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洋服の力を借りる

春も間近なせいか、私の変わりたい願望がフツフツと最近活発化している。

「変わりたい」という言葉、私にとっては純粋でキラキラした言葉に映ってちょっと発すると小っ恥ずかしい気持ちになる。

しかし今の感情を言葉にすると「変わりたい」のだ。
昔のように自己否定の上に「変わりたい」があるわけでない。

より自分らしく生きたい】と言おうか。
改めて被っていた皮を剥ぎ取って自分らしく生きたい気分なのだ。


その一歩として洋服を買いたい。
え?浅はかだと思われるかもと内心ビクついているのだが、理由がある。

アパレル出身の私が、事務職としてそぐわないなという思いで地味な服を選ぶようになって数十年が経つ。

周りに合わせて黒やグレー青白の色を見に纏っていると20代半ばの私でも、いかにも落ち着いた大人に見える様な気がしていた。
特にアパレルから事務職に一人転職した頃は、接客業と全てが(言葉使いや立ち振る舞いなど)違いすぎて、異質な存在で事務職に早く馴染もうと必死だった。

その時から、物が分かるフリをしたり、出来るフリをしたり、周りに合わせて洋服を着たりと今まで何十年の経験で、固められた皮は自分が思う以上に分厚くて、今の自分を作りあげている。

もちろんTPOを考えたファッションは間違いではないし、TPOを考えてお洒落を楽しむことことは、本当のお洒落だと思っている。

だけど、私が選ぶ控えめな色はわたしの中では大人を装う色だったのだ。
大人のフリをして得た経験は事実として、良いことも沢山あった。
一回り上の先輩とも同等に話ができて仕事での気づきも多かった。内面的にも大人のフリから成長したはずだ。

だからこそ、もうそんなフリはしなくていいやと思う。

何を隠そう、もう大人になっている。
あるCMのキャッチコピー【大人ってなっがいよ~】がこだまする。

今、色鮮やかな洋服は私の固めらた皮をはぐためのパワーになってくれる気がする。
また数年ぶりに、私が好きな洋服の力を借りようと思っている。

ピンク、黄色、水色と春色をたくさんご用意してますと言わんばかりに並ぶディスプレイを見ていつもより丁寧に、自分の心に聞きながら身に纏って自分を表現できる服を選んでみたいと思う。