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創作者と「ヴィジョンの蓄積」

先日、横尾忠則の対話集を読んでいたら、草間彌生との対談が掲載されていまして。そこで草間さんがコメントされていたことが印象的だったので、以下に少し引用します。

――草間さんが見られるヴィジョンを、自分の体の中にお感じになったことはありますか。体の中に何かが宿っているというか。
草間――胃袋の中にヴィジョンがいっぱいたまって、それを絵に描くでしょう。そうすると、すっきりするんです。「自殺した私」のときは、自殺したくてたまらなかったんです。ああいった作品をずいぶんたくさん描いて、それで自殺することから逃れられたわけです。自殺しようと思ってビルの九階まで上っていって飛び降りようとしたときに、とっさに部屋へ帰ってきて「自殺した私」を描いたわけです。

横尾忠則『見えるものと観えないもの』(ちくま文庫)

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