バイト経験なし、内気な性格でも採用される!
そろそろ就活が始まりますね。
そこで今回は、東京の私立大に通う息子二人の就活を傍で見て感じたことを書きたいと思います。まずは人物紹介から。
一太
理系、院卒予定、
内気な体育会系。
バイト経験はスーパーのレジ打ち、
塾講師。
コロナ前だったのでサークル経験あり
二斗
経済、大卒予定
理屈っぽい文化系
コロナでサークルに入れず
バイト経験はゼロ。
飲み会参加もほぼ無し
はっきり言って、どちらも大企業が採用したくなる人材ではありません。
負け要素多めからの就活
結論から言うと、勝ち組ではないからこそ、「相手が求める優秀な人材になろう」とするよりも「自分の性格に合っているかどうか」が大切だと感じました。
二人とも、派手な経歴もなく内向的な口下手と、社会経験のまったく無いオタクですから。
長男、一太の場合
理系の学生は大学院に進むことも多いですが、研究室に入っていると専門知識も増えるので有利でした。
企業からの招待でインターンにも合格。ただ問題は、特別に優秀でもなく、口下手で、積極性のあるしっかりした雰囲気の好青年ではないこと。
どちらかといえば、おとなしくて頼りなく見えるタイプ。
「聞き上手」なんですが「話し下手」
学生時代も、近所のスーパーでバイトをしたらパートのおばちゃんたちに「もっとしっかりしなさいよっ」と厳しく言われて傷つき、塾ではおとなしい性格から塾長に気を使ってもらったそう。
こんな感じなので、実際の面接でうまくしゃべれるのか!?
まずはインターンに参加
その感想は、というと、
共通していたこと
20代でほとんどの男性が既婚者だった
(高給取りで安定しているせいだろうな~)
若手でも自由に意見できる雰囲気
(さすが大手)
各社の違い
※A社の場合
ノリが良くて飲み会や部活も盛ん
定時で帰宅
カラオケなどの懇親会をやってくれた
部長も率先して色々面倒をみてくれた
基本は在宅ワーク
社食のメニューが豊富
※B社の場合
飲み会、残業はなし
懇親会は居酒屋
お堅い感じ
基本は在宅ワーク
社食のメニューが少ない
※C社の場合
残業がある
懇親会は自由参加
チームで仕事をするので人間関係は「運」と言われた
出社が基本
社食は栄養士が管理
一太は「A社がいい」と言いましたが、私も夫も「息子に合っている」と感じたのは「C社」です。
エントリーシートから
やはり早期の内定はもらえなかったので、3月からの一斉スタートになりました。必ず提出しなければならないエントリーシートはAI頼み。
複数のサイトに登録し「採用された先輩」のお手本をいくつも参考にしながら文章を作り、それをchatGPTに入れて奇麗な文章にまとめ、それを私と国語の得意な次男でチェックしました。
意味がわかりにくいとか、ここの接続詞は変えた方がいいとか。
何しろ、4社とも仕事内容が違っていたので使いまわしができず、最後は期限ギリギリでストレスMAX。
ようやく面接へ
インターンに参加した企業は二次面接からでOKでしたが、そうではない会社は最初から面接を受けました。
面接の原稿は一太が自分で用意。
日頃からポヨ~んとした印象しかなかったのに、研究室の先輩に聞いて本を買ったりネットで調べたり。
面接は全てリモートだったので、部屋から漏れてくる話し声でどんな対応をしているのかが分わかり、「もっと自信を持って、大きな声を出した方がいいよ」とついダメ出しをしてしまいました。
それで怒るかと思ったら、意外にも自分の喋りを録音してチェック。次の面接では、しっかりとした話し方に変わったので
「やればできるじゃんっ」
実際の部署で働いている技術者との話は「楽しかった」そうで、何を聞かれるかは会社によって大きく違っていたそうです。
「ほぼ世間話で終わった」ところもあれば「仕事内容に関する質問はないかと聞かれた」ところもあり。
実際に話すと「手ごたえ」である程度はわかるものですね。
「ダメなときは相手の顔や声に出る」ので、お互いの雰囲気が良ければ合格。
そして、合否連絡の対応の早さで、会社組織のまとまりがわかりました。
すぐに対応してくれた会社と連絡がなく待たされ続けた会社。
合否の連絡の前に、学校推薦をつけるかどうかを聞かれた会社もあり。
さすがに一社に絞ることができなかったので、「推薦なし」を選択したら明らかに面接を後回しにされ、実際の3次面接では「手のひらを返したように意地悪な内容」だったそうです。
