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マネジメントが苦手で仕事が大爆発した僕は、辞表を書くハメになった

僕は、人に仕事を任せるのが苦手でした。

というのも、部下に仕事を任せると自分の思ったとおりにならないから。それがすごくイヤだったんです。

部下にどういうアドバイスをすればいいかもわからないし、そもそも、部下がなんで苦労しているのかもわからない……。

部下に仕事を振ってみて「うまくできませんでした」と言われると、即座に「ああ、わかったわかった、俺がやるから大丈夫」と言って、自分で引き取ってしまうタイプだったんです。

でもある事件をきっかけに、考えが一変しました。

人に仕事を任せるのってすごく楽しいし、価値のあることなんだと気づいたのです。今では会社の社長として、200人近い社員を見るようになっています。

今回のnoteでは、マネジメントが苦手/嫌いだった僕がどうやって人に仕事を任せられるようになったのか? についての話。

プレイヤーとして成熟してきて、いろんなことができるようになってきている。でも、マネジメントはやりたくない。ずっと1人で仕事をしていたい……。

そう考えている人に、ぜひ読んでいただきたいです。

突然、マネジャーに抜擢される

2004年、僕はドリームインキュベータに入社しました。

入って1週間がたった頃、あるマネジャーさんに「三宅くん、この企業のことを分析して、戦略仮説作ってみてよ」と言われました。かなり難しい仕事なのに、ほとんどなんの説明もなく、突然渡されたイメージでした。

入社後、初めて任されたまとまった仕事。僕はそのざっくりとした任せ方に驚きつつも、自分なりに色々調べて分析し、なんとか「戦略」に組み上げてみました。

期限は1週間。でも、1週間後にボロボロになるのも嫌だったので、3日でいったん仕上げて、マネジャーさんのところに持っていきました。

すると「おぉ! 戦略ができてるじゃん!」と、思いのほか高く評価されました。マネジャーさんが「すごい奴が入ってきた!」と社内で派手に吹聴したもんだから、ちょっとした騒ぎにもなってしまって。

そうこうしているうちに、入社4ヶ月が経った頃、上司にこう言われました。

「三宅さん、今日からマネジャーね」

青天の霹靂とはこのことです。僕は「エ~ッ!」という感じでした。

マネジャーになるということは、当時は社内で上位20%以内というポジションなのに、入社して4ヶ月のかわいい(?)新人がなってしまった。社内は少しザワつきました。

僕はまっさきにこう思いました。

「マネジャーなんて、やりたくない!」

なぜかというと「人に任せるのが苦手だな」と思っていたから。「まだまだ現場で活躍したい!」というのもありましたし、僕は「人の面倒を見るのは向いてない」と直感的にすごく抵抗を感じたからです。

ひとりで仕事を進めるのは得意だけど、他人の指導をするのはイヤだ。

でも、マネジャーに任命されたからには、断るわけにはいきません。イヤイヤながらも、僕は入社4ヶ月で部下を持つことになりました。

しぶしぶマネジャーに

マネジャーになった僕は、4人の部下を持つことになりました。

大企業をクライアントとする戦略コンサルティングのプロジェクトは、1プロジェクトあたり、マネジャーが1人で、その下に4人のメンバーがつきます。

通常、マネジャーは2つのプロジェクトを担当するので、合計8人の部下を見ることになります。

ただ「まだ入社して間もないから」との配慮で、当面のあいだ、僕の担当するプロジェクトは1つでいいことになりました。

それをいいことに、僕は4人分の部下の仕事を、ほとんど自分1人でこなしていました。「4人分ぐらいなんとかなるだろう」と思ったのです。

とはいえ、さすがに部下に何も仕事をさせないわけにはいきません。だから、アリバイ的に「任せるフリ」をしていました。

2時間くらいで終わる、簡単な「作業」だけを振っていた。それ以上の難しい仕事を渡すときには「お願いね」と任せておきながら、裏ではまったく同じ作業を自分でもやっていました。

メンバーに苦労をさせないようにしていたつもりでしたが、ようするに、メンバーのことをまったく信用していなかったのです。ハナから「機能しないだろうな」と思っていたような気がします。

