「さしすせそ」への依存症、「差分に驚く」

自慢話する人への対策として「さしすせそ」がよく推奨される。「さすが!」「知らなかった!」など。なるほどこれなら、自慢する人の舌はますますなめらかに動くだろう。けれどこれには大きな欠点があるように思う。自慢話なら話を聞いてもらえるという勘違いをさせてしまう点。

自慢話に「さしすせそ」は、一種の麻薬だと思う。自慢話さえすれば相手は驚いてくれ、自分がその場の主人公になって場を盛り上げてるような錯覚に陥る。酒場だけで通じる話なのに、それを自覚することが難しい。「さしすせそ」は自慢話への依存症を生みかねない点が、ちと気になる。

昨日まとめたように、自慢話をしなくても、情けない自分をさらけ出しても大丈夫だと安心してもらう体験が大切なように思う。自慢話でオレは強いんだぞ、バカにすんなよ、と強がらなくても、弱い自分のままでも受けとめてもらえる体験が、自慢話を解消するカギだと思う。
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私の友人がうまく言語化してくれたのだけど、「差分に驚く」のがよいように思う。「さしすせそ」は、すでにある