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氷河期世代のディストピア【小説】

20xx年、増え続ける氷河期世代の生活保護負担に業を煮やした政府がある決断をした。それは安楽死希望者を積極的に安楽死させるという政策だった。

今から遡ること数十年、世間は就職氷河期に揺れていた。有効求人倍率は0、5。すなわち2人に1人は仕事に就けないそんな時代だった。

そんな時代を思い出しながらも、今日もその日暮らしを続ける加納正和は途方に暮れていた。「今日も仕事が見つからなかった。俺はどうすればいい?」加納はかつて新卒の頃まともに就職できず、非正規雇用で職を転々としていた。そんな彼ももう今年で70歳。貯金もなくあてもない彼は生活保護を申請することを決意する。

「ああどうかな、生活保護の申請通るだろうか?」そんな不安のなか、市役所に向かう加納は街中に設置してある大型テレビに釘付けになった。

「えー本日氷河期世代安楽死法が成立しました。」ニュースからそんな声が聞こえて来た。

「なんだって?冗談じゃない俺たち氷河期世代の年寄りは死ねと言うのか?」加納は思わずそう叫んだ。無理もない、加納はこれまで就職、結婚、子供、全て手に入らなかった。その上年を取ったらこの仕打ち。叫ばずにはいられないだろう。

「俺は絶対安楽死なんぞしないぞ、絶対に生き延びてやる。」そう言いその場を後にした。

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