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しんたろうの詩
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2020年12月の記事一覧

さえずり

詩「さえずり」

小鳥たちはさえずる
世界中で殺される豚や牛たちを歌う
その歌を聴いてる犬は純粋に
餌をくれた人間に感謝している
鳥は誰かの為にさえずるから鳥なのではないし
犬はその日まで犬として生きてきたから
その原っぱで耳をすませているのでもない

どこかで老婆が歌っている
わたしをだきしめて
どこのだれでもいいから
やさしくだきしめて

どこかで小さな子の手から逃れた風船が飛んでいく
白い雲

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世界

詩「世界」

この世界に産み落としたあなたを守るために
武器は手渡された
あなたを傷つけようとする怖い人達はみんな撃ち殺した
わたしはあなたを守ることに必死だった
あなたははだかんぼうであまえたり
おかしを食べたり飛行機をふりまわしたり
乳首を吸ったりして笑顔へ導いてくれていた
そしてわたしはあなたに食べられていった
あなたにサバイバルを教えたのはわたしだからだ
はじめてチョウチョウを食べた時のこ

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カニのきんたま

詩「カニのきんたま」

どいつもこいつもすたこら
さってしまったすなはまに

しおのなみまをながめるはひとりのりょうし
そのてにはくろいタンポポさももりのごとし

どんぶらこっこおおぶねこぶねに
のらりくらりのりそこねちまって

あっちでぶらぶらこっちでぷらりしてやがる
おメデタイのひれとおおもいかいべらぼうめ

そいつはカニのきんたまよ

いますぐそのまっさらなふんどし
あかにかえやがれってんだ

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