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「福祉・子育て」のこれから/第3回

みなさん、こんにちは!
「福祉・子育てのこれから」を担当するファシリテーターの森山、石井です。

プレゼンテーション1

12月15日開催の会議では、テーマ④「福祉・子育てのこれから」グループで議論が行われました。
前回に引き続き、子育てや困難を抱える子どもの支援、高齢者支援等の多彩な分野でご活躍されている方々にご参加いただきました。

今回のテーマ議論の問いはズバリ…
「ビジョンと方向性をまとめ、自身がそこにどうコミットできるか」です。


第3回では、会議開始前にファシリテーターがこれまでの議論を振り返り、第1回と第2回で話し合われた内容をとりまとめ、そのとりまとめ(案)に対する参加者の皆さんからの意見とそれに対する一人ひとりの行動宣言を発表してもらいました。

第1回と第2回で話し合われた議論のとりまとめ(案)

現状認識(コロナで変わったこと)
① コロナを経験してわかったこと
・コミュニティの分断が加速、社会的孤立が顕在化
「自分がコロナに感染したら周りが大変なことになる」という意識から人との交流を控え、助けたい人を助けられない状況が生まれた。コミュニティの分断が加速し、もともとあった社会的孤立も顕在化した。
                                  ② 新たな日常に向け工夫したことでわかったこと
・オンラインという新たな選択肢とIT格差
オンラインで会えない人とコミュニケーションがとれたり、新たな事業やサービスが提供できるなどのポジティブな変化があった。子どもの発達面ではマスクによるコミュニケーションの制限から悪影響も懸念されるが、オンラインで遠く離れた友人につながることができるなど、良い面もみられている。一方で、どうしてもITについていけない人との格差やそもそもオンラインツールを使いたくない人がいる等、個人の経験や価値観による生き方への多様な対応が求められている。
                                  ・オフラインの重要性
体験学習などの経験や、その人が本当に必要としている支援を把握するためにはオフラインが必要である

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福祉・子育てのこれから
                                 1)コミュニケーションの壁を超え、孤立や分断を超えていく。
福祉課題の複雑化・複合化に伴う孤立や分断がコロナによって顕在化した。高齢、障がい、子ども、生活困窮といった多様な生活問題を抱える人に対して、地域や個人が暮らしの中でつながり、支援していく関わり方を広げていく必要があるのではないか。
                                 2)オンラインリテラシー向上は必須。官民を越え、支援の仕組みを考えていく。
誰でもいつでもどこででも繋がることができるような環境や技術支援が必要。行政・民間の公式的な支援だけでなく、みんなそれぞれがお互いを支えあい、取り残されてしまう人がいない社会に。
                                 3)専門性を超え、身近な「誰かのため」を考え、行動する。「福祉」が特別にならない社会へ。それが贈与経済(ギフトエコノミー)の起点になっていく。
誰かのために、自分は何ができるか。専門性に囚われず1人の人間として、助けを必要としている人に手を差し伸べる。見返りを求めない行動は、感謝という形で人と人を繋いでいく。

このとりまとめ(案)に対し、次のような意見がありました。

〇とりまとめ(案)全体について
・1、2回目の話から飛躍したなという印象。どのレベルの理想を語るかどうかで書き振りは変わってくる。
・「専門性を超え、身近な「誰かのため」を考え、行動する。」は本当にそうだが、第一歩を踏み出させるのが大変。リーダーになる人材の育成が必要。また地域の人たちが地域の主体として取り組んでいくためにどうしていくべきか考えるべきだ。
・福祉課題の「複雑化」と「複合化」について、一般の方からすると分かりにくいのでは。それぞれの問題は、過程は違えども誰もが直面する可能性のある話だということが伝わる表現だといいのかもしれない。この言葉への補足も必要では。
①ウェルビーイング(個人の主体的な自己実現)と双方向性の関係、取り残さないためにお互いの状況を知る、考える
・「福祉」の考え方が旧来型の弱者救済的なwelfareとして使っているが、「福祉」はwell-being(個人の主体的な自己実現)という概念に移り変わっている。
・「支援される側」と「支援する側」というのが分断を生んでいる。双方向的な関係性や双方向のケアの方がこれからのケアなのではないか。     ・ソーシャルインクルージョンがあるからこそ、お互いの違いを認め合って、お互いの幸せをサポートできる。
・現状の制度的には、弱者救済の方法が分かれているのが問題になっている。そうではなく、どんな人でも包括的に支える必要があるし、どんな人でも異なる個人として尊重し、個人の幸せを追求していく必要がある。
・well-beingの概念を実現できているのはあまりない。信州版well-beinngの実現ができればおもしろい。ただwell-beingを使わなくても、異なる個人の主体的な自己実現が盛り込まれていればいいと思う。双方向性が盛り込まれているといい。ごちゃまぜの関係でお互いが関わっていく。そんな環境が表現できればいい。
・各場所での繋ぎ役(地域をつなぐ学校の先生、地区長など)の考え方は重要。声を拾い、容認するためにはやはり“対話”だなと思う。
・祭りごとのような、共通の場やストーリーと目的意識を持った人たちが集まる場所。場があることで潜在的なニーズに届く。そこから助け合いや新しいことが生まれていく。
②オンラインサポートをきっかけとした社会参加の仕組み作り
・個人のオンラインリテラシー向上ではなくて、使える人の隣に行けたり、使える人が来てくれたりする環境があればよい。オンラインを特異的に取り上げるのは違和感がある。
・個人の能力向上に関係なく、サポートできる社会の環境が用意されていることが大切。そういう表現が盛り込まれていればいい。社会参加の仕組みとして、オンライン整備という1例があり、環境整備が大事だ。
・オンラインリテラシーの部分は繋がりを作ることが目的になっている。もちろんそれも大切だけど、繋がることで、人間としての情緒を取り戻すというようなニュアンスが入るとツールに留まらなくていいのでは。生活が困窮し、人とのつながりが減っているからこそ、心を取り戻そうということが入ると、リテラシーを向上させることの本質なのかなと思う。
・オンラインを道具として活用していく話の中で、オンラインとオフラインをハイブリッドで使いながらつながりを広げていくという話だったのかなと思う。これからの社会に向けた具体例があってもいいのかなと感じた。
③子育てに関する記述を今後のまとめに加える
・子育てに対して強い思いを持っていた人がいたが、今回のまとめに「子育て」に関するワードがあまり入っていない。
・子育てに関して、学校に行くことが難しくなった子どもが増えた。親子で子育て支援センターに行っていた方たちがいけなくなり、社会とのつながりが減ってしまった。1)コミュニケーション2)オンラインリテラシー3)双方向性のどこに入ってもいい。新たな項目を作るというより、それぞれの文章にしっかり入れ込んでいってほしい。
・子育てに関して、コミュニケーションが減っているのが大きい。スマホの普及で目を合わすことが減って、愛着障がいにつながるという話もある。また、親御さんたちもマスクをしながら子育てをしなければいけない。そうすると、表情が読めないため、何年後かの子どもたちの情緒的、表情を読み取るようなコミュニケーションがどうなるのかという話もある。

