ひみつのしつもん

実家最終日。明日には帰らなければいけない。
最後の晩餐はソルロンタンだった。韓国旅行に行ってから母が自己流で作るソルロンタンは、寝起きの頭で食べた本場の味に勝る。

それはそうと、わたしは吉高由里子(敬省略)が好きなので『光る君へ』をどうしても見たかった。
けれども問題がいくつかあって、ようやく一人暮らしの家にテレビを導入した(M-1のために)のはいいものの録画機器どころかテレビ台もない。というわけで日曜日の20時からバイトのわたしは大河ドラマを見ることができない。そういえば、前に母がNHKプラスに加入していると言っていた。

案の定、母はIDすら忘れていた。めんどくさいと言いながらメールアドレスを打ち込み、母が一言。
「ひみつのしつもんって何?」
こっちが聞きたい。子どもの頃になりたかった職業にしたらしい。普通、そういうのって飼っていた犬の名前とか初めての海外旅行とかじゃないのか。
「社長とかにした気がする」
そう言ったものの社長ではなかったらしい。CEOも看護師も医師も医者も代表取締役も違った。
わたしは、どうせ母のことだからCEOをceoにしたとか綴りを間違えたとかだろうなと思っていた。案の定、
思い出せずそれでもなんとかログインはできたらしい。
わたしは無事に、NHKプラスにログインし大河ドラマを見ることができるようになった。
待ってろ吉高由里子様。

結局、母のメモにはcoと書かれていた。coってなんだ。

帰りたくない。膝の上に犬が乗っている。重い。
体重が3kg増えたのはわたしの方。

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