見出し画像

いい意味でどっちつかず?東京・札幌、戦術的二拠点居住対談

最近流行りの多拠点居住。自然がいっぱいで、憧れの田舎生活でスローライフを満喫!みたいなイメージがはびこる中「ちょっと待てよ」と。実際やってみると思うわけです。そんな画一的な多拠点居住しかないなら、ユルフワな人たちしかやれないよ、と。
 札幌と首都圏の二拠点生活をしながら、どちらの拠点でもガチで仕事をする田島と葛原が、二拠点居住の本音と問題、それでもやっぱり多拠点で魅力的だよねっていう話をつらつらと。
 今回は、衣食住の話から多拠点居住における仕事の仕方について、語りました。

田島さんのnoteはこちら
https://note.mu/epitajim


葛原:ぼく、いつも荷物が多くなっちゃうんですよ。いつも預けの荷物の上限の20kgギリギリです。洋服、好きなんですよね(笑)「食」で言うと、本当はもっと自炊して、ごはんをいろいろ作れるようになりたいんですけど、食材を買えないんです。一ヶ月とか、部屋を空けちゃうこともあるので。

田島:「衣」はあんまり気になることはないけど、「食」はかなり意識を改めました。移動自体に体力を使うので、酒を減らし、ジムに行き、栄養素を見直しました(ちなみに自炊はしてません)。二拠点居住すると「旅してる感じ」で美味しいものを食べ過ぎちゃうんだけど、それを早く止めるよう気をつけました。そもそも東京だって美味しいものはたくさんあるのに全部は行ってない訳だし。

葛原:「住」で言うと、家賃はとにかく安いですよね。僕の部屋は、20平米のワンルームで2万8千円です。札幌の中心地となる大通駅まで部屋から15分で行けます。ただ、ベッドやら、家財道具やらを揃えるので、初期費用は一人暮らしスタートと同じくらいのお金がかかりますね。僕も体力大事だなと思って、ランニングシューズはどっちにも置いてあって、走っています。

田島:「どっちにも置く」は僕も重要だと思いました!両方とも「住んでいる」という意識を整えて動かないと、生活の質が下がるし、二拠点居住じゃなくて「旅」のままになってしまうと思います。「住」で言うと、さっぽろの家賃が安いことも超同意です!!僕の家は、すすきの駅から徒歩8分で、7.5万の1LDK、エアコン、追い焚きぶろ完備は嬉しい限りです(東京23区内なら11〜12万ぐらい?)。移動はどうしてます?

葛原:ぼくは基本的には、羽田ー新千歳のスカイマークを使っています。平日の昼間、9,000円前後をチケット狙っています。それがなければ、成田 - 新千歳のLCCですね。

田島:LCCは成田が遠くて高いのと「手荷物手数料出せ」な圧力を強く感じて辛いので、使わないようにしてます(あえていうとPeachがオススメ)。基本的にはスカイマークかAIRDO。AIRDOは北海道の企業なので、応援したくなってます。飛行中のラジオで、十勝〜札幌出身のサカナクション特集やってることが多いので、よく聞いてます。

ちなみに、AIRDOはポイントが着いたり、クレジットカードがあったりする。ANA系列なので、ANA系のポイントが付く可能性あります。保安検査場の通過などは、iPadにQRコードを表示させておけばOKなので楽です。一方、SKYMARKは、シンプルさがウリなのでポイントなどないのだけど、値段はこっちが安いことが多いです。定時運行率が非常に高いことと、羽田空港の場合だと保安検査場の眼の前がカフェなので、重宝します。

葛原:バニラエラは、遅刻をおまけしてくれたことがありまして…。バニラエア、大好きです(笑)。

田島:飛行機の中ではどう過ごしていますか?

葛原:飛行機は現代社会で貴重なオフラインな時間。文字起こしなど、単純作業で集中しないとできないことに充てることが多いです。田島さんは?

田島:集中できます…!貴重なオフライン時間感はわかります!iPadのKindleでの読書量がめっちゃ増えました。狭いからPCも開きたくないので、Kindleをすごい読みます。そういう意味では、SNS中毒が少し薄れたかもしれません。

葛原:雪の時期は、欠航に注意ですね〜。新千歳は雪に強いけど、羽田や成田は弱い。打ち合わせの当日を移動日とかにしないほうがいいですね。

田島:まだ冬をしっかり体験してないので、それは非常に怖いなあ…。ビジネス二拠点居住するなら、割高だけど、フライト時間帯を変更できるチケットを買えるぐらい頑張らないとなあ…なんて思うことがあります。

葛原:ぼくは対策として、2〜3日のバッファを見ています。「この日までには移動する」っていうのを決めて、その2〜3日前ぐらいには移動しちゃう。フリーランスだからできることかもしれませんが。

田島:僕は土日を中心に東京に通ってる状況なんで、厳しいですよねえ…。冬は冬の対策が必要かもしれませんね…。気候の影響を二倍受けるってのは、二拠点居住の忘れがたい問題かもしれません。今、東京行くとへばるし。

葛原:6月の移動日、28℃の東京を出発して、新千歳に着いたら8℃でした。20℃差って…。

田島:やばいっすね。あと「移動」という問題で思うのが、自分の中で「帰る場所」がわからなくなっているのは感じます。どこも「親しい一時拠点場所」という感じになってきた。