「落とすための口実を作られたみたいだった……」
これを聞いて私も夫も「やっぱりなあ」と納得しました。
学生は「会社側のいい話」をまともに信じてしまいがちですが、「優秀な人材」が多ければ多いほど内部での競争が激しく、自己研鑽が必要なのは明白です。
私も夫も「大企業がそんな甘いはずがない」と思っていたので、「何を言っても揚げ足をとられてすごく嫌だった」と泣きそうな彼を見て、
「まあ、世間の厳しさを体感できてよかったんじゃない?」
結局、4社受けて2社から内定をもらい、「入った後のメリットもデメリットも隠さずに話してくれた」会社を選びました。
就活は人生での大きな経験になる
とにかく口出しせず見守っていましたが、学生はほんとに大変ですね。
全てを一人でやるには強いメンタルが必要だし心細いと思います。一人暮らしをしていればなおさらでしょう。
面接はほぼリモートなので、家に居ながら就活が進みます。しかも、同じ研究室の中でも個人差があり、驚くような大企業に就職が決まった人もいれば、同じインターンに行ってすぐに内定をもらった人もいて。
そんな中で「自分は自分」と最後まで諦めず全力を尽くすことなんてそう簡単にできるはずがありません。
人と比較しない、という強いメンタルを保ち続けるのはホントに大変な試練です。
焦りからイライラして八つ当たりもすごかったし、ちょっとでも話しかければキレるという精神状態で、とにかく気を使いました。
次男、二斗の就活
二斗は最近人気な経済学部の4年で、一太と就活が重なりました。
データを使って分析する学科にいて、先輩には自分でデータ解析のプログラムを作れるようになって大手のデータバンクに就職した人もいたとか。
ところが本人は
「エンタメ業界に就職したい」
と言うので「ええ?」という感じ。
選んだのは出版やゲーム会社。せっせとエントリーシートを書いて名企業に応募しましたが、早々に全滅しました。
やっぱりなあ~
サークル活動もバイトもやってないオタクですから、人気のある会社はどう考えても無理です。
そもそも肉体労働が嫌い。メンドクサイ人間関係も嫌い。家に籠って自分のペースで仕事したい。
いやいや、そんな夢、叶うわけがないでしょっ
3月にようやく就活をスタートさせたと思ったら、4月にはどこにも受からずゼロ状態。慌ててじっくり話を聞いてみると、
「すっかり自分に自信を失ってどこにも応募する気力を失った、やる気が出ない」
メンタルが弱いとは思っていましたが、まさかここまで繊細だったとは。
大学の学部に寄せられた求人情報を一緒に検索しましたが、新しい分野のせいなのか、上場している企業からの求人は全くありません。
「そもそもこの学部が伸びるって言ったのは親だよね?」
ついに怒りの矛先がこちらに向けられ、実際これから伸びる分野だと思うのに、マイナビを見ても求人が少なく知らない会社ばかり。
しかも、4月の時点で大手は既に3次募集、4次募集に変わり、条件が厳しく、とてもじゃないけどエントリーシートを提出するまでには至りません。TOEICも800点以上とか「無理すぎる~っ」
企画やマーケティングを中心に検索しましたが、福利厚生の充実したところがいいと言うので、
「それなら大手のグループ会社に絞ろうよ」
親会社の大手は無理でも系列の子会社ならまだまだ募集しています。
結局、そこから見つけて応募することになりましたが、エントリーしたのは一社のみ。
「一社って……」
「これ以外は行きたくないから」
「ええ~っ」
夫に相談すると、「もし落ちても年内に決まればいいし、来年に公務員試験を受けてもいいよ」ということで、その一社に全てを託すことになりました。
結果的には「何とかしたい」という熱意が通じたのでしょう、興味があるだけに話も弾んだようで、内定をもらうことができました。
ほんと、プライドが高くやせ我慢するタイプなので、気づいてよかったと思います。あのまま本人に任せていたらメンタルを病んでいたかもしれません。
なので、就活には何よりも「心の支え」が必要だと思います。
まだまだ若いですから、一人で何とかしろというのは無理な話し。誰かの協力が必要ですよね。
なので、親でも友達でも就活アドバイザーでも何でもいいので、頼れるものは頼った方がいいと思います。
就活は受験とはまた違った側面があり、ホントに大変だとは思いますが、学生さんにはネットの記事に動揺することなく、充実した経験を書けるほど完璧である必要はないので、自分らしさを大切にして欲しいと思います。