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記録(2024/6)

書籍

  • 『ときめく百人一首図鑑』渡邉裕美子監修
    ポップな本だが、最新の国文学研究の知見がつまっており勉強になる。式子内親王の歌「玉の緒よ……」は男性の立場から詠んだ題詠歌である、という見解が挿絵にきっちり反映されているところなど印象的であった。

  • 『漢詩入門』一海知義
    とてもわかりやすく、いろいろな詩が読めていい。脚韻や平仄についてのQ&Aもためになる。今月は漢詩の本をいくつか読んだ。

  • 『一海知義の漢詩道場』一海知義編

  • 『花アルトキハ花ニ酔ヒ』榊莫山

  • 『うたげと孤心』大岡信
    大変有名な本だが初読。いちいち引用していったらキリがないほど、納得せられるところが多かった。「現実には、「合す」ための場のまっただ中で、いやおうなしに「孤心」に還らざるを得ないことを痛切に自覚し、それを徹して行なった人間だけが、瞠目すべき作品をつくった。しかも、不思議なことに、「孤心」だけにとじこもってゆくと、作品はやはり色褪せた。「合す」意志と「孤心に還る」意志との間に、戦闘的な緊張、そして牽引力が働いているかぎりにおいて、作品は稀有の輝きを発した。(中略)単なる「伝統」にも単なる「個性」にも、さしたる意味はない。けれども両者の相撃つ波がしらの部分は、常に注視と緊張と昂奮をよびおこす。」(「帝王と遊君」)

  • 『詩人・菅原道真 うつしの美学』大岡信

  • 『白楽天 官と隠のはざまで』川合康三

  • 『厄除け詩集』井伏鱒二

  • 『明月記を読む 定家の歌とともに』上下 高野公彦

  • 「失花」李箱

  • 『日本語表現の流れ』阪倉篤義

  • 『天上の虹』1~3 里中満智子
    区の図書館から11巻セットを借りてくる。万葉歌に親しみが持てるところはよい。

  • 『佐佐木信綱と短歌の百年』三枝昂之
    信綱の大事さがよくわかる。

舞台

  • 国立劇場歌舞伎鑑賞教室「封印切」
    たまたま二度見た。一度はQ短のみなさんと一緒に行き、近くで歌会をする。けっこう盛り上がってよかった。それにしても、どうも私は上方の歌舞伎の方が好きらしい。

  • 朋之会 「小督 替装束」「半蔀」「鉄輪 早鼓之伝」
    鉄輪、工夫があって面白い舞台だった。中入前「恨みの鬼となつて 憂き人に思ひ知らせむ」、被衣を肩にかけ舞台を小さく回って拍子を踏む型を見たことがあるが、この日は被衣をすぐ後見に引かせてしまい、まっすぐ角へ出て両手をじっくりと胸に当てるやり方で、なんとも痛切で涙が出そうな一場面であった。最後、幕ギリギリまで行って大きく拍子を踏み、一気に幕を上げさせるのも初めて見た。

  • 日琉韓 鎮魂のまつり「沖縄残月記」「望恨歌」など
    よく分からなかったところも多い。が、お能を始めて見た時の感動を思い出す舞台だった。もちろんまだまだ知らない事ばかりだが、とはいえ多少のことを能について勉強してきたゆえに、演者の技術とか細かい決まり事、構成要素に囚われて、能が表現できる主題ということを忘れていた。そんなことを考えさせられる。琉舞もすばらしく、韓国の芸能も刺激的だった。

  • 第5回き乃会「定家」

  • 第20回六大学狂言研究会 蟬の会 「隠狸」など

上野の森美術館にて「石川九楊大全 古典篇」、都美術館「デ・キリコ展」。石川九楊大全は来月も行きます。
写真は旧水海道小学校本館。

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