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ペーパーレス年末調整の現在地を知る

久しぶりにセミナー資料を作成したので公開しておきます。

今回は「ペーパーレス年末調整の現在地を知る」をテーマに年末調整の電子化について、初心者向けに非常に簡単に解説してますので、すべて紙で運営している方でこれから取り組みはじめる方のご参考になればと思います。

全体版はこちら。

年末調整の電子化についてはとても煽っているような文言も見受けられますので、今日は実際のところどうよ?っていうお話を。

そもそも年末調整というのは、給料をもらっている社員さんが年末に扶養控除等申告書を出すなどして、会社が年税額を確定し、概算で預かっていた税額を精算する仕組みをいいます。

具体的に数字を出しながら説明するとこのような感じですね。

年末調整は原則確定申告すべき所得税申告の特例ですが、年末調整を行う人は4850万人もいるんですね。

この部分の電子化がさらに進むと日本全体としても効率化が進むように思います。

昨年あたり、「年末調整の電子化が義務化されます!」と悪質な営業トークを見受けましたが、義務化されたのは年末調整をした後の法定調書を提出部分が一部義務化された話でした。

そんな営業するから嫌わられんねん、と強く思います。

今回は会社内で行われる年末調整業務の話ですので、まずどの部分の電子化の話をしているかをハッキリと認識しましょう。

少しアンケートをとりましたが、今回のセミナーに参加された方の中には①のすべて紙で運用している方が半数でした。

すべてを紙で運用している場合、このような形ですね。ここで課題になるのは社員が申告書に控除証明書から転記、転記されたものをチェックしながら会社がシステムに入力するという2度の入力業務が発生している点ですね。

また、個人情報が満載の紙の保存もばかになりません。

理想の電子化はこんな感じでしょう。図はバラバラに描いていますが、保険会社などから電子証明書のついたデータを受け取り、それがそのまま会社のシステムに登録される。社員や会社で入力業務が一度も発生しない状況です。

ただ、現時点ではやはり控除証明書あたりが電子化の現実的なハードルになっているでしょう。

「え、会社には控除証明書を写真で送ってるよ?」という方もいるかもしれませんね。
それは正しくは電子データ(原本)とは認められていません。画像を送った後に、会社に対して紙の原本の提示か提出が求められているのはそういう理由です。
国税庁のQ&Aを参考までに。

また、それ以外にもまだまだ完全な電子化にはハードルがあります。ローン控除証明書は平成30年以前に居住した場合は、電子データで提供できないこととなっており、その方々は紙の原本の徴収が必要。

保険会社も全ての保険会社が電子で控除証明書を提供している訳ではありません。それでも3年目にして大手はかなりの会社が対応するようになっていますので、着々と進んではいますね。

最後に年末調整がよく分からない社員に保険会社等からのデータを集めてもらう必要がある点。このあたりのシステムの操作性がよくなり、広がっていくまでもう数年はかかりそうです。

そうすると、現時点での年末調整の電子化は社員にシステムに入力してもらい、控除証明書は画像添付、紙は後日徴収というのが現実的な運用でしょうか。

段階的に一部電子データで徴収する部分も出てくるでしょう。

結局紙残るやん、と言われればそうですが、かといって何もしないという対応はそれも違うと思います。

ひとつには、会社の担当者が入力と確認の両方を行う必要がなくなり、確認だけで良くなる点。

これは軽視されがちですがとても大事な点です。
バックオフィス業務の効率化においては、できるだけ業務を前線に持っていくことが鉄則。
入力業務は一回のみ。内容をよく理解している人が行う。
これがゆくゆくは保険会社からの電子データに移行していければベストです。

このような電子化の流れが徐々に、でも確実に毎年進んでいきます。

マイナポータル連携を活用した年末調整にチャレンジする企業も今年は増えていくでしょう。

まだまだ時間的に猶予があるかと思うのは間違い。現時点から取り組むから課題もよく理解できる。どこまでできて、どこができないか。どこまで今回できるようになったか。
そうした内容を主体的にキャッチアップしていくバックオフィスをつくることが、会社にとってとても大事な取り組みになります。

年末調整だけの話ではありませんが、マイナポータルを活用した連携への推進が進んでいくでしょう。

保険会社から1件ずつデータをダウンロードするのではなく、マイナポータル上でデータを集約し、そのデータを給与システムに連携して契約情報が自動入力される。

これらは確定申告にも当然利用できるようになっているので、証明書を見て確認して入力という作業が全体として減っていく流れが進んでいきそうですね。

ということで、年末調整の電子化はまだまだ過渡期ではありますが、着実に毎年進化しています。

もっと理解を深めたい方は国税庁のホームページに情報がまとまっているのでご覧ください!

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