メンバーを完全放置する

最初はそれでもなんとかやれていました。でもプロジェクトが進んでいくうちに、だんだんとボロが出始めて……。

4人分の仕事とは言っても、単なる作業ではありません。いろんな思考を巡らせなければ価値の出ない仕事です。

余裕がなくなると、次第に間に合わなくなってきて「つまらないアウトプット」しか出せなくなってきます。だんだん「やばい、うまくいかないな」と思い始めました。

そうやって自分が追い込まれ始めると、さらに部下の面倒を見られなくなるんです。とうとう僕は指示すら出さず、完全に放置するようになってしまいました。

「指示をください。なんでもしますよ」と言ってくれる部下にも「ちょっとごめん、今忙しくて……。後でね」と言うだけで、仕事を与えなかった。メンバーは手持ち無沙汰になって、ブラブラしていたと思います。

それを見ていた僕の上司には「どうなってるんだ? メンバーが誰一人として理解していないじゃないか。お前ひとりでやっていないか? しかもアウトプットがつまんないぞ」と指摘されるようになりました。

そうすると、さらに精神的にも追い込まれていくわけです。

そしてあるとき、ついに2つ目のプロジェクトが追加されました。「4人分の仕事なら、1人でできる」と思っていたのですが、8人分の仕事をやらなければいけなくなったわけです。

そこからは、もうわけがわからないくらい、大変になってしまいました。

プロジェクトが大爆発

そして、いよいよ限界が来てしまったんです。「8人分とか無理じゃん……」と思っているうちに、何も手を打たずにいると、あっという間に大爆発しました。

8人の部下を、まったく機能させられませんでした。結果的に、むちゃくちゃ酷いアウトプットになってしまって。

お客さんから「DIさん役に立たないから、もう来てもらわなくて良いんじゃないの」という発言が出るまでに。

当然、上司の役員にも、すごく怒られました。

「なんだこのアウトプットは。なんの示唆もないじゃないか!」「提案書のよりも酷いじゃないか!」と言われて。最終的には「おまえバカか!」とまで(笑)。いつもは穏便な上司の顔が、文字通り真っ赤になっていました。

プロジェクトの中間報告も、ぜんぜんうまくいきませんでした。

ギリギリでなんとかプロジェクトを仕上げて、クライアントに報告をしたのですが、プレゼンがヘタなのもあって、ぜんぜんうまく話せなくて。どんどん鋭い質問も飛んできます。それにもイマイチうまく答えられませんでした。

クライアントへの中間報告が終わったあと、同席していた別の役員が見かねて「プレゼンっていうのはね」と言って、いろいろアドバイスをくれました。

でも、僕はもう上の空。「そうですね、そうですね」と相槌を打ちながら、内心では「もうダメだ……。」と心が折れかけていました。

辞表を書く

中間報告があった日の帰りがけのこと。

直属の役員から「三宅さん。これからはAさんを中心にプロジェクトを回してくれ」って言われたんです。Aさんというのは、僕のチームのメンバーで、僕と同年齢の人でした。

そのとき思いました。

「あ、これ、俺はクビってことだな」

日本では「クビ」って言えないから、そういう言い方をしたんだな、って。

僕は辞表を書くことにしました。夕方の5時から2時間くらいかけて丁寧に書きました。

辞めても、次に就職するアテなんかありません。

でも遠回しに「クビ」って言われたんだから、そんなことは関係ありません。自分から辞表を出さなきゃカッコ悪いよな、と思いました。マネジャーになって約2ヶ月、入社してまだ半年でした。

やっと書き終えて、その直属の役員宛に送ろうと、送信ボタンに手をかけたときのこと。突然、電話が鳴りました。

出てみると、相手は辞表を送ろうとしていた当の役員。

「〇〇だけど。近くのお店で飲んでるんだけど、今から出て来られる?」って言われて。僕はドキッとしつつも、「はい。参ります」って答えました。

電話を切ったあと、先に辞表を送信してから店に向かおうか、いったん保留して、とりあえずはお店に行こうか……と、少し考えましたが、先にお店に行くことにしました。

お店に行ってみると、その役員の他に2人の役員がいて。3人で待っていました。

僕が席についた途端、1人の役員が「まあまあまあ」と言いながらお酒をついでくれて「ところで三宅さんさ、いま辞表とか書いてたりしてなかった?」って言いました。僕はびっくりして「エッ、なんでわかったんですか!?」と答えて。

するとさらにもう一人の役員が「ほら~!」って、直属の役員に向かって言ったんです。「〇〇さん、あんなこと言うからだよ。ダメよ、きつい言い方したら!」って。そこから2人は、その直属の役員のことを怒りはじめたんです。

