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それゆけ!山川製作所

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株式会社山川製作所の社長である財前が綴る、社員たちの日常を小説風にまとめています。
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2022年8月の記事一覧

【小説】それゆけ!山川製作所 (#21 バジルソース②)

先日俺はひょんなことから驚くべき気付きを得た。

『ハーブ』は非常にスマート係数が高いということだ。

そんなハーブといえばお茶や料理に使用されるもの。
瓶タイプの海外ビールを片手にキッチンに立ち、自家製ハーブを使用したおしゃれ料理をのんびりと作る。
こんな休日の過ごし方こそスマートの極みと言えるだろう。

やはり失った自信は、スマートでしか取り戻せないのだ。
ハーブを育てることで、不足しているス

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#20 バジルソース①)

どうも皆様こんにちは。
株式会社山川製作所、代表取締役社長の財前でございます。

『YAMAKAWA DOME』にて開催された社内行事、エンジンストップ大会。

営業部営業一課の田中課長の優勝でめでたく幕を閉じたのですが、例年この大会は終わってもなお、多くの社員に影響を与えるんですねぇ。

参加者たちの頑張りに触発されて仕事に力が入る者もいますし、自分と向き合うということがどういうことなのか、改め

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#19 財前の独り言)

どうも皆様こんにちは。
株式会社山川製作所、代表取締役社長の財前でございます。

いかがでしたでしょうか。
大会を通して、我が社員たちの持つ「熱」を感じ取っていただけましたでしょうか。

営業部営業一課の田中課長が優勝という形で幕を閉じたこのエンジンストップ大会。
いやぁ、今回も様々なドラマが生まれたこの大会ですが、実は今回で記念すべき10周年目を迎えたんですねぇ。
そんな節目に大会記録を更新する

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#18 社内行事④)

飛雄馬の大健闘に熱の冷めない観客(社員)たちであるが、いまだ戦い続ける男がいることを忘れてはならない。
開始以来、目をつむり腕を組むスタイルを守り続けている選手。
営業部営業一課の『真面目人間』。
田中 正だ。

正直、スクリーンに映る彼の様子には少しの面白みも感じられなかった。

改めて言うが、観客(社員)たちは参加者が己と向き合い戦っている姿を楽しみに、この大会を観覧しているのだ。
まったく動

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#17 社内行事③)

1時間30分を前にして、ついに最初の脱落者が出てしまった。

力なく車から出てきた健一は、目をつむり天を仰いでいる。
その顔は競技開始前と比べてどこか老けているように見えた。

「やはり己の欲望には逆らえなかったようだな……。しかし、この若さでここまでの戦いを見せてくれた。間違いなく、今後に期待が持てる選手だろう」

黒川専務の解説を機に、会場では盛大な拍手が巻き起こる。
健一は本来の実力を発揮で

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#16 社内行事②)

このエンジンストップ大会。
ドームに詰めかけている観客(社員)たちが、大会を楽しむためになくてはならないものがある。

そう。車内の様子を映し出すスクリーンだ。

よく考えてみてほしい。
この大会において、すべての人々が最も注目している箇所がどこかというと、それはやはりブレーキペダルを踏む競技者の右足なのだ。
もちろん、孤独な車内で己と戦う競技者の表情に注目している者や、時間の経過と共に現れる競技

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#15 社内行事①)

どうも皆様こんにちは。
株式会社山川製作所、代表取締役社長の財前でございます。

突然ですが、皆様の働かれている会社には、直接業務とは関係のない『社内行事』なるものはございますでしょうか。

新年会に忘年会。社員旅行や休日に催されるBBQ。
会社によってはスポーツレクリエーションなんてものありますかねぇ。
行事とは違うかもしれませんが、大企業ともなれば、様々なサークルのような集まりのある会社もある

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#14 財前の独り言)

どうも皆様こんにちは。
株式会社山川製作所、代表取締役社長の財前でございます

今回の社員紹介では初めて3話分のお話となりました。
2話でまとめようとしたら、10,000字を超えてしまいそうだったものでして。
いつもは何とか2話分のお話をひねり出しているっていうのに、まさか逆に収まらないなんて日が来るとは思いもよりませんでしたねぇ。

「書きたいことが多くて削るのが大変なんです」
「いやいや、私は

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【小説】それゆけ!山川製作所 (#13 椿木 哲人&立川 ユキ③)

立川ユキ。
俺の幼馴染にして会社の同僚でもある。
共に過ごした時間は長く、ユキの家族を除けば、その成長を最も間近で見てきたのは多分俺だ。
だから、一般人に比べてこいつの感性がズレているのは百も承知している。
今まで、散々振り回されてきたからな。
学生時代に借りを作ってからは、ユキは俺に対してさらに遠慮がなくなったように思う。

しかし、さすがにこれはどうなんだ?
本編前に流れる広告のパロディを撮り

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