人生半ばに漫才師の推しが出来た時の話


私が何か変なんだ。
絶対何か精神状態がおかしいんだ。
人生半ば、何をフラフラした気持ちになっているんだ?
今迄ずっと真面目に堅実に生きて来たじゃない?

…そんな事で悩んだ時期もあった。
むしろ、今でも少し悩んでいるかもしれない。
悩むのも楽しいとさえ思うまでに至ってるかもしれない。


あれは娘といったライブ。

…と言ってもお笑いライブ。

娘以外にはナイショの趣味。
私の表向きのキャラに合わないからだ。
仕事、家庭、ボランティア。
どれもそこそこ真面目にこなしてきた。
だからこそ、息抜きは笑ってないとバランスが保てない。
単なる自己満足。

良い家庭人でありたい。
良い社会人でありたい。
笑顔で居たい。


娘が、ある漫才師のフアンになったと教えてくれた。その日見に行くライブメンバーに居るという。

「この人たち。覚えてる?」
コンビ名を指差した。

頭の中のデーターベースフル回転。記憶の底からぼんやり。まさか…。え?あの方達???

一番理解困難だなと漠然と思っていたコンビだ。
元々お笑い大好き過ぎて幅広く鑑賞している…と思っていたが、私の世間はとても狭かった事を教えてくれたコンビでもあった。
人気らしいが、よくわからない独自性がある。ジャンル分けも出来ない。


…でも、こんな1100人キャパの大きなホールに呼ばれるぐらいだもの。
きっとホントは素晴らしい漫才なさるのね。賢くて可愛い真面目な娘(親バカ)がフアンになるぐらいだもの。
そうに決まってる。


オープニングスタート。
派手なライトと音響。気分も上がる!

次世代のトップ漫才師が次々と笑わせて下さる。

彼等の出番。
がなりも素敵。出囃子も何かカッコいいぞ

二人が出て来る

掴みとネタがはじまる



会場は大爆笑と苦笑のミックス

??????????

理解と想像を超えて、脳みそが何処かに行ってしまいそうだった。
そもそも漫才って何だっけ?

奇妙な奇妙な、それはそれは奇妙な世界観。表現力は抜群なので異空間が出来上がっていくのだ。
…この人達をこんな真剣に見たのは初めてだった。
どうしたら解る?何が面白い?
何で爆笑してるの?
めちゃくちゃ知りたい!


終演後、その思いをストレートに娘に伝えた。

「考えないの。そのまま感じ取る。」
との解答。

え…哲学なの?

まるで
『燃えよドラゴン』の中のブルースリーの台詞じゃない?


「そのうちお母さんも好きになると思うよ。」
根拠がよくわからないまま、私は苦笑いで返していた。



まさか、その数ヶ月後には…。

こんな理想的な芸人さん、見たことない…。そう思うまでになるなんて。


人生半ばで推しができるなんて。

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