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「2」へ。

いつだったかな、あんまりよく覚えていないのですが。確か高一か高二くらいだったかな?当時仲が良かった現代文の先生に僕の書いた夏休みの宿題の読書感想文を絶賛してもらったことがありました。
入賞はできなかったのですが、先生の言葉は鮮明に覚えてます。

「本の内容とそれを読んで受け取った自分の感情と自分の体験談を上手に文章の中で織り交ぜられている。作品に対する情熱が溢れて俺はすごく好きだよ。」と言ってくださったんです。

して、それを聞いて次に僕は。「だったら。入賞させてくれてもいいじゃないか。」と思ってしまったんですね。(笑)

入賞できなかった理由は、いわゆる、
大衆に響かない。
直接そう言われたわけじゃないけど、先生の言葉のニュアンスはそんな感じでした。

実際に入賞した生徒の感想文を見せてもらった時に、素直に上手だなぁ触りやすい文章だなぁって思いました。でも、正直僕はあまり面白いと思えなかったのです。
すでにあるものをコピー&ペーストしてところどころを自分の文章に変えたようなそんなような感じがしてしまって。個性が見えない。

余昧17歳にしてなんとなく勘づいてしまった世の中の事実。「大衆」「みんな」「不特定多数」と呼ばれるものに響くもの。選ばれるのはいつだってそういうものということ。

学校はどうして個性を認めないくせに「自分だけの武器を持て」だなんて個性が1番大切かのような調子の良い矛盾を言うのだろう?


答えは最近になってわかった。世の中をうまく渡っていくために個性が邪魔だからだ。

周りに合わせられない人間。
イエスを言えない人間。
売れないもの。
流行らないもの。
見栄えの悪いもの。
聞こえの悪いもの。

それらは大衆に受け入れられないので、お金を産まないとされていて、お金を産まないものは無価値とされる。

僕はそれがなんだか窮屈で、あんまり面白くない。

どんな人にも物にも、そこにしか無い個性があると思ってます。


僕はいつも納得できなかった。

2009年のM1グランプリ。優勝したNON STYLEの姿よりも、敗者復活戦からのし上がってきたオードリーが最高得点を取った瞬間に痺れた。

高校生の頃に入った陸上競技。華やかでかっこいい跳躍種目よりも、汗水流して踏ん張り続ける長距離種目の方がかっこいいと思った。

大好きな音楽。テレビでスポットライトを浴びて歌うミュージシャンよりも、どうしてか小さくて窮屈なライブハウスで楽しそうに歌ってるインディーズバンドの方が輝いて見えた。


この国は資本主義国。

自分の好きなことをやるだけじゃダメ。
かと言って、売れる形式を模範にしすぎても個性がないと言われる。
そんな針に糸を通すような作業を何回も何回も繰り返してトライ&エラーを繰り返してようやく一歩前に進むことができる。
一歩進んでも、ずっと進み続けていないと周りはどんどん前に行く、置いていかれる。
その間に天才はどんどん現れる。成長が止まった瞬間に価値がないとレッテルを貼られる。

経済を通して競争と成長を同時にしていくことを目的としたこの資本主義という政策は、正直僕の性格にあまり合ってないと思う。

個性が大衆を追い越していく瞬間に魅せられてしまった僕には合っていない。



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11月19日、そんな僕の夢が一つ叶いました。


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料理長。
店がオープンしてから1週間ちょい経った今でも未だにふわふわと実体のない言葉として僕の中にあります。

ずっと夢だった。一つの店の料理を全て監修する立場になること。

本当に楽しい毎日を送ってます。

もしも僕があの日完全に料理をやめてしまったとしたならば、叶わなかったことです。当たり前なんですけどね。

して、この立場になってみて分かったこともあります。
大好きなことを大好きなまま続けるにはある程度飲み込まないといけない現実があるということです。
自分のやりたいことや、個性。
売れるモデル、形、守らないといけないルール。

