした。
土地勘のない場所でコード化点字ブロックの情報がスマホで読み上げられることでどこに何があるのか、右方向はどこに向かう道なのか、左方面はどこに向かう道なのか、現在位置はどこで横断歩道の信号のあるなしなど、道の情報が得られるという安心感が強く感じられました。
この手がかりとなる情報があれば、例えば、1人で歩いていて、点字ブロックを頼りにしながらも間違った道に進んでしまった場合に元の道へリカバリーできる事が可能になるわけです。
個人的な感覚ではありますが、視覚障害となって、外出や歩行に支障をきたすようになった理由が、視覚による現在位置の情報が得にくくなってきたからだと思っています。
多少は道を間違えても、視覚があれば視覚情報を頼りにきた道を戻ってリカバリーすることは簡単です。
でも、視覚情報がない状態だとそもそも道を間違ったことに気づかない。気づかず進んでいって、目的地や足先や白杖から伝わる地面の感覚がいつもと違ったりして、そこで初めて道を間違ったかも?と思うわkです。
その状態からどうやって元来た道を戻ってリカバリーするか、これが非常に困難です。
今どこにいるのか?
どの方向にどれくらい歩けば元の場所へ戻れるか?
これがわからないからです。
でも、このコード化点字ブロックの情報を得る事ができれば、自分の現在位置はどこで、どの方向に行けば目的地の方向へ進めるのかがわかるわけです。
視覚障害者の円滑な外出、異動をサポートするインフラとしての可能性を大きく感じました。

施設内でのコード化点字ブロックのおかげで人に聞かなくてもトイレの場所がわかった

うめとぴあ内でのコード化点字ブロックも試してみました。
入口から右方面に軽食スペースがあるとか、どこ方面にエレベーターがあったりトイレがあったりと、情報を得られることがとてもありがたかったです。
特にありがたかったのはトイレがどこにあるかという情報でした。
個人的な感覚ですが、視覚障害となって、限られた情報を頼りに外出、異動する時はトイレに行きたい時に行けるというのが非常に大事だと感じています。
請願者だった頃はちょっとトイレに行きたくなったら視覚情報を頼りにその辺のお店に入ってトイレ探して入るなんて事は容易です。
でも視覚による情報が得られないとなるとトイレを探す事自体が困難。
そんな時にトイレがここにある。案内に従えばトイレに行けるという安心感は絶大でした。
ありがとくトイレを利用させていただきました。

課題点として率直に感じたこと。

道しるべとなる情報が得られるという安心感に視覚障害者にとっての利便性あふれるインフラとしての可能性を強く感じた反面、個人的に課題があるのかなと感じる部分もいくつかありました。
あらかじめお伝えさせていただきたいのですが、あくまで個人的感覚としてお話しさせてください。決して否定的な意見を述べているのではなく、コード化点字ブロックの機能と効果を最大限に生かすためにどうしたらいいのか?という観点から個人的に感じたことをお話しさせていただきたいと思って書かせていただきます。

1、コード化点字ブロックの機能と効果を最大限発揮するには何とり設置する数がお多いほうがいい。
梅ヶ丘駅北口からうめとぴあまでの道のりで15個コード化点字ブロックを試して感じたのは、コード化点字ブロックの数が圧倒的に足りないということでした。
というのは、少し道から外れてしまうと、自分が今どこにいるのかわからなくなってしまうからです。
実は、正直のところ、梅ヶ丘駅からうめとぴあまでの道で結構迷ってしまいました。
土地勘がないというのも非常に大きかったのですが、コード化点字ブロックが設置されているルートから一歩外れてしまうと一気に自分の現在位置を見失ってしまいます。
点字ブロック自体はあるんだけど、この点字ブロックはどこへ向かう道なのか?コード化点字ブロックがないルートなので現在位置と目的地への情報がつかめなくて不安になってしまいました。
コード化点字ブロックの数が多ければ多いほど、視覚障害者にとっての道しるべの情報が増える。迷子にならない。
コード化点字ブロックによる道しるべとしての機能を最大限生かすためにはとにかく多くのコード化点字ブロックを設置する必要性があるなと個人的には感じました。

2、コードに埋め込む情報に精査と連続性が欲しいと感じた。
コード化点字ブロックによる情報の中で、こういう情報があったらいいなと感じる点がありました。
それは、施設や駅までどれくらいの距離があるかということです。
「左はどこどこ方面です」と読み上げてくれるのは非常にありがたく感じると同時に、あとどれくらいで目的地まで着くのかな?距離が知りたいな、道を間違って遠ざかってしまっていないかな?と思いました。
現在位置が目的地までどれくらい距離があるかわからないと、あとどれくらい歩けば着くのだろう?遠ざかっていないかな?と少し不安に感じる部分がありました。(あくまで個人的な感想です。)

情報の連続性というのは少しわかりにくい表現かもしれません。具体的な例を以下に書かせていただきます。
施設内で入口近くの一つ目のコード化点字ブロックで「トイレがどこどこ方面にあります」との案内に従い、進みました。
二つ目のコード化点字ブロックにはトイレの方面の情報があったのですが、私が気づかなかったり、スマホがたまたまコードを読まなくて、スルーしてトイレではなく、エレベーターのある方向へ進んでしまいました。
三つ目のコード化点字ブロックで、「ここはエレベーター前です」との案内が富挙げられました。ただ、トイレの位置に関する情報がここで途絶えてしまい、トイレはどこに行けばあるんだろう?と迷ってしまいました。

言いたいことがなんとなく伝わるでしょうか?
目的や、知りたい情報が複数のコード化点字ブロックでそれぞれ独立して埋め込まれていると、仮に、何かしらの理由でそのコード化点字ブロックをスルーしてしまった場合、情報が途絶えてしまうという事です。
複数のコード化点字ブロックに共通の目的地の情報を埋め込むことで情報が相互に補完できると、道しるべべとしての効果が高まるのかなと感じました。

ただ、コード化点字ブロックをどこに、どれだけの和を配置するのか、それぞれのコード化点字ブロックにどのような情報を埋め込むのか、というのは設置者の予算の都合などもあるでしょうし、埋め込む情報の内容については設置者だけでなく視覚障害者当事者の意見も参考に精査しなければならないでしょうし、非常に地道な作業と検討と対話が必要になるのだろうなと感じました。
そういった背景を想像すると、コード化点字ブロックを設置していただいた関係者の方々に強く感謝の意をお伝えしたいです。
できる事ならば何かしら協力させていただきたいです。

あとがき

今回の記事は以上になります。
いつもながらですが長い文書になってしまいました。
こんなに長い文書を興味を持ってお読みいただけてるだろうか?読んでるうちにダレてしまわないだろうか?と思いながら書いています。もっと短くまとめられればいいのですがと課題を感じながら書いています。
コード化点字ブロックについては至極個人的な興味がありまして、コード化点字ブロックの設置にどれくらいの費用がかかるのか。維持費などはどれくらいかかるのか?設置するにはどのようなプロセスが必要だったのか?というのがすごく興味があります。
できれば関係者の方にお話を伺ってはみたい部分なのですが、個人的な興味のために関係者の方々の貴重なお時間を取らせてしまうのもそれはよろしくないと思いながら過ごしています。
どこかに自分で閲覧できる情報などがあればいいのですが…
というような独り言を残して今回は締めたいと思います。
今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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