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地獄の反省文

昨日に引き続き、自衛隊の生活の一部をお届けしよう。

自衛隊は入隊後、最初の約4ヶ月間は教育隊というところでみっちり訓練し、精神力、体力共にものすごく鍛えられる。

そして、その4ヶ月間はもちろん寮生活で、僕の時は1分隊が約55人、それが4分隊あるので全部で約220人。

この1分隊55人が同じフロアで生活し、1部屋6人。

なんとなくイメージができたであろう。

つまり、この55人はいつもどんな時も行動を共にし、何かミスがあった場合は、連帯責任を取らされるのである。

この連帯責任がとにかく辛い。


一番よくあるのが、腕立て伏せ。しかも朝から。

教官から「半ば右向け右!」の号令がかかったら腕立て伏せの合図だ。

基本的には「よし」と言われるまで永遠とやらされる。しかも朝から。


他にも、携帯禁止、娯楽室使用禁止、外出禁止、洗濯禁止などなど(これについてもまたあとで詳しく書きたい)。


このような禁止事項が与えられた上で、さらにミスがあると反省文が渡される。

これはあくまで個人の課題である。


さて、反省文と聞いてどんなことを思い浮かべただろう?


昨日の靴下事件であったら、
「靴下を履いて寝てしまい申し訳ありませんでした。」
といったような内容を思い浮かべただろう。

しかし、反省文の量は原稿用紙1枚や2枚ではない。

記憶が確かではないが、おそらく10枚は渡された気がする。

さすがに、10枚も靴下のことを反省するわけにはいかない。

ではその10枚には何を書けばいいのか。

自衛隊には学校の校歌のように自衛隊歌という歌がある。


その歌の歌詞をひたすら書きまくるというのが反省文の内容だ。


内容を考えない分、楽なのであるが、書いてる途中で頭が狂いそうになる。


ここまで聞いて、
「なんだ、結構辛そうだけど、書けばなんとか終わりそうじゃん!」
という声が聞こえそうであるが、そう舐めてもらっては困る。

自衛隊は6時に起床、22時消灯。

その間は授業がたっぷりとあり、別課、別別課と言われる体育もあり、食事があり、入浴があり、掃除もあり、他にも明日の勉強や、縫い物、アイロン掛けなど、やることはとにかくいっぱいで、あっという間に22時になってしまう。

そう、22時には反省文なんて全く終わっていないのだ。

しかも、だいたい反省文は次の日か2日後まで。

馬鹿げている。




22時には電気を消してベッドで寝なければならない。
教官が見回りにくるので、寝ていないと反省文が2倍になってしまうかもしれない。


さあ、このピンチをどうやって潜り抜けるだろうか。



一つは6人部屋なので、みんなで手分けして書いてもらう。
その間、見張り役をつけ、教官がきたら即座にベッドに入り寝たふりをする。

携帯は預けてあるので、廊下の電気の灯りでなんとか書いていた。


まあでも、効率が悪い。

全然進まないし、部屋の人に負担をかけるのも申し訳ない。

というか、他の人もだいたい何かしらの課題を抱えている。



教官の目を気にしなくていい。
灯りも気にしなくていい。


そんな場所が一つだけあるのだ。



そう、トイレだ。



自衛隊のトイレは大きいので、確か10室くらいはあった気がする。


よし。
あとは紙とペンを隠して、教官に見つからないように大便器に座るだけだ!



あれ?


なんで全部埋まっているんだ?



みんな考えることは同じ。


抱えている課題も人それぞれ(もちろん本当に大の人もいる)。


あとは代わりばんこに入ってやるだけ。


にしても、あんな不自然な光景(夜中に大便器が全部埋まっている)を教官もよく見逃したなー。


毎年の恒例行事みたいなもんか。


行事は適度に見直しましょう。





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