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~旅のちから~           へんいち★ちょこっと倶楽部〈エディターコース〉~エッセイ講座~ より

へんいちさんのエッセイ講座を受けて、はや、5か月。
え、もう、5か月もたっちゃってます!

9月にドキドキで初めて中級講座を受けた時、忙しくて毎日の食事がおろそかだったのに、「作ることを楽しむということ」をタイトルにしてエッセイを初めて書きました。

テーマに苦手なものを選んでしまったので、なかなか筆が進まなかったことを覚えています。それから、ほぼ毎回エッセイ講座には参加させていただいてますが、今回は初めての上級編!

これはまたドキドキですが、luckyなことに私の大好きな「旅」がテーマ。
1000文字程度の文章にして、最後は作品を記事に投稿です!

5か月たって思うことは、1000文字が余裕で書けるようになってます!

それもこれも、へんいちさんのエッセイ講座のお蔭様です!地道にコツコツは大切ですね。
へんいちさん、毎回添削ありがとうございます!
そしてご興味のある皆様、良かったら一緒に頑張りませんか?
仲間がいると発見も多く、とても楽しいです!

~旅のちから~

ギタリスト村治佳織の「旅」のエッセイが新聞に出ていた。「旅は力を与え、励ましてもくれる」という。なんて素敵な表現だろうと思った。

一般的に旅は、癒しやリフレッシュを求めたものが多いように思う。現実から離れる手段として旅はてっとり早く、他の方法より気分転換しやすい。

一方、若い時の私はというと少し違う。旅は挑戦する要素が強かったように思う。
私はバブルの時期に学生だったから、それなりに家族旅行は行っていたが海外はなかった。

ならば、海外には一人でもいいから大学のうちに行きたい。ただ行くのではなくて、語学研修も兼ねて行ってみたい。お金は私のバイト代から出すつもり…と。とにかく自分にとって厳しい条件を並べた。とはいえ現地に到着したら日本人が集まって語学研修をしているのだから大したことはないのだが、当時の自分にとったら初めてのことだらけ。一人でどのくらいできるかの挑戦だった。

そしてこの挑戦は、親を説得するところから始まる。今まで何をやるにも、すんなり許可が出ることが無かったのでかなり身構えた。

私の兄2人が卒業旅行で海外へ行くより先に、末っ子の私が家族で初めて海外に行く。それも1人で2週間というちょっとした旅より長い期間なのだから、父がへそを曲げたら行けなくなってしまう。
父親の威厳がまだあった時代なので反対されたら家から飛び出す覚悟で話し合いに臨んだ。

しかし意外にも、あの時初めて父は私の意見をわりとすんなり呑んでくれた。

「いつかは親を越えようとするからな」

と小さな声で、少し下を向いて言っていた気がする。ちょっと意外で拍子抜けした。娘ではなく一人の人間として見てくれたのだ。
これは親に反抗した勢いで飛び出してきた今までとは違う。しっかりこの旅を自分のものにして帰ってこなければいけない。そんな気持ちにさせる出来事だった。

そんな若き挑戦の旅を経て、今はというと、めっきり一般的な旅を好むようになった。飛行機から、新幹線から降り立って現地へ一歩踏み入れた時、自分の中に新しい風が吹き込む。そんな瞬間が旅の中でいちばん好き。
しがらみや責任、いろいろな諸般の事情はすべて、生活してきた家に置いてきたのだ。

さあ、右を見て左を見て一歩踏み出す。今は短い時間の旅しか許されないけれど、その愛おしい時間を深く愛する。
そしてこの時間は私にとって何にも代えがたい力になる。

そう「旅は力を与え、励ましてもくれる」のだから。


へんいち★ちょこっと倶楽部〈エディターコース〉~エッセイ講座~ より


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