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3つのルールを知っていると「全日本製造業コマ大戦」はもっと楽しめる


全日本製造業コマ大戦」(以下コマ大戦)。モノづくり企業が自社の持つすべての技術を、直径が一円玉サイズのコマに注ぎ込んで戦う熱きケンカコマの大会です。
製造業の人たちが普段使用している高性能な機械高度な加工技術を惜しみなく活用し、対決させるというなんとも真面目に不真面目なことをやっているゲームです。全日本製造業コマ大戦公式ホームページ

知人の紹介がきっかけでコマ大戦を始めた私も、
気が付けば7年目の古参に・・・。この記事は、コマ大戦に少しでも興味を持っている方、コマ大戦に参加してみようかなという方に向けて書いてみました。

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コマ大戦の主なルールは以下の3つです。

1. コマ
直径20ミリ、高さ60ミリ以下

2. 勝敗
相手より長く回っていれば勝ち
土俵に残っていたほうが勝ち

3. 土俵
直径250ミリ(ピザMサイズくらい)のお椀型
材料はケミカルウッド

それでは、それぞれ見ていきましょう。

1. コマ
コマは直径20ミリ以下。コマ大戦では最も重要なルールです。
そのため直径は定規やメジャーよりも何ケタも精密なリングゲージという専門の道具を使って測定します。
リングゲージは金属製ドーナツ形、その穴を無事に通過できれば直径20ミリ以下というわけです。この試合前の戦いに負け、リングゲージに通らずヤスリをかけながらアタフタするのはコマ大戦では見慣れた光景になっています。

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リングゲージ

しかし、このルールをあざ笑うかのようなコマが登場しました。

開く変形コマ」です。

試合前は確かに直径20ミリのコマですが・・・

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回転させるとまるで傘が開くかのように直径が数倍に大きくなるのです。
この「開く変形コマ」は一世を風靡しましたが、どんどんエスカレートしていきます。

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大きく開く変形コマ

そのうち土俵よりも大きく開くようになりました。それでは試合にならない、ということで新たなルールが加えられました。それが、高さ60ミリ以下だったのです。この60ミリ以下は当時もっとも有名だった「開く変形コマ」から決まりました。


2.勝敗
コマ大戦初期
のころは「長く回るコマが強い」と言われていました。
そのため、ピカピカで摩擦が少なく、ズッシリと重心が低い「王道コマ」と呼ばれるコマが優勝していました。

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ところが、そんなコマが次々と敗退する時代に突入します。
ぶっ飛ばし「イボ型コマ」の登場です。表面にはイボのような突起があり、とにかく重たいコマです。重たすぎて長く回ることはできませんが、このイボと持ち前の重さで相手を土俵の外に飛ばしてしまいます。

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100グラムを超えるイボ型コマ

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長く回って勝つ時代は終わり、土俵の外に弾いて勝つ修羅の時代が到来するかに見えましたが・・・。


3. 土俵

コマ大戦の舞台は直径250ミリお椀型の土俵です。
ポイントはその素材。ケミカルウッドというものでできています。ポリウレタンなどの樹脂(ケミカル)木の粉(ウッド)を混ぜて作られています。木目や節がありませんが、まるで本物の木のように傷がつき凹みます。このような特徴を持つ材料を土俵に使うことで試合にまぎれが起こることから採用されました。

しかし、この事実が思わぬ新戦術を導きました。

コマの先端を針のようにとがらせて、土俵の端っこで止まって逃げ続ける持久タイプのコマが登場しました。「止まる系コマ」です。

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「王道コマ」は当然のごとく「開く系変形コマ」や「イボ型コマ」も、お椀型の土俵の中央にコマが寄ってきてガチンコ勝負することが前提になっています。
しかし「止まる系コマ」は土俵の端っこに止まっているので手も足も出せません。戦わずして勝つとはまさにこのことでしょう。コマ大戦初期は止まるコマは土俵に刺さってしまうので弱いといわれていましたが、長時間きちんと回るコマをつくれば強いコマになっています。


以上、「コマ」「勝敗」「土俵」に関する3つルールと、そこからひねり出されたコマを紹介しました。このように、ルールとコマは表裏一体なのです。

次回は、コマの詳細に踏み込んだ解説をしていきます。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

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