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しんたろうの詩
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2020年9月の記事一覧

あかちゃんのて

詩「あかちゃんのて」

わたしのほっぺにさわる
かえでのはっぱ
あかちゃんのて
わたしだけのもの

おかあさんのあかちゃん
だっこしてあげるの
わたしのかわいい
かわいいいもうと

きれいなおめめひらいてわらう
うたうかえでのはっぱよ
きこえるの
あかいもみじ

(2016年7月)

ある夜

詩「ある夜」

静かな草原でライオンが
存りもしない偶然を待ち侘びる
見上げると満月の角とキスする雪
これから先も眠らないでいようよ
あの去ってく踵がうそぶいてる

あの街の明かりのうちどれかが
いつか見た太陽沈んだ星ぼし
その瞬きが
誰かの微笑みを拾おうとしてる

風と遊ぶヒゲの隙間から
家路をたどるせわしない火のこ
馬鹿な瞼おろかしい台詞
頬いっぱいの腕時計
仄めかす飼い馴らされた思い出

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トゥンジーの声

詩「トゥンジーの声」

サトウキビがヤマトの風にさらされる音
ざわざわ とその身を明け渡しているだけで
「私を殺さないで」とは言わない

岬に波が押し寄せる音
どうどう と押し寄せて
「私の赤子をかえせ」とは言わない

冬風が指を焼き焦がす音
冬風は密かに
「はるか遠くの国々の冷たさは こんなものではないよ」と
また囁いた

(2005年12月ホームページ「島人詩人」にて公開)