以上の議論を踏まえて、とりまとめ(案)を再編集し、以下の形に修正しなおしました。

福祉子育て

現状認識(コロナで変わったこと)
① コロナを経験してわかったこと
コミュニティの分断が加速、社会的孤立が顕在化

「自分がコロナに感染したら周りが大変なことになる」という意識から人との交流を控え、助けたい人を助けられない状況が生まれた。コミュニティの分断が加速し、もともとあった社会的孤立も顕在化した。
                                  ② 新たな日常に向け工夫したことでわかったこと
オンラインという新たな選択肢とIT格差

オンラインで会えない人とコミュニケーションがとれたり、新たな事業やサービスが提供できるなどのポジティブな変化があった。子どもの発達面ではマスクによるコミュニケーションの制限から悪影響も懸念されるが、オンラインで遠く離れた友人につながることができるなど、良い面もみられている。一方で、どうしてもITについていけない人との格差やそもそもオンラインツールを使いたくない人がいる等、個人の経験や価値観による生き方への多様な対応が求められている。
                                  オフラインの重要性
体験学習などの経験や、その人が本当に必要としている支援を把握するためにはオフラインが必要である。

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福祉・子育てのこれから
多様性を認め合い、誰一人として取り残さない、
それぞれの自己実現ができる社会を目指していく「福祉・子育て」 へ。

                                  ①情報発信と共有の充実から、本当の社会的包摂を考え続ける。
コロナにより変化するスピードが増した社会の中で、個人を取り巻く環境はより複雑化が進んでいる。地域内の環境を観察し、異なる個人のあり方を知り合うこと。個別性、多様性を尊重し、積極的な環境整備、場づくりに関わっていく。
                                  ②つながり方の選択肢を増やし、誰でもいつでも社会参加できる仕組みを考える。
コロナ禍で、近所のお茶飲みや子育て支援センターでの交流など、情緒的な豊かさを支えていた日常でのつながりが薄れた。社会参加のツールであるオンラインサービスへのサポートをきっかけに、今後また訪れるであろう急激な変化のなかでも、個人の希望に沿ったつながり方を選択でき、社会参加できる仕組みを、協働によりつくっていく。
                                  ③身近な「誰かのため」を考え、行動する。一方的な支援ではなく、相互の関係性で、助け合いが当たり前になる社会の実現へ。
誰かのために、自分は何ができるか。高齢者支援、障がい者支援、子育て支援等の専門性の上に、1人の人間として助け合う相互の関係性を構築できれば、個人と社会の「幸せ」の実現につながっていく。


最後に参加者の皆さんから、ご自身の行動宣言をしていただきました!

福祉子育てスクショ

・社会的処方の実装
・新しい社会に即した福祉・子育てのカタチを考える!
・今ちょっと世の中にFitしていない人たちの場所を創りたいデス
・皆にやさしい地域をめざして居場所・通いの場を開きます
・「ハート」ある人とつながって、老若男女みんなが集う「場」をつくります


〈信州これから会議 ご意見募集〉
ワークショップには参加できないけれど、ぜひ自身の声も届けたい、発言したいという方は、ぜひコメントにてご意見をお寄せください。
ワークショップの参考とさせていただきます。
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総合ファシリテーターによる 第3回の全体まとめはこちらから


【第3回のワークショップを終えて】

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石井 貴広長野県教育委員会事務局 高校教育課
2回目で今回のような議論ができていればと反省です。参加者から、もっと参加者同士の深い議論がしたかったといった言葉があった通り、参加者のみなさんの議論を深められる進行ができればよかったです。今回のことをふまえて、第2段階での議論で、より有意義な意見交換ができるようにしたい。地域で真剣に取り組んでいる方々と同じ目線で話せるようになるには、学ばなければいけないことがたくさんあるということがわかったことが最大の学びでした。

森山 地域こみゅ

森山 佳祐長野県 企画振興部 広報県民課)
3回を通じて、ファシリテーターとしての能力と知識の不足をとても痛感しました。
現場で日々活動されている参加者の皆さんと自分自身の考え方などのギャップを感じられたのが、自分自身にとっての一歩目と思っています。
福祉にかかわる問題についてまず知り、行政に携わる人間としてできることを考えていきたい、と第一段階を終えて思っています。

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