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ボリュームを一つ上げる 〜Hakubi〜

僕がHakubiに出会ったのはとある友人Tくんにお勧めされたのがきっかけでした。

今でこそHakubiは本当に大好きなロックバンドで、必ずと言っていいほど毎日聞いているのですが、正直最初は絶対に聴くことはないだろうなと思っていたんです。

その友人Tくんはガールズバンドが好きで、よく僕に「これいいよ」と勧めてくるんですが、僕は真逆。ガールズバンドをあまり好んで聞かない。





せっかくなのでこの場を借りて友人Tくんの悪口でも書いてみよかと思います、僕は陰口が嫌いなのでこれから書くことは直接本人にも言っている内容です。安心してください。(?)

Tくんは生粋の女性好きだ。おまけにお酒が大好き、アルコールを飲んだら人格が変わる。絶対にお酒を飲ませちゃいけないタイプの人間なのにも関わらずバーテンダーを仕事でやっている。

そして極め付け、Tくんは太っている。

これらのことも踏まえた上で彼のお勧めするアーティストはあまり響かないことが多かった。

でもこれは仕方がないことだと思う、人には趣向が存在する。好き嫌いだけは誰にも決められない。自分だけが決めることです。


僕が好きなのは生々しさがあるアーティストです。
ファンタジーよりもドキュメントのようなアーティストが好きです。

これまでこのシリーズで書いてきたアーティストを見ていただけると恐らくなるほどと思ってもらえると思うので紹介させていただきます。


そのアーティストがどんな風に生きて、どんな風に思って、どんな風に日々を繋いできたのか。それを音楽に昇華しているものがたまらなく好きです。



「音楽」はポップカルチャーとは言えど、僕はある程度のリアルが欲しい。

生々しさが欲しい。



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ある日、明るすぎる歌を聞けなくなってしまったことがありました。

当時は18歳だったと思います。料理の夢を追いかけて専門学校に通うために都会に引っ越してきたのですが、自分の思い描いていた料理という仕事と現実は全く異なるものでした。

気持ちの差異がありすぎたせいで僕は学校に行くのが辛くなり、サボって家で音楽を聴くことが増えました。あまりにもわかりやすい現実逃避です。
ときには学校をサボってライブハウスに行ったことも多々あります。

それからしばらくして僕の手を引いてくれるロックバンドに出会い、また夢を追いかける事になるんですが、それは時間にするとその2年後の話です。

それまでの間は本当にくそったれな毎日、明るい言葉を使っている歌を聞くとなんだか自分にイライラしてしまい聞けなくなってしまったんです。(英詞の歌や海外のアーティストは雑念が入らずに聴けるので大好きでした。今でも大好きです)



この曲は僕が初めて聞いたHakubiの曲です。声は澄んでいるのにどこか力強さがある。元気が出る声。というのが最初聞いた時の印象でした。

Hakubiの歌は「」についての歌が多いのですが、他のアーティストが歌う「夢は叶う」とか「きっと努力は報われる」と言ったような使い古された内容では無くて。夢を追いかける道中に感じた生きづらさのようなリアルな声を叫びにして歌っている。

僕がこのバンドの虜になった理由として、その歌詞が当時18の自分の気持ちとすごく近かったからなんです。


僕たちはいつまでどこまで頑張ればいいの。

果てのない道をただ歩いている気がするんだ。


生きづらさを歌うアーティストとはこれまで何度も出会ってきたのですが、女性ボーカルでここまで生々しい歌をロックバンドという形で昇華して表現しているアーティストを見たのは初めてでした。

そこにはファンタジーのかけらも見当たらない。

こんな素敵なバンドに出会えた嬉しさと同時に、バンドを紹介してくれた友人Tくんもこういう音楽を聴くってことはTくんなりに生きづらさを感じていたんだなと思いました。それが何なのかはわかりませんがきっとそうなんですよね、冒頭で言った悪口は撤回しようと思います。


そして最近わかったことなんですが、おそらくこの歌を歌っている人は僕よりも年下ということです。

「22」という曲があるんですが、おそらくこれは歳を表しているんじゃないかと。



2020年にリリースしているのでおそらくその年で22歳ということなのかな?この歌は気持ちの描写がすごく多い歌なんですが、初めて聞いた時涙が止まらなくなりました。

「どこか冷めたふりしたまま、諦められず大人になってた。」

「叫んでも叫んでも傷むだけで、なりたかった自分ってこんな自分だっけ。」

「あの頃とは違う空見てるけど、何も変われなかったあの日の僕が何も捨てられずにここにいる。」


僕よりも歳が下の女の子がこの曲のような気持ちを抱いて生きてきたという事にまず僕は胸を打たれました。

叫んでも叫んでも届かないもどかしさ、きっと誰しもが夢を追いかける過程で抱く気持ちの一つなんじゃないかなと思うんです。
自分がちっぽけに見えてきて、諦めることなんてできるわけないのに周りと歩幅を合わせて自分を隠して。夢って本当は素敵なはずなのに。

きっとこのバンドが響く人は限られた人なんだろうけど、そんなごく僅かな人にだけに目掛けて歌っていると断言してもいいくらいに生々しい曲だらけのHakubiというバンドを僕は大好きになりました。



夢を追いかけている道中、今年で24になる僕ですが。きっとこれからもHakubiの音楽を聴いて勇気をもらうんだろうと思います。

そして、このバンドを聞いている誰かは今日も生きづらさと夢の狭間で一生懸命に生きているんだろうな。

僕も頑張ろう。

社会人4年目。今年も走ります。






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