どうやら2人は、直属の役員から話を聞いていたそうで。「三宅にこういうことを言ったんだ」という話を聞いて「それはちょっとヤバいぞ。辞めちゃうんじゃないか」と思ったらしいです。それで、僕をケアしようと「三宅を呼ぼう!」と言ってくれたようでした。

当の本人は、僕が辞表を書いていたことを知って「マジか!」と驚いていていました。まったく想像すらしていなかったらしいです(笑)。

そのあと、僕はいい感じに酔っぱらわされて、辞表はそのままお蔵入りになりました。

「任せられるようにします!」と宣言

これをきっかけに「ひとりで仕事をしても、うまくいかないんだ……」と気づかされました。

部下に仕事を任せて、チームを機能させるようになろう。そうしないと、プロジェクトは回らないーー。

「辞表事件」を機に、僕はそう決心したのでした。

年が明けて、会社全体で新年会がありました。最初のマネジャーをやったプロジェクトが終わるか終わらないか、くらいの時期のこと。

そこで当時のトップが「じゃあちょっと何人かに抱負でも語ってもらおうか」って突然言いだしました。「じゃあ、まずは三宅」って僕が指されて。

僕はとっさに「今年は人のことを信じて、任せられるようにします!」って叫んだんです。

すると居酒屋で救ってくれた役員がゲラゲラ笑って「お前、ホントにおもしろいやつだな」って言いました。それにつられて、みんなも大爆笑してくれました。

マネジャーを極めてみよう

そう宣言したのはいいものの、実際にマネジメントを上達させるためには、どうすればいいのか?

そこで僕は、こう考えることにしました。

「マネジャー職を極めてみよう」

イヤイヤやるのではなくて、ゲーム感覚でやってみたらどうか。自分がどれだけやれるかを試してみることにしたのです。

「生涯出会った中で、ナンバーワンのマネジャーに自分自身がなってやろう。それが達成できるまで、マネジャーをやり続けよう」

もともと僕は、自分の成長には貪欲。本気で極めようと切り替えた瞬間、一気にやる気が湧いてきました。

そこからは思考がどんどん進みます。

「どうやって部下に仕事を振ろうか?」「なんて言葉をかければ、部下のやる気が湧くのか?」「どうしたら部下が成長するのか」……。

試行錯誤するうちに、だんだん「こうやって任せればいいんだ」という方法がわかるようになってきました。

プロジェクトのアウトプットが良くなっただけでなく、人に任せることに慣れていくにつれて「マネジメントって、意外と楽しいかも」とすら思えるようになってきたんです。

マネジャーになって3年目には、マネジャーとしての働きが評価されて、経営陣から「三宅さんを執行役員にしようと思うんだけど」というオファーをもらいました。

ですが、そこで僕は「絶対イヤです! まだマネジャーを極めていません!」と即答して、せっかくの出世の打診を断りました。それほどまでに、マネジャーの仕事にこだわりをもってやっていたのです。

結局、僕はマネジャーを5年間務めました。そのなかで、人の何倍も「任せる」ことを意識して実験し続けた。

結果的に、相当なレベルでマネジメントを極めることができたように思います。

任せると思わぬものが出てくる

「任せる」ことには思わぬメリットがあることにも気づきました。

部下に仕事を任せてみても、いきなりいいアウトプットが上がってくることなんて、ほとんどありません。7~8割は「なんじゃこりゃ!」という感じ(笑)。

ただ、そこで「もういいよ」と引き取ったり、「何やってんだよ!」と怒ったりするのではなく、部下と会話して「なんでこうやったの?」と過程を聞いてみるんです。

すると、どんな発見があったか。

部下の話の中に「とんでもなく面白い発想」が眠っていることがあるのです。一見しょぼいアウトプットでも「なぜこうしたのか」というプロセスを聞くと、そこにはダイヤモンドの原石が混じっていることがある。しかも、かなりの頻度で。

そういうものは、自分にとっても参考になるし、プロジェクトに対しても、大きな示唆を与えるものだったりします。

とくにイノベーションの世界では「想定と違う」って、実はすごく大事なことです。「自分が思い描いたゴール」のとおりに進んでいては、大したものは生まれない。「想定と違うもの」を積極的に受け入れることで、イノベーションが起こり始めるのです。

