男はなぜ孤独死するのか。地位と名誉とドーパミンの罠

最近は、中年の危機ということもあり、仕事の価値観を見直し中。そんな中で読んだ一冊。仕事に邁進しすぎて孤独死したいか?そんなわけはない。

【書籍紹介より】
必死に働いて生きてきたのに、気がつくとまわりには誰もいなかった……。
そんな事態になりたくない人は、手にとってみてください。
孤独死から逃れるためのノウハウが詰まっています。

男性は女性に比べて自殺する率が高い。その一つの要因に、男性が孤独になりやすい性質を持つことがあげられる。では、なぜ男性は孤独に陥るのか? 男性が孤独による死のリスクから逃れるにはどうすればよいのか? 自分の父親を自殺で亡くした経験を持ち、自殺問題についての第一人者が、豊富な臨床データと心理学のエビデンスに基づき、孤独死を避けるための具体的な処方箋を提示する実用書。すべての悩める男性必読。

孤独を「自分探し」などのロマンチックな機会としてみなす学派もある(それ自体について僕は懐疑的だ。なぜならそれは、独我論やそれに類似した自己陶酔のための理由づけにすぎない)

私も昔はそうだったかもしれない。友情から距離を取り、ひたすら自分の中を探求する本を読んでいたりした。ロマンチックと思ってはなかったが、自己陶酔の要素は含まれていた。なぜ自己陶酔したかというと、他者と違う自分であることを追求していたからだ。そこに価値を見出していた。今思えば、アホなことをしていた。

女性より男性の方が圧倒的に多い死因とは何だろうか。経済的・社会的な特権があることから、影響力は大きいがストレスの高い仕事によって引き起こされる心筋梗塞や脳梗塞、高価だが不健康な食品を好むことなど、富や権力の闇の側面と関係したものだろうか。  そうではない。それは自殺だ。

男性は孤独を好まざるを得ない。そして自殺する。とても悲しい動物だ。その本能を理解し、抗い、孤独でない幸福を追い求めたい。

問題はむしろ孤独感にあり、男性は年齢とともに友人や家族との接点が徐々に失われていき、ここが重要なのだが、それを補充することができないのだ。

友情の補充、メンテナンス。確かに私も怠ってきた。もっと大事なことがあると思っていた。努力、達成、地位、名誉。しかし、そんな事はなかった。

問題解決の秘訣は、「自治の自由を踏みにじるな」、言い換えれば、「俺の邪魔をするな」という態度から、「僕は愛する人とつながり、お互いに助け合いたい」という態度に移行することだ。

人間関係を断ってまでも何かを達成したい欲望が、男には内在している傾向がある。それには、後述する理由がある。本能的なものだ。いってみれば、遺伝子に操られている悲しいサガだ。そこから理性で脱出し、人間関係、愛情の世界に辿り着こう。

富と物質的財産の蓄積を重視すると、全体的な幸福度が低下し、そして僕の主張にとって重要なことだが、人間関係における親密さや満足度が低下するなど、さまざまな悪影響がもたらされる

お金への執着が、人間関係をないがしろにする。お金の貸し借りの話ではない。本来大事にするはずの家族や親友でさえ、捨て去ってしまう。それほどの力がお金にはある。ただ、お金がどれだけあっても、孤独であればそれだけで不幸なのだ。

睡眠中にも他者に帰属しているという意識は、存在するだけでなく、健康にとって重要であることを裏付ける研究文献も出てきている。ある著名な睡眠研究者の言葉を引用しよう。「睡眠は、基本的な愛着行動と考えることができ、

家族と同室で寝ることの価値が、ここに示されている。

この本はわかりやすいまとめが記載されていないが、私なりに思い出すと
・自然と触れ合う
・人間関係を地位や名誉よりも大事にする
というものだ。こう書くとありふれているように思えるが、男女間での孤独の違いについて、ここまでしっかり述べた本には初めて出会った。良書である。




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