高齢化社会と人間の寿命とのカンケイ

30年程も前だったでしょうか、「ゾウの時間 ネズミの時間」(本川達雄著・中公新書)という本を読みました。古い話で恐縮ですが、曖昧な記憶を辿ると…動物にはそれぞれの〈時間〉があり、それには体重と同時に心臓の拍動の速さが関係している、と。早い話が、巨軀のゾウは心拍数がとても遅く、寿命が長い。とても小さいネズミは心拍数がかなり速く、寿命は短い。

そして主だった脊椎動物を一覧表の中に収め、体重と心拍の関係性を当てはめると、人間だけが突出して寿命が短い、と。著者曰く【この一覧表に人間の体重と心拍数を収めると、140~150歳程度の寿命の筈】…当時の私は衝撃を受け、他の動物に比した成長スピードの遅さや乳幼児の死亡率の高さなど、人間特有の事情が寿命を著しく短くしているのか?と思いました。

昨日(5/16)付けの読売新聞朝刊によれば、東京大学医科学研究所の中西真教授(分子腫瘍学)の言葉として「2050年頃には100歳まで働き、120歳まで余生を楽しめる世の中になっている可能性がある」を紹介。

老化の一因とされる、細胞分裂しなくなった老化細胞について、近年加齢と共に蓄積し臓器や運動器に悪影響を及ぼすことが分かってきたようです。中西教授は2021年、ある酵素が老化細胞を生き延びさせていることを突き止め、その酵素の働きを妨げる薬を使うことで、筋力の回復や臓器の機能改善といった〈若返り〉効果が得られることを確認したとのこと。現在はマウスを使っての実験レベルですが、人への応用を目指しているといいます。

野村総研によれば、現役世代を「15~69歳」と捉えれば、2050年の高齢者等を支える扶養負担度は、〈2020年と同水準に留まる〉と試算され、元気な高齢者が活躍し続けられる環境整備が必要と指摘しています。

昔読んだ本の中にあった【人間の寿命は本来140~150歳】という仮説(当時)は、近々実証されることになるのかも知れませんね。高齢化社会への問題点解決へ、様々な方法論が続々と出てくるのかも知れませんよ。


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