やはりこのバランスは絶対に欠かせないことで。どちらかというと後者を大事にしないといけない。
駄々をこねてた今までとは違う。料理に関してのクオリティや満足度。全ての責任が僕にある。

でも、その上でどうやって面白くしてやろうかを考え続ける姿勢は絶対に曲げたくない。そうじゃないと僕のこれまで言ってきた言葉や行動が嘘になってしまう。

難しい、し、悩みます。
時には自分を落とすし、時には同意したくないことにも同意します。

それでも。ほんの一瞬。
テーブルから「美味しい。」のひとことが聞こえた時に僕は救われます。

飲食店は相手がいて初めて意味を持つ仕事です。

自分1人だけで完結できる仕事じゃないし、何より相手の満足度と結果が著しく直結する仕事です。

だからこそ思うんです、そんな素敵な仕事を通して僕はきっと料理でコミュニケーションをしたいんだと。

街で1番美味しい店とか、クオリティの高い接客とかサービスとか、高い場所を目指していく姿勢は絶対に必要だし、この業界で生きてる人間のプレイヤーとしてそこを妥協するのはナンセンスだとさえ思います。

でも、それ以上に、

誰かに届けてる。ってちゃんと思いながら料理を作りたいんです。そこを僕の最優先にしたいんです。

17席の小さな店。
相手と常に一対一で対峙するには丁度いい大きさだ。

誰がなんと言おうと譲れないものはしっかり持って、これからも謙虚に責任を持って、変わらない部分を持ちつつも正々堂々と変化し続けられる人間でありたいです。

そんなことを思いながら、頑張っていこうと思います。




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最後に、いつもお世話になってるライブハウスの友達たちへ。

本当にいつもありがとう。

いつも伝えてるので本来は多分これだけで十分なんだけど、あえて今日はその中身を。

僕は何度も言うけど、一度諦めた人間です。
諦めてライブハウスに逃げた人間です。

僕にとってはみんなが僕の自信です。

周りに合わせられない人間。
イエスを言えない人間。
売れないもの。
流行らないもの。
見栄えの悪いもの。
聞こえの悪いもの。

それらは大衆に受け入れられないので、お金を産まないとされていて、お金を産まないものは無価値とされる。

金と現実が物をいう世界なのにも関わらず。
金も現実も手放しで一緒に楽しい時間を過ごしてきた、心からかっこいいと思うみんなとの時間だけが僕の自信です。

本当にかっこいいものをちゃんと知ってるみんなが、かっこいいと言ってくれるのが僕の自信です。

オープンからもうすぐ10日くらい経つかな?ありがたいことに必ず1人はライブハウスの仲間が店に来てくれる毎日が続いてます。

みんながいるとどうしても肩が緩んじゃうのは、ちょっと僕の悪いところです。

みんなが好きだと言ってくれる店なら、みんながかっこいいと言ってくれる店なら、正直僕は何にも怖くないです。

ライブハウスに行く回数はどんどん減っていくと思う。
これから先は自分の会社を立ち上げるために動く毎日になると思います。与えて貰った立場を駆使してどんどん色んなことに挑戦していく日々になる。

でも、どんな立場になっても変わらず僕はライブハウス出身です。

みんなと同じ音楽に魅せられて、同じ時間を楽しいと思って、同じご飯を食べて、同じお酒を飲んだ仲間です。

みんなが自慢したくなるような店にしたい。

だからこそ、厨房の中だけじゃなくて、店以外の場所でもちゃんと地に足つけてかっこよく生きていく事をここに誓います。

レベル1から2へ。

僕にとってのセカンドステージ、変わらずにみんなと一緒に楽しい時間をこれからも過ごしたいです。

本当にいつもありがとう。

個性が大衆を追い越していく瞬間。
いつか僕が見たい景色を、みんなと一緒に見たい。
それを僕とみんなの約束にしましょう。

これからも末長くよろしくお願いします。



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