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【読了】大槻ケンヂ『新興宗教オモイデ教』

突然学校を去り、しばらくしてから再会した同級生の少女に誘われ、「オモイデ教」に足を踏み入れる主人公。怪電波を操って人を狂わせる彼らの中で繰り広げられる狂気を孕んだ青春。

突拍子もない描写の連続ながら、根幹の内容は巷で多く見られる青春小説のそれと共通するのかも。凡庸な世界に憤りを抱く若者の純真。それでいて、人との関わりを断ち切ることのできない歪み。切なく、哀しい。

とはいえ、それだけ通俗的なテーマを扱っていても、作者の人間性があるのはやはり90年代サブカルの賜物。当時のアングラロックをそのまま文章化したような世界観は、そこに魅せられる自分につい戦慄を覚えつつ、そこから心を離さない不気味な中毒性を持つ。

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