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地域の「やってみたい!」を形に。住民の知恵を活かした「学び」の場づくり(信州つなぐラボ第3期 テーマ紹介「学び」)

第3期信州つなぐラボのテーマ「学び」では、地域のまちづくり団体と一緒に、これからの地域における学びのあり方を考えていきます。

望月地区のまちづくり団体「もちづきツキ・ヒト満ちるプロジェクト(以下、ツキヒト)」は、地域の文化や歴史を大切にし、次世代につないでいくことを目的に活動しています。

2017年の設立後、イベント企画やワークショップの運営など30を超える事業に関わり、地域を盛り上げてきました。

また、2018年に当時の協力隊と地域住民が協力して、市民大学「望月アレコレ大学」を立ち上げ、改めて住民が地域について学ぶ機会を創出しました。

今回はツキヒトの代表・金井恵満子さん、創立メンバーの、滝澤さや香さん、マクドナルド玲さんに団体立ち上げの経緯や望月地区での活動内容、プロジェクトが目指すまちづくりについて伺いました。

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話し手:もちづきツキ・ヒト満ちるプロジェクト代表・金井恵満子さん(写真右)、創立メンバー・マクドナルド玲さん(写真中)、創立メンバー・滝澤さや香さん(写真左)、聞き手:藤原 正賢<信州つなぐラボ事務局>)

現在ツキヒトは、30代から50代の子育て中の女性が中心となり「音楽部」「地域コミュニティ部」「教育部」「文化芸能部」「食農部」の5つの部に分かれ活動を行っています。

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例えば食農部は、「もちづきツキヒト満ちる味噌プロジェクト」と銘打って一年かけて仕込んだ味噌「ツキヒト味噌」を県内外で販売しています。

金井さん「望月は昔から味噌作りが盛んな地域で、かつては各家庭で味噌をつくられていました。ところが少子高齢化が進み、核家族化したことによって若い人と年配の方との交流が少なくなってしまって。それに伴い、味噌作りをする家庭も減ってしまったんです。味噌玉を使った昔ながらの製法を次世代に伝えるだけでなく、味噌作りを通したコミュニティづくりを行っています」

動画監修:大澤美保 動画制作:石田諒

味噌作りを指導するのは、郷土食に精通した地元のおばあちゃんたち。
そして味噌のパッケージデザインを担当するのは、県外から望月に移住したデザイナーでもある地域おこし協力隊のメンバーです。ツキヒトでは、地元出身者と移住者とが協力し、事業が生まれています。

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写真:住民提供

また、多世代交流だけでなく地域を超えた交流の仕掛けづくりも行ってきました。

「ツキヒトマルシェ」は2018年にスタートしたマーケットイベントです。廃校となった小学校の校庭を会場に、これまで2回開催されました。佐久市内を中心に40近くの出店者が集結。昨年は来場者500名を超え、商品が完売してしまうほどの盛況ぶりでした。

マクドナルドさん「望月の魅力に気づき、訪れてくださった人同士が仲良くなってほしい!という気持ちから企画しました。望月には農家さんが多いのでおいしい食材がたくさんありますし、野山に囲まれたロケーションも素晴らしいんですよ」

滝澤さん「農家さんはじめ、デザイナーやダンサー、カメラマン、アーティストなど、面白い生業を持った方が他にも沢山いらっしゃいます。ツキヒトが5つの部に分かれて活動しているのも、それぞれの強みや得意なことを生かそうとするからこそなんです」

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「望月への移住を希望する方の大半は『平和と手仕事』のインタビューを目にして興味を持ってくださるんです」

と金井さんが見せてくださった冊子には、インターネットではたどり着けない住民の生の声や生活ぶりが掲載されていました。編集を務めた多津衛民芸館の館長・吉川徹さんは、かつて望月町長として町を見続けてきた方です。

きっかけは、住民の団結力に感動した「ありがとう保育園」

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人と人とを繋ぎ、意欲的にアクションを起こし続けるツキヒト。そもそも、なぜ彼女たちは望月で活動を始めたのでしょうか?

プロジェクト発足のきっかけとなったのは、保育園の閉園イベントです。

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滝澤さん「元々、望月地区には4つの保育園があったのですが、2017年に4園が統合することになりました。私はその中のひとつ、望月保育園に通っていました。ところが卒園することなく町外に引っ越してしまって。保育園を卒園できないことがずっと心残りだったんです。思い入れがあった場にちゃんとお別れしたかったこともあり、せっかくだから町ぐるみで卒園式をやろう!と有志を募り『ありがとう保育園』を企画しました」

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写真提供:滝澤さや香

2017年9月に開催された『ありがとう保育園〜1day タイムスリップ!〜』は、大人も子供も一緒になってお世話になった保育園に感謝をする企画です。当日は誰でも自由に園内を見学できるように保育園を開放。実際に園で提供されている給食を食べたり、参加型の壁画アートをつくったり、訪れる人が思い思いに保育園での時間を過ごしました。

