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「気づいたら、村のことばかり考えてしまう」ほど、どっぷり浸かった数ヶ月。ディープな出会いが生んだ3つのプロジェクト〈長野県王滝村〉

昨年10/26~27の2日間にわたり、長野県王滝村でフィールドワークを実施した「アウトドアと食文化」チーム。(前回の記事はこちら
今回は、フィールドワーク以降の活動についてご紹介します。

こんにちは、信州つなぐラボ事務局の橋本です。
「アウトドアと食文化(長野県王滝村)」のメンバー11名が、フィールドワークを経て、村と関わり、その後どのように取り組みを進めてきたのか。
今回は、その様子をチームごとにお届けします。

村とのマッチングプラットフォーム「Relative」 <チームROAD>

このチームは、村にある資源を活用し、「0から1をつくる」のではなく、「1を10に、村の人と共に耕す」ということを大切に、村民と都市部在住者が協働しながら学び合い、楽しめるマッチングサービスを考えました。

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観光だけでは伝わりきらない王滝村の魅力を、地元の方との交流を通じて、まるで親戚のような関係性の中から知ってもらえたらという想いで名付けられた「Relative(レラティブ)」は、ご家庭に滞在させてもらう代わりに、その家のお手伝いをする仕組みで、大自然でのアウトドアアクティビティなどがセットで体験できる滞在型のプロジェクトです。

今回は、その実証実験として1月に実施されたモニターツアーの様子をご紹介します。

<実証実験までのあゆみ>

▼1月のツアー実施に向けて、前年12月に東京都内のコミュニティスペースでプレイベントを企画し、王滝村や取り組みについて紹介。

▼さらに、再び現地へ訪問し、トレッキングコースの下見や受け入れ先となるご家庭への説明を実施。

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▼準備を重ね、いよいよ年明け。
1/11~12の2日間で実施されたモニターツアーには、メンバーとのつながりの中から、親子連れを含む首都圏在住者11名が参加。
王滝村のひと、暮らし、文化、自然を肌で感じながら、交流を楽しみました。

<ツアーの様子>

村へ到着した参加者たちは、参加者同士の顔合わせ後、早速お世話になるご家庭の皆さんへご挨拶。

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各ご家庭へ分かれたあとは、お手伝いと晩ごはんづくり。
大人も、子どもも、普段の暮らしとは違う体験を楽しんでいる様子でした。

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2日目は、村の現役トレイルランナーとして活躍される方のガイドで、トレッキング。
滝を裏から見学したり、雪道をザクザク歩いたり、つららを取ってみたり。

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都会では聞けない音、体験できない感覚に触れた子ども達の表情はとっても生き生きとしていて、親御さんも「普段テレビを見ている時とは、まるで顔が違う」と驚いていました。

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御嶽山の麓にあるスキー場に到着し、みんなで雪遊び。
東京ではなかなか出会えない雪に、大人も童心に帰って楽しみました。

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遊んだあとは、温泉につかり、地元の方が運営されるスキー場の食堂でお昼を食べて、最後は皆でこの2日間に見た景色を振り返りながら、ツアー終了。

参加者も、村の方々も、満足度の高い意見が多く、今後アップデートした企画も検討しています。

既存イベントにあわせたツアー開発 <チームずく>

突然ですが、皆さんは「ずく」という言葉をご存知でしょうか?
長野の方言で、「根気、辛抱強さ、手間ひま、惜しまず働く力」というニュアンスの意味を持つのですが、一言で置き換えるにはちょっぴり難しい、奥深い表現なのです。

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次は、そんな、村の人が手間を惜しまずに根気強く作り上げてきた王滝村ならではのコンテンツを、地元の方と一緒に、ゆっくりと育むことにチャレンジしているチームの取り組みを紹介します。

<実証実験までのあゆみ>

▼10月のフィールドワークで、もやもやしたことへの解像度をあげるために村を再訪。
地元で「ひだみ」と呼ばれる、どんぐりを使った珍しい食文化など、その土地ならではの文化に想いを馳せ、それを支える人々の存在を実感。

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村で多くの方と出会い、話をしていく中で、地元の方の「ずく」に寄り添う活動を目指したいと思ったそう。

