見出し画像

アメリカで足を折る その2

「え?骨が折れてるの?3か所も?うそでしょ。」というのが正直な感想。思えば、家を出るときにあまりに汗が出てて、Tシャツがぐっしょりだったので、着替えていた。あれは骨折の痛みによる冷や汗だったのか。車の中でも気分が悪くなった。あれは骨折の痛みによる貧血だったのか。なーるほど、と合点がいったが「骨折なら治るまで時間がかかるんだろうな」と思った。数週間後にイスラエルのプログラムに参加しないとExecutive MBAが終らない。年末に卒業できなくなってしまう。それは困るなあ、どうしよう。

先生は出ていったきり帰ってこない。ぼーっと痛みに耐えていると助手らしき人が入ってきて、「薬のんだ?」ときいてくる。「あ、まだ飲んでないのね。じゃ、また飲んだころにくるよ。薬飲まないとつらいだろうから」。なんのことを言っているのかわからないまま、今度は別な人が「痛み止めと胃のむかつきを抑える薬を飲んで」といってきた。いわれるままに飲んだ。痛みが止まるなら助かるなと思っていると先ほどの彼が戻ってきて、「じゃあ、足を伸ばすよ」といってきた。はい?私の足は3か所折れているのですが。。。と思ったのもつかの間、彼が思いっきり、足首をつかみ伸ばし始める。めちゃくちゃ痛い。人生に経験した痛みで一番痛いかも。「だめだな。もう1回」といってまた伸ばす。もう無理と思ったときに「ポキッ」という音がした。「Are you still with us? (気を失ってない?)」といわれたのを覚えている。どうやら脱臼していたらしい。じゃあちょっとX線で戻ったか見てみようとってもう1回X線写真をとる。もう頼むから戻っててと祈るような気持ちでいた。どうやらうまく戻ったらしい。助かったと心から思った。

先生が戻ってきて、じゃあ今日はここまでとのこと。Splint(簡易ギブスみたいなやつ)をつける。「明日整形外科に行ってみてもらって。多分手術が必要だと思う。今飲んでる痛み止めは8時間くらいで切れるからね」。松葉杖をもらって、UBERで家に帰った。時間は夜の11時くらいだった。家に帰ると奥さんが「どうなっちゃうの?」と興味津々できいてくるものの、別に悲壮感はない。まあ骨が折れてしまったのは仕方ない。とりあえず明日なる早で整形外科に行こうと思っていた。体はこの事態に対応しようとしていて、短期的に生存するためのエネルギーを放出している感覚があった。その分、あとで落ち込むんだけどね。その3に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?