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洗濯禁止

夏が来ると思い出す

高校野球。
旅行。
お祭り。
プール。
花火。


夏というのは様々なイベントが行われる季節でもあるので個人的に好きだ。

野球をやっていたせいか、夏が来るとどんなに暑くてもテンションが上がる(とはいえ今年の夏は暑すぎだ)。


皆さんも夏の思い出の一つや二つ、夏が来るとついつい思い出してしまうことの一つや二つあるだろう。


今日はそんな夏の思い出に、、、

いや、夏が来ると思い出さずにはいられない。

「自衛隊で一番キツかったことはなんですか?」

と聞かれると、間違いなくこれだという話をしたいと思う。



前にも書いたが、自衛隊はとにかく連帯責任が多い。


その代表が全員で腕立て伏せであるが、

これはキツくても、やっていればいつか終わるからそんなに大変ではない(僕の感覚)。


腕立て伏せよりもキツいのがいくつかの禁止事項である。


①携帯禁止


携帯(当時はガラケー)は常に教官室に預けてあるが、1日に30分だけ使える時間があった。

しかし、これが禁止になる。
まあ、携帯なんていじれなくてもなんとかなるものだ。


②娯楽室禁止

娯楽室という、その名の通りちょっとしたくつろげる空間がある。

主にお菓子を食べたり、テレビを見たりできる部屋。

これも確か1日に30分だけ使えた気がする。

でも基本的に禁止だったかな。笑



③外出禁止

僕らは基本的に休日は外出が許されていた。

外出は制服を着てなくてはいけないし、門限があってなかなか面倒臭いのだが、外出すると気持ちがかなり楽になる。

といっても、主に日用品を買いに行くか、甘いものをしこたま食べるくらいだけどね。

まあ、シャバに出た感覚というのは気持ちいもんだ。笑


そしてそして、極め付けは
④洗濯禁止
だ。

我々は1部屋6人で暮らしている。

1人一つベッドと、ロッカーが設けられており、そのロッカーの隣にバケツが置いてある。


バケツ!?!?


何に使うかというと、


そう、洗濯物を入れておくバケツだ。


そして、私の分隊は57人なので、57人が同じフロアに生活している。

これが4つの班に分けられているので、1班14人か15人。

洗濯機は基本的に4台しか使ってはいけない。

つまり、14人で1台。

さらに、洗濯機を回していい時間は1日に30分。


計算できますか?


。。。


(無理だろ!!!!!!!!)


人間てすごいですね。
追い込まれると力を発揮するものです。

1日に回せる人数を班員14人で分けて、さらに、「おいそぎボタン」を押す。

なんとかこれで回せるのです(つまり、1日に回す人数を絞る)。


しかーし!

ミスは起きるものです。

洗濯機を回していい時間ではないのに回っていたり、
靴下が一つ置きっ放しになっていたり。

教官は見逃しません。

それで即効、洗濯禁止。


洗濯禁止になるとどうなるか?

想像してください。


まず、一人一つ与えられている洗濯物を溜めておくバケツがパンパンになります。
挙げ句の果てに、蓋が閉まらなくなります。

その状態が一人ならまだいいとしても、全員になるととんでもない状態になります。


くっっっっっっっさい!!!!!!!


もうフロア中に匂いが充満します。

「お前らくさいから洗え!!!!!!!」

と逆ギレした教官もいました。

(いや、洗わせろ!!!!!!笑)


そしてそして、バケツがパンパンになったその挙句はどうなるでしょうか?


そう、着るものがなくなります。


季節は夏です。


自衛隊は基本的に体育で体をゴリッゴリに動かしますので、汗はだらんだらんです。


だらんだらんに汗をかいているのに、着替えがない。


どうしますか?


早く次の場所に行かないと時間に遅れます。
また、「地獄の反省文」を渡されるかもしれません。

悩んでいる暇はありません。


僕は黙ってキレイな異臭を放つバケツの中から、必死に乾いていそうなやつを見つけ出し、速攻で着替えました。

息を止めて。


くっっっっっっっっっっっさい!!!!!!!!!!!!


僕がそうなんだから周りの人もその決断を下しています。


もはや自衛隊ではなく

「異臭隊」。


僕はちょっと夏が嫌いになりました。


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