そういう意味でも、人に「仕事を任せる」ことには、すごく大きなメリットがあります。そのことに気づいてから、僕はマネジメントが楽しくなっていった気がします。

マネジメントは自分の成長にもなる

マネジメントが苦手な人の中には、潜在的に「自分の成長機会が奪われる恐怖」を感じている人がいるように思います。

もしかしたら「育成なんかしてられるかよ。そんな時間があるなら、自分の成長のために使いたい……!」という感じかも知れません。僕自身もそうでした。

人に仕事を任せてしまったら、そのぶん自分の仕事が減ってしまう。それではすごくつまらないし、成長機会を失ってしまうんじゃないか。だから「全部やりたいんだ」という気持ちがありました。

でもマネジメントをするなかで、そんなことはないんだな、と気づきました。

というのも、マネジメントをすることは、ものすごく自分の成長につながるからです。

すでに書いたように、部下のアウトプットから面白いアイデアを「発見」できる、というのもそうです。他人の発想に触れることで、自分自身の知見も増えていく。

また、それまでよりも高い視座で考えられるようにもなり、「答え」を出すスピードも格段に上がりました。部下のアウトプットの良し悪しを素早く判断するなかで、頭の回転も格段に早くなり、知識の量もすごく増えたと思います。

部下の仕事を客観的に評価することで「自分自身の仕事を見直す機会」にもなりました。

意外にも、マネジメントを通して自分の能力がどんどん鍛えられていったのです。1人でガンガン仕事を進めるより、むしろ成長速度が早くなった。

これは僕にとって、思わぬ発見でした。

苦手だからこそ、やると成長できる

もともと苦手だったからこそ、マネジメントによって得るものも多かった気がします。

というのも、1人で仕事をしていると、どうしても「得意なこと」ばかりをやってしまいがちだから。でも実は「得意なこと」を続けているだけだと、いつか成長が高止まりしてしまいます

そしてその「高止まり」は、本人が考えている以上にすぐ訪れてしまう。というか、恐ろしいことに「限界」はすでに来ているのに、自分が気づいていないフリをしているだけの可能性すらあります。

だから、あえて苦手なことをして、違う頭の使い方をすることが必要なのです。

1つの仕事ができるようになったら、エイっと向きを変えて「苦手な山」を登りに行かないといけません。たぶん、それが何回できるかで、自分の最終的な「成長度合い」が決まるんだと思います。

マネジメントという「苦手なこと」にチャレンジすることは、そのための良い機会になったな、と今では思っています。

うまく「任せる」4つのポイント

……と、ここまでは僕がマネジメントができるようになった経緯についてお話ししてきました。

最初はプロジェクトを回すために「任せざるを得ない」感じだった。でもやっているうちに、意外とメリットが多いことに気づきました。そこからマネジメントが楽しくなっていったのです。

とはいえ、マネジメントをうまくやるためには、それなりの「コツ」があるのも事実。

そのためここからは、僕がマネジャーを5年間やるなかで気がついた「意識すべきポイント」について、少し具体的な話をしていこうと思います。

①部下には「思考」を振れ

マネジャーになりたての頃、僕は部下に「作業」を渡していました。

「こういうふうに仕事を進めよう」と僕がシミュレーションをして、そのうえで「この作業やっといて」と指示を出していた。

でも、それではダメだと気づきました。

細かい作業をバラバラと渡しても、部下にとっては「なぜこれをやっているのか」がわかりません。モチベシーションも上がらないし、成長もできない。結果的にチームとしての生産性は上がりません。

とくにクリエイティビティが必要な仕事では、なおさらそうです。

だからあるとき、部下には「作業」ではなく「思考」を任せる必要があると気づいたのです。

「今回のプロジェクトでは、こういうアウトプットを作りたいんだけど、どうすればいいか考えてみて」というふうに指示を出します。「こういう作業やってみて」「これ調べておいて」と言うのではありません。

そうじゃなくて「どういう作業をするべきか」「何を調べるべきか」から考えてもらうんです。

そうすると、部下のモチベーションも上がるし、チームの生産性も上がるはずです。

②「ゴール」を最初に示す

「思考を任せる」といっても、ぜんぶを丸投げすればいいわけではありません。

マネジャーは部下に対して「こういうアウトプットを出したいんだよね」という「ゴール」のイメージだけを、最初に伝える必要があるのです。

なぜなら、何も指定せず「はい、考えてね」といきなり仕事を渡しても、部下は途方に暮れてしまうから。それでは思考を任せるどころか、部下が「思考停止」してしまいます。

だから最初にゴールを示すことで「この範囲で考えてね」という枠を作ってから任せる。そうすると、部下の思考が動き出します。

それが示せたら、とりあえずは部下に仕事を任せてみる。そして定期的に「どう?   困っていることない?」と、確認してあげるといいでしょう。部下から聞かれるのを待つのではだめで、自分から聞きにいくことが大切です。

