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源泉所得税・住民税特別徴収納付の仕組み

今回のオンライン勉強会は、社員から預かった税金をどのように会社は納付しているのか。その仕組みについて説明しました。少しずつですが、話を積み上げるための土台ができつつあり、進んでいる実感があるようです。

恒例のクイズからスタート。

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会社員の方は、毎月給料から源泉所得税を引かれている。フリーランスの方は、報酬から源泉所得税を引かれている。支払い側の会社はそれをどのように国に納めているのでしょうか。

その点について、実際にその作業をしていないと普段意識をしないと思いますが、その納付の仕組みを理解すると、源泉所得税とはどんな仕組みで徴収され、納付しているのかがイメージできるようになると思います。ということで本日のゴールはこちら。

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What's源泉所得税?

基本的な内容をまず理解しておきましょう。そもそも源泉所得税とは何なのか。

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ポイントは3つです。

①支払者が「源泉徴収義務者」か  ②支払いを受ける側が「個人」か   ③支払ったものが「源泉徴収の対象」か

①と②は普段意識しないことも多いので、メインの論点は③ですね。この点に関しては後ほど説明しますが、この3つに該当すれば、会社は源泉徴収をしなければなりません。

そうして預かった源泉所得税は、会社が税務署に翌月10日までに納付します。

まず、給料に関してはこちらに事例を記載しています。

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月200,000円の給与に対し、前回の勉強会でお伝えした源泉徴収税額表をもとに源泉所得税額を計算すると4,770円になりました。その源泉所得税額を支給額からマイナスして給与を支払います。そしてその会社が預かった4,770円の源泉徴収税額は給与を支払った月の翌月10日までに税務署に納めます。

毎月そうして概算の源泉所得税を会社が預かり本人に代わって納付していきますが、12月に年間の給与の額を基礎として年末調整でその人の年税額を会社が計算します。仮にその人の年税額が50,000円だった場合、4,770円×12月=57,240円では納めすぎていたことになります。そこで会社は本人に対して7,240円を返します。その返した7,240円は次回税務署に納める源泉所得税額から差し引きしていくことで返してもらいます。

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毎月の税務署への源泉所得税の納付は、このような納付書を使って税務署や金融機関で納付します。

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そして、年末調整で社員への還付額があった場合、このように「年末調整による超過税額」欄に還付額を記載して差し引きして納付をしていきます。差し引きした結果納付する税額がなければ0円ですね。

基本はこれが納付の仕組みです。簡単ですね。ただ、毎月毎月納付に行かなければいけないというのは、小規模な会社ではかなり負担だったりします。そこで納付の「時期」や「方法」について選択肢が設けられています。

納付の「時期」は半年に一度にできる

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社員が10人未満の場合、源泉所得税の納付を半年に1度の納付にすることができる制度を「納期の特例」と言います。1月分から6月分までの源泉所得税を毎月会社が預かりますが、納付は7月10日でOK。7月分から12月分は翌年の1月20日までですね。税務署に申請書を提出することでこちらは適用されます。

納付の「方法」はインターネットバンキングや口座引き落としができる

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従来は納付書を税務署や金融機関に持って行って源泉所得税を納付する方法でしたが、電子申告をしていれば、インターネットバンキングによる納付も可能です。また、ダイレクト納付の手続きをしていれば、期日を指定して口座引き落としをすることもできます。

うちの顧問先でも、今までは毎月納付書を銀行に持っていって納付していたけれど、納期の特例を申請し、ダイレクト納付に切り替えると、毎月の納付が本当に楽になったといってくださる方もいます。意外と知らない納付の方法の話でしたが、手続きも簡単なのでぜひ検討してみてください。

報酬の源泉所得税の納付

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今回はメインのお話ではなかったので簡単な説明になりますが、給与のほか、個人事業者に支払う報酬に関しても会社が源泉所得税を預かって税務署に納付します。たとえば、会社がWEB記事を個人のライターさんに書いてもらう「原稿料」や、講師を呼んでイベントで講演してもらう際の「講演料」ですね。1回の支払いが100万円以下であれば10.21%を差し引いて支払いますので、報酬が100,000円の場合、源泉所得税は10,210円です。

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こちらの報酬の源泉所得税に関しては先ほど書いた年2回の納付でOKな「納期の特例」は対象外になりますので、納期の特例の適用を受けていたとしても報酬に関する源泉所得税は毎月納付しなければなりません。ここは納付漏れがあることが多く要注意。

そして、個人に支払うものすべてが源泉所得税の対象となる訳ではなく、「原稿料」「講演料」をはじめとした決まった報酬に関してのみ源泉所得税の対象となることも留意が必要ですね。

住民税の特別徴収の仕組み

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給与から控除されて納付するものとして源泉所得税のほか、「住民税」があります。こちらも仕組みとしてはほとんど同じでよいかと思います。ただ、源泉所得税は税務署のみであるのに対し、住民税は社員の住んでいる市町村すべてが対象となるのでやり取りがその市町村の数だけ発生する点が大変ですね。どうにかしてほしい。

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住民税に関しては、源泉所得税のように会社が税額を計算するのではなく、各市町村から通知があった金額を各社員から徴収していくことになります。また、住民税の納付に関しても「納期の特例」や「ダイレクト納付」などがあります。

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今回は比較的楽に理解ができたのではないでしょうか。でもダイレクト納付など意外と知らなかったという内容もあるかもしれませんので、何か1つでも得るものがあれば嬉しいなと思います。

次回、6月30日(火)20時~21時は「フリーランスにまつわる源泉所得税」がテーマです。報酬についてがメインですが、今回の復習的な内容になりますので参加できなかった方はぜひ。

また7月4日(土)10時~11時は「消費税の仕組みの基本」がテーマ。みなさんが店で支払った消費税はどのように国に納付されているのかについてお話する予定なのでぜひ。

7月以降も隔週平日夜、隔週土曜の朝にオンライン勉強会を開催予定です。

興味のあるテーマのときだけでも遊びに来てください!




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