葛原:ぼくはどちらにも「帰る」とか「戻る」という言葉をあえて使うようにしています。そのほうが周りの人が安心するので。

田島:周りの方々に使うのは分かります。ビジネス編の「価値観の差が激しくなる」問題もあるので、他者に向けて「帰る」や「戻る」という言葉を使うのは分かります。ただ、自分の中では、わからなくなっているというか、「超長い遠征」をやっている感が強まっています。

葛原:難しいですね…。ぼくは30年間ほぼ横浜に住んでいるので、横浜のほうがどうしてもホーム感が強いです。札幌での生活は、コスパ重視ということもあるかも。家賃の水準を田島さんぐらいに上げて、環境を整えれば札幌のホーム感が増すかもしれません。

田島:ホーム感とは何によって作られるものなんでしょうねえ。ちなみに未だに、札幌の自宅のリビングルームに電気をつけていないんです。トイレとか廊下とかクローゼットとかの電気でなんとかしてます。

葛原:あはは(笑)。ぼくもクリップライト3つが照明です。間接照明としておしゃれなんで、普通にお薦めですよ。

田島:クリップライト3つ、良いなあ。今、ふと思ったんですが、いつか横浜中心の一拠点居住に戻るんですか?

葛原:うーん…僕場合、仕事ありきの二拠点生活なので、仕事の状況が変われば、拠点も変わるかもしれません。札幌以外の場所と、横浜の二拠点とか。横浜に住みながら、自由に移動するかとか。

田島:逆に横浜から完全撤退できます?ちなみに僕は東京完全撤退は無理です。

葛原:無理ですねぇ。横浜に実家があるだけで、横浜と言いつつ、要するに「東京」。今の生活水準を維持しつつ、面白くてお金にもなる仕事を得るには、どうしても「東京的」な仕事になりますよね。

田島:理由は「稼げる」だけ?僕は、東京の多様な価値観に寛容なところはすごい魅力的だし、欲望(消費)とサービスがつながっている感じはすごく楽だし、刺激的だと思う。

葛原:なるほど。二拠点居住における理想の働き方って何だと思いますか?

田島:二拠点居住をした時に、一緒に仕事をする人間との共有する時間の差が大きくなる問題をどうするのかが一つの課題だと思います。同じ職場だと価値観が共有できるけど、二拠点だと両方とも薄くなるので、心の溝が生まれやすい、共感しにくい部分が出てくる。謙虚になることが重要だと思って、謙虚にしてたけど、それでもダメなことがある。

葛原:僕の場合は、そもそも、問題が起きなそうな人たちとしか仕事しないんですよ。状況を説明した上で、仕事をできる人たちとやってる。リモートに慣れている人たちと仕事をしているし、リモートがやりやすいことを仕事にしています。ただ、今後のことを考えると、どうなの?っていう不安もあります。キャリアップができるのか?っていうことですね。ライターのまま、人生を終えるのか?もっと川上の仕事を得るための経験が、今は積みにくいかもしれません。

田島:二拠点をすることで失われるキャリアはどんなものがありますかね?僕の場合だと いわゆる 「おっさん文化」、すなわち高度経済成長期的な価値観との整合性は取りにくい気がします。週末東京でビジネスやってる後輩なんて、可愛くないですよね(笑)言い換えると、キャリアを引き上げる権利を持つ偉い人達の受けが良くない、なんてことが発生することも今後はあるんじゃないかと思います。

葛原:クライアントと直接つながるような仕事を積極的にやっていく必要がありますよね。

田島:実力というかニーズがあれば十分に可能だと思います(し、そういう人間になりたい!)。距離があるから「お前は仕事できないけど、俺がなんとかしてやる」的な馴れ合いは生じにくいけれど、その一方で、「一回会う」ことのできる人は爆発的に増える。そこから親しみやすさとかにじみ出る人となりとかはかなり分かるので、ライトな「馴れ合い」は作りやすい。会う度に「たまにしか会えないし飲もうか!」って言いやすいのも嬉しい。二拠点居住は、出会いの数を増やしやすい生活形態なので、それを仕事に活かせるのであれば(一回で仕事を進める魅力とかスピードがあるとか、親しみやすい人だとか、ネット上で連絡取りやすいとか)、二拠点居住は悪くない。

葛原:仕事もイベントも情報も、東京にしか無いものってありますね。どこでも仕事ができる時代と言いつつ、実はそうでもないのかも。

田島:実はどこに行っても縛られてしまう時代、かもしれないですね。札幌に来て「出張時に(嫌で)一回泣いて、札幌で良い体験をして、東京に戻る時もう一度なく」という逸話をいろんな人から聞いたりします。だけど、僕たちはそういう感動からは離れてしまっているのかもしれない。東京には毎週戻ってしまっているし、webを通して東京の人と仕事をしているだけで、繋がる空気感みたいなものはある(今日は暑かったらしい)。東京にいすぎてしまうと、刺激に負けてしまう部分はある。札幌に週4日ぐらいいて、腰据えて仕事をしていると、残りの3日でフルパワーで東京の刺激をもらいにいこう!という感覚になる感じがある。だから僕は、東京に縛れるのは決して悪い話ではないし、札幌にいる時間も貴重だと思います。

葛原:東京にも、札幌にも、緩くつながっているとも言えるし、縛られてるとも言える状態。どっちつかずとも言えるけど、だからこそできることもあるのかなと。

将来的に「フェスティバルウェルビーイング」の本を書きたいと思っています。そのために、いろんなフェスに行ってみたい。いろんな音楽に触れてみたい。いろんな本を読みたい。そんな将来に向けての資金にさせていただきます。