ただし確認しにいく頻度は、部下のレベルに応じて変える必要があります。

たとえば入社したばかりのメンバーに対しては、高頻度で相談をするように仕向ける。一方で、経験も豊富でデキるメンバーに対しては、できるだけ放置する。

あまりにも過保護に接すると「信頼されてないな」と思われるし、そのメンバーのせっかくの思考(=成長)の機会を奪ってしまいます。

僕自身、その塩梅がわからずに過干渉してしまったことがあり、デキるメンバーに「三宅さん、ウザイです!」と煙たがられたことがありました(笑)。

そして、その「ゴール」は最終的に変わってもいいんです。むしろ部下がいろいろ考えるなかで、最初とは違う結論に至ったら大成功です。

③会話をして「思考」を引き出す

部下から相談を受けたときは、上から「こうしたほうがいいよ」と押し付けてはいけません。会話をしながら、相手の「思考」を引き出す意識が大切です。

こちらの話を「理解させる」というよりは、相手に「頭を回すきっかけを与える」イメージ。

テーマについて意見を交換しながら、相手のほうからポンとアイデア出てくるのを待つんです。

そして、部下から少しでも「おもしろい意見」が出てきたら「あなたの言ってるのは、こういうことなの?」ってまとめるのもいいと思います。そうすると「あ、そういうことだと思います!」って、部下が気づくことができるからです。

それを繰り返していると「こうやって考えればいいんだ」という方法が、だんだんと身についてくる。部下が自分で「思考」して、それを言葉にする訓練ができるはずです。

④先回りしておく

上に書いた3つのポイントに気づいてから、僕はだんだんと人に任せられるようになりました。

ただそうなったとき、1つの疑問が生じました。

それは「じゃあ任せているあいだ、俺は何をしてればいいんだろう?」ということです。

そこで僕が考えたのは「次の展開を考えておくこと」でした。

部下に指示を出したあとは「次の2、3ヶ月でこういうことをします」というのを、どんどん考えておくのです。

すると、自分の視座が上がっていきます。「お客さんが何を求めているのか?」にも敏感になり、最終的には「この仕事を通して、世の中がこう変わるんじゃないか」ということにまで頭が回り始めるのです。

このやり方に変えてから、お客さんにはすごく喜んでもらえるようになりました。「こんなにいろいろ考えてくれていて、ありがとう」って言ってもらえるようになった。

これは僕にとって大きな発見でした。

最初のころは「どうやって部下のアウトプットを引き上げようか?」にばかり気を取られていました。上司と部下が真正面から「対峙」してしまっている状況です。

でも、それではいけない。

上司と部下は横並びになって、共通の目標を見なければいけません。そしてそのために、マネジャーの思考は先へ先へと向かう必要があるのだと気づいたのです。

「1人が好き」でもマネジメントはできる

最後に1つだけ言いたいこと。

それは、マネジメントをするうえで、最初から「利他的」である必要はないということです。

はじめから「部下のため」「チームのため」みたいに思えなくても良いと思っています。無理に人格を変える必要もありません。「1人が好き」でもいいのです。

正直に言うと、僕は今でも1人で仕事をしたいと思うことがあります(笑)。やはり根っこの部分では「1人でぜんぶやってしまいたい」性格です。人間、そんな簡単に変わるものではありません。

ですが、そんな僕でもマネジメントができるようになったのです。

ただし、ずっと1人で仕事を抱えたままでは永遠に変われません。それでは自分も成長しないし、アウトプットの質も上がらない。

だから、まずは任せてみる。

すると、意外と得るものが多いし、楽しいと思えるはずです。だんだんと人に対する興味も湧いてきて、部下を「成長させたい」と思えるようにもなります。

僕自身「1人で仕事がしたい」と言いつつ、今はチームで仕事をするのもやっぱり楽しい。メンバーと協力して仕事をするからこそ、社会課題を解決するようなダイナミックな仕事もできている。

どうせみんなと仕事をするなら、1人ではできないような大きな仕事がしたい。どんどん人に仕事を任せていきたい。部下の成長も見たい。

そして、いかに多くのメンバーを少しでも早く「1人前」にしていけるか。少しでも大きく育ってもらえるようにするか。それを自分の「成功の指標」にしよう。

今ではそう思えています。


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