現代アートとはなんなのか-教養としてのアート 投資としてのアート
「なんだかよくわからない」
「草間彌生は知ってる」
「印象派とかのきれいな絵の方が好き」
現代アートに対する認識ってこんな感じじゃないですか?
僕もその通りで、元々は印象派のモネやゴッホが好きだったんですけど、最近は少しずつ現代アートにはまってきました。
でもアートのくせに、美しさじゃなくて謎の立体模型を作ったり、現代アートってよく全くわからないコンセプトのものも多いなーと思っていました。
なので現代アートをもっと楽しむために『教養としてのアート 投資としてのアート』を読みました。
徳光健治さんというアジア最大級の現代アートのオンライン販売サイトを運営している人が書いた本です。
今の僕ならば現代アートがなんなのかということを比較的きちんと紹介できます。
アートに興味のない人も、世界的にはアートブームが来ているようなので、教養として知っておいてもいいかもしれません。
早速、紹介していきます。
現代アートはコンセプトが大切
『泉』という作品で有名になった、現代アートを語る上で欠かせないデユシャンというアーティストがいます。デユシャンは男性用便器にサインをしただけの作品をギャラリーに送ったことで現代アートの礎を作りました。
「え?便器にサインだけでアート?」と思いませんか?
僕もこの作品をネットで見たことがありますが、はっきり言って意味不明です。
ですがデユシャンが偉大だったのは、その便器を美術品と言い張ったことです。
この便器によって、『これが芸術ということは、そもそも芸術ってなんだっけ?』とみんなが考えるようになったというんですね。(みんなめっちゃ真面目。)
で、みんなが考えに考えた結果、『アートとは「目で鑑賞する美しいもの」ではなく、表現したいことはなんなのかという「考え方」そのものだ』と結論づけました。(ここでいう考え方とは、社会情勢における作品の立ち位置とか作品の持つ意味や文脈とです。後述します。)
それを表現するためには必ずしも美しさが必要なわけではなくて、むしろ便器が適していたりすることもあるわけですね。
これが現代アートが一目見ても、全然わからない大きな理由です。美しさ競争じゃないんです。
つまり現代アートをきちんと楽しむ際には、その作品の持つ意味や表現したいことを捉える必要があります。
ちなみにアートに精通しているキュレーターやコレクターも作品を一目見ただけでは意味がわからないことが多いそうで、作者や作品の背景なんかをきちんと勉強して作品のことがわかってくるようです。
評価される現代アートとはなにか?
「じゃあ、どんな現代アートが評価されてるの?」というと。
この本では『発明品であること』と『インパクトがあること』が評価されるアートだと述べられています。
発明品とは、どこかで見たことのあるものではなく、これまで存在しなかった技法、制作方法、コンセプト、表現方法であるということです。それまでどこにもない発明品は、新たな美術史の文脈を形作っていくことになる可能性があるからです。
インパクトは単純に見た目だけではなく、その作品が社会に放つメッセージが多くの人々の共感や感動を呼ぶものであり、また刺激的な事件として取り上げられることもあります。
これらを見て僕が感じたのは、バンクシーが東京に描いたとされる傘を持ったネズミの絵です。(この絵が本物かどうかは僕にはよくわからないので、この場では本物として取り扱います。)
この小池都知事のツイートのやつです。
誰かがツイートしていたんですけど『ネズミが避けているのは単なる雨じゃなくて、放射能の雨である。これは日本に対する皮肉の絵だ。』と言っていて、なるほどなーと思いました。(真偽のほどは知りません。)
こういうのが社会に放つメッセージ性であり、バンクシーが現代アートとして評価されている理由なのですね。
投資としてのアート
この本は投資としてのアートを楽しもうというコンセプトも半分にはありまして。
アートに投資するのも悪くないよー。買ってみてもいいかもねー。と言ってくれています。
こんなコンセプトのアーティストは買っちゃダメとかこういうギャラリーがいいとか事細かに教えてくれます。
特に、この本が最高なのは超具体的に、『10万円以内で買えるおすすめアーティスト20』とか、『10万円を超えるがチャレンジしたい注目アーティスト20』というのを教えてくれることです。
しかもどういうコンセプトの作品群なのかということを一言付け足してくれていて。これをみながら現代アーティストの卵たちの作品を見るのが楽しいです。
今ならkindleで半額になっているのでお得です。
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