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信州これから会議 まとめ

みなさんこんにちは。信州これから会議事務局です。
前回の投稿から少し時間が経過してしまいましたが、今年の1月から2月にかけ、3回にわたり開催してきた信州これから会議 第2段階の議論について、総合ファシリテーターの瀧内さんが中心となり、会議終了後に参加者の皆様への意見照会を繰り返しながら、とりまとめを行いました。

第1段階の各分野(働き方・暮らし方、文化・スポーツ、地域コミュニティ、福祉・子育て、産業、学び)の議論がいわば信州のこれからの「各論」であれば、この第2段階のとりまとめは「総論」にあたります。

その名も、「信州のこれからへ向けたわたしたちのメッセージ」。参加者の皆様の想いがこもったメッセージです。どうぞご一読ください。

信州のこれからへ向けたわたしたちのメッセージ(総論)


わたしたちが暮らす「地域」や「社会」は、コロナ禍により急激に変化しています。
その変化により、見えていなかった分断が見えるようになりました。
わたしたちは、視野を広げ、重なりを意識し合い、
掌(て)にあるはずの物事を持ち寄って、対話することで、
文化や意味を紡ぎ、分断された地域社会を編み直していきたいと願います。
地域社会は、誰かにつくってもらうものではないはず。
わたしたち自身が、手を携えて、信州の「これから」を探求していきたいと思います。

信州に暮らす、これからの「しあわせ」とは何か。問い続け、わたしたちの手で実現していく。
わたしたちの「真のしあわせ」を問い続ける。
それぞれに気持ちの良い暮らしやあり方を探求していく。
多様性や包摂性に加え、公平性から、さまざまな「豊かさ」や「しあわせ」の尺度が混ざり合う社会をつくる。
それぞれが「しあわせ」を追い求め、自身の暮らし、人生を、自らの意志で選んでいける社会を実現していく。

社会的包摂から寛容な地域社会をつくる。
トライアンドエラーを許容するしなやかな関係性を構築していく。
急激な変化のある社会の中で、さまざまな価値観の相違が、結果的に多くの分断を生んでいる。多様性を認め合い、小さな挑戦や、失敗を含む試行錯誤が許容される「寛容でしなやかな」地域社会をつくっていく。

コロナ禍により、一層顕在化した分断に橋を架ける。
間(あいだ)をつなぎあわせ、共に支える地域社会を創造していく。
コミュニティを横断しセクターを越えて、つながる橋とそのつなぎ手が必要とされている。それぞれに「個」を尊重し合うことを立脚点に、多世代や地域内外をつなぎ、「これから」の地域を編み直していく。

つながる場の選択肢、新たなコミュニティを林立させていく。
それぞれが複数の所属や居場所を持てる社会へ。
今ある所属や地域の居場所、趣味や興味関心からコミュニティなど、ゆるやかなつながりや多くの所属を持てる社会をつくる。一人ひとりが関係性のなかで感じられる「しあわせ」を持って、地縁のコミュニティと互いに良い影響を与え合っていく。

小さな対話をたいせつに。
関係の編み直しから、ソーシャルキャピタルの構築へ。
違和感を声に上げ、対話し続けることを厭わない。対話と観察から、複雑に絡んだ関係性をほどき、編み直していくことを繰り返す。対話と実践の場の往復から、信頼と互恵の関係性を組み上げていく。

いかがでしたでしょうか。

コロナ禍を経験して、多くの人が感じたであろう「しあわせとは何か」という問い。
これから会議では、その問いに対して一つの答えを示さず、「問い続ける」としました。
他人にひとつの価値観を強要されることなく、一人ひとりが自分にとってのしあわせを探し求めることができ、自己決定できること。そしてそれぞれのしあわせの物差しがまざりあうことが当たり前の社会を構想しました。
その上で、それぞれが気兼ねなくしあわせを探究できるよう、失敗を恐れず、いつでも、何度でもチャレンジできる寛容さが社会に必要であること。人と人とが繰り返し、繰り返し、対話することによって互いを理解し合いながら、信頼関係を編み直していくことが大切であるとしています。

コロナ後の未来を描く上で、大切なことがたくさん詰まったメッセージかと思います。

この第1段階のとりまとめも含め、メッセージは以下でもお読みいただくことができますので、ぜひご一読ください。


知事との意見交換会

さて、このメッセージについて、去る3月23日、長野県の阿部守一知事と、これから会議参加者のうち有志の方々による意見交換を行いました。

阿部知事からは

「小さな対話を大切に、としているが、世の中には建前が多く、対話の場が少ない。人々はどこまで本音で語り合えているだろうか。」
「このメッセージの方向性は違和感がなくその通りだと思う。それをどう現実の世界で実現していくか。そこが難しい。」

と、メッセージの方向性に同意しつつ、それを社会でどう実現していくか、という点について課題感が示されました。

確かに、このメッセージに記されていることは、考えてみればごく当たり前のことなのかもしれません。当たり前であるが故に、知事の指摘する通り、社会の中でどう具体化し、実装し、行政や県民一人ひとりがいかに行動していくかということは非常に難しく、正面から向き合っていかなければならないのだと思いました。

次期総合計画等の検討を踏まえた動き

さて、当初からご案内してきたとおり、県では、皆さんの想いのこもったこのメッセージを、今後の未来の信州を描いていく上での重要な視点として参考にし、次期総合計画等の検討を進めていきます。

県の将来構想などの重要な事項を調査・審議する「長野県総合計画審議会」が去る4月25日(月)に行われ、このメッセージが資料として提出されました。

出席した委員からは
「信州これから会議では、非常に良い意見を沢山いただいていると思う」という発言がありました。
これから会議でとりまとめたこのメッセージが、次期総合計画を検討していく上での重要な視点のひとつとなりつつあります。
次期総合計画は、今後、約1年かけて策定作業が進められていきますので、皆様にはぜひウォッチしていただければと思います。

最後に

最後になりますが、このメッセージのとりまとめに至るまで、参加者の皆様には、大変お忙しいなかこの会議にお付き合いをいただきました。本音で、そして本気で語り合っていただいたがゆえに、時には参加者同士の意見の相違や、抽象論に入り込んで議論の停滞が起きることなどがありましたが、最後まで粘り強く、前向きかつ建設的なご議論をいただきましたことに、感謝しかありません。

今後も、長野県に関わる多くの方々が、立場を越えてフラットに、本音で語り合う対話の場を、多くの機会に設けていきたいと思います。

長い期間、ありがとうございました。



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