滝澤さん「『ありがとう保育園』を通して、『地域が一丸となればこんなにひとつのことにパワーを注げるんだ!』と望月の人たちの団結力に感動しました。そして、元々住民が個々で抱えていた望月地域の過疎化・少子高齢などの地域課題や不安を良くする可能性を見出すことができました

こうしてイベントをきっかけに「団結して課題解決を目指そう」と、団体として活動することになりました。

ツキヒトが心がけているのは、「無理せずゆるくやっていくこと」、「望月に興味を持つこと」、そして「興味を持ったことを子どもたちに伝えていくこと」

金井さん「ツキヒトが発足してから多くのプロジェクトを手掛けてきましたが、決して私達が特別というわけではありません。誰かが『あれ、やってみたい!』と声をあげると、住民の皆さんが快く協力してくださり、次々とプロジェクトが動いていくんですよ」

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誰かのアクションに対して望月の方々はとても協力的です。ツキヒトの構成メンバーは主婦層が多いですが、イベントを行うとなれば家族総出でのお手伝いが当たり前!
また、ツキヒトのメンバーも、地域の先輩方にできる限り協力をしています。例えば、望月の民謡「望月小唄」の90周年を祝う「望月小唄まつり」では、望月小唄保存会の皆様のお手伝いをしました。

町について学び、次の世代に繋げていくこと

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写真提供:石田諒

金井さん「私達が今一番力を入れているのは教育分野です。次の世代に望月のよさを繋げていくためにも、改めて町のことを学ぶ機会が必要だと思ったんです」

教育部が主体となり活動する『望月アレコレ大学』は、その名の通り望月にまつわる物事を学ぶ場。毎回ゲストを迎え講義を聞き、ディスカッションで考えを深めます。昨年度のアレコレ大学は「望月の歴史」と「気候変動」をテーマに掲げ全4回の講座を開催し、知見を深めてきました。

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写真提供:石田諒

第一回のテーマは「縄文」。望月の縄文時代の歴史と食文化を学びました。
講師:堤隆さん(「浅間縄文ミュージアム」館長)、北沢正和さん(「職人館」店主)

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写真提供:石田諒

第二回のテーマは「大伴神社」。望月地区の大伴神社の起源を探る回でした。
講師:石埜三千穂さん(スワニミズム事務局長)ゲスト:金井重恭宮司(大伴神社)

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写真:住民提供

第三回のテーマは「忍者」。実は望月と縁深い甲賀忍者について、忍者の末裔から学びました。
講師:伊與久大吾さん(武道家)、三好祐司さん(歴史・民俗学研究家)

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写真提供:石田諒

第四回のテーマは「気候変動」。情報分析に長けたロジャーさんから世界の先進的な気候変動の情報を参照しながらレクチャーを受けました。
講師:ロジャー・マクドナルド(個人美術館フェンバーガーハウス・館長)

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マクドナルドさん「『気候変動』をテーマに取り上げたのは、長野県内に甚大な被害をもたらした昨年の台風19号がきっかけです。海外の文献を読んでみると、気候変動に対する日本の報道が遅れていると感じます。この先起こりうる事態に備えて、アクションをとれるよう町の皆さんと勉強を続けていきたいですね」

さらに今年度は、アレコレ大学で学んだ気候変動の知識を元に「生きる力」に基軸を置いた活動「望月アース・スキル・アクション」実施します。気候変動を農家の方の目線から学んだり、竹かごづくりや古布の再活用を通して手仕事のスキルを身に着けたりと約半年間に渡る講習会を予定しています。

おわりに

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取材を行う中で印象的だったのは、ツキヒトの3人が常に笑顔で望月について話す姿でした。

「だって私たちは望月が好きだから!」

お話の中で何度も出てきたこの一言。地元に対する気持ちの大きさが、彼女たちの原動力なのだと感じました。

信州つなぐラボでは、ツキヒトの皆さんと一緒に「地方における学びのコミュニティのあり方・可能性」について考え、新たな取組みをつくります。都市と望月がつながることで生まれる、これからの「学び」を一緒につくりませんか?

プログラムの詳細については信州つなぐラボHPをご覧ください。

執筆:ナカノヒトミ
撮影:小林直博
トップ画像提供:滝澤さや香

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信州つなぐラボは、「都会と信州の”つなぐ”をデザインする」をコンセプトに、長野県、県内の自治体やそこに住む地元住民、そして多拠点でのライフスタイルに興味がある都会在住者が、それぞれの視点や知恵を出し合い、都会と信州をつなぐ新規事業を構想し、実証実験するコミュニティです。
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