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映画『インサイド・マン』

(2023年8月15日猛暑のお盆火曜日の午後に鑑賞)

「スパイク・リー監督作品」ということで
興味があって観た映画です。

わたしは過去に
同監督の『25時』という作品を観ているのですが
そちらも素晴らしかったです。

かの有名な『マルコムX』も
同監督の作品なので
観てみたいと思っています。

映画評論家の柳下毅一郎さんが
youtubeチャンネルBLACKHOLEの中で
「スパイク・リーに賞を与えなかったことによって世の中がどれだけ狂ってしまったか」とおしゃっているのですが
「受賞に値する作品は『マルコムX』だったはずだ」とも
おっしゃっていたので
俄然『マルコムX』に惹かれてしまいます。

さて『インサイド・マン』ですが
とても爽やかな作品でした。

銀行強盗ものは
なぜか爽快な気分にさせられるものが多いのですが
この作品はとくに気分がいいです。

銀行強盗ものにおいて
警察の鼻を明かすことだけが
爽快感につながるわけではないということを
証明したような作品です。

「すべてにおいてすっきりしない」という批判もあるようですが
わたしは「むしろ整った作品である」と
感じました。

「都合の良すぎる展開である」とか
「あとから考えると余計な場面を見せられていたことが分かる」などの感想は
わたしにも理解できます。

それに対しては
「だけど映画ってそれでよくないっすか」というのが
わたしの解釈になります。

わたしは
役者が浮いていようが
話がご都合主義だろうが
とくに嫌いな場面がなくて面白ければ
だいたいの作品は肯定できてしまうような気がします。

「だって造りものなんだから」とか
「余計な場面があるからこそまた観たくなる」と考えれば
あとは好きか嫌いか
面白いか面白くないかで判断することができるはずです。

『インサイド・マン』に関しては
役者の顔が好きでした。

たとえばわたしは
この作品のジョディ・フォスターが
とてもエロチックに見えてしまいました。
それだけでかなりの高得点です。

それからデンゼル・ワシントン演じる男の人柄についても
「またこの作品を通して会いたくなる」と思わせてくれるような
好人物として描かれていて
映画の魅力を引き上げています。

そしてクライヴ・オーウェンですが
静かなカリスマ性を
わたしは感じました。

主要な登場人物を演じる役者たちの顔は
それぞれ魅力的で
「顔を見るために作品をまた観たい」という気持ちにさせられました。

この作品の謎を紐解く考察もあるようですが
わたしはまだそちらには手をつけずに
役者の顔と小さく綺麗にまとまったこの作品の魅力を
繰り返し楽しもうと思っています。

わたしは
考察系でも批評系でもありません。

好きではない作品について
わざわざ書かなければならないような
理由もありません。

さて
それはさておき
『インサイド・マン』の魅力は顔です。
隠したり
殴られたり
探ったり
探られたりしながら
顔を合わせて
火花を散らして
怒って
驚いて
そして微笑む
そんな顔を観るための作品なのかもしれません。

そこにはつねに軽妙さがあるので
中毒を起こすようなこともなさそうです。

「あの映画は重いからこれを観よう」という感覚で
「気がついたら何度も観てしまう作品」になりそうな気がします。

他人におすすめするには丁度良い作品と言えるのかもしれません。

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