▼2度の訪問を経て
ゼロからイベントを立ち上げるのではなく、既存のイベントをより魅力的なものにする活動ができたらと感じたメンバー。

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初めて村を訪れた際にお手伝いをした「おんたけ湖ハーフマラソン」を思い出し、大会を機に訪れるランナー達に、王滝村をより深く楽しんでもらうための仕掛けができたらと、村の人が継続してきた大会をさらに盛り上げるための前日企画を検討。

▼大会の実行委員会へ、2日間にわたる取材を実施。
大会前日にできるかどうか。
以前、前夜祭をやっていた時の課題点や良かった点などをヒヤリング。

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▼地元の方からお話を聞く中で見えてきた、取材結果と可能性。
そこで、10周年となる次回大会の特別企画として、もっと王滝村を知ってもらえる取り組みが出来ないかと考えました。

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現在、実行委員の方とともに、お互いにとって無理のない形で連携できる方法の擦り合わせを実施していて、今後は、何度かの話し合いで見えてきた方向性をもとに、ずくチームとして企画の提案を進めていく予定です。

村の「おかあちゃん」監修 王滝村お弁当プロジェクト <チームMu・en>

最後にご紹介するチームは、王滝村の「食」とそれを支える「お母さん」を切り口にした取り組みです。

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チーム名の「Mu・en」にも由来するコンセプト、「“無塩”だけど“縁”はたくさん詰め込みました。」には、王滝村に古くから伝わる「無塩」の食文化と、今回新たに築かれた村のお母さん達との「縁」を大切にしたいという想いが込められています。

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王滝村の食文化を守り育ててきた、お母さん達の温かみ溢れる手料理。
それを、村外の人にも味わってもらおうと、村のお母さん達監修のお弁当づくりに向けた取り組みが始まりました。

<実証実験までのあゆみ>

▼フィールドワークで、王滝村に受け継がれてきた食文化を知る。
塩を使わず乳酸発酵させてつくる漬物、"すんき漬け"づくりを体験した際、村のお母さんが「昔は塩がなかなか手に入らなかったから、代わりに塩を使わずに乳酸発酵の"すんき"を作るようになった」と教えてくれました。

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▼マラソン大会で感じたお母さん達のあたたかさ
ボランティアとして参加したマラソン大会で、運営のお母さん達が、「あれも食べてみな、これも食べてみな」とタッパーに入った手料理をお裾分けしてくれたことが、メンバーの中で印象深かったそう。

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この時に感じた、王滝村のお母さんたちのあたたかさを、お弁当に詰めて販売できないかと検討を始めました。

▼おかあさん達を集めた試食会を実施。
12月には、実証実験第1弾として、地元のお母さん達から、すんきなど、王滝ならではの食材を活かしたお料理の持ち寄り試食会を提案。

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忙しい中、たくさんの方がご自慢の手料理を持って集まってくださり、すんきパンなどバラエティに富んだすんき料理や、五平餅、鍋などを試食しました。

仲良くなったお母さんのお宅でも、いろんなメニューをご馳走になり、お弁当開発に向けて、アイデアが広がります。

▼「王滝かあちゃんズ」プロジェクトの誕生。
すんきなどの食文化だけでなく、その食文化を守っているお母さんたちの手料理と、お母さん達の温かい人柄も伝わっていくような企画になればと、プロジェクトには、「王滝かあちゃんズ」と名付けられました。

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▼お弁当販売に向けて、できることから、少しずつ。
お弁当の販売に向けて、まずは、現地のスキー場で、「王滝かあちゃんズ定食」として、村のおかあさん達の手料理が詰まった定食を、3/1に限定販売することに。

販売に向けて、2月には、ご協力いただけるお母さんとのメニュー会議となる試食会を予定しています。

おわりに

数ヶ月間、つなぐラボというプログラムの枠を超えて、自らが第一の王滝ファンになりながら、地元の人とともに考え、取り組んできたメンバー達。

村への想いが詰まったプロジェクトが、今後どのように展開されていくのか、これからが楽しみな実践活動となりました。

信州つなぐラボ第2期の取り組みも、いよいよ次の成果報告で一区切りを迎えます。

引き続き、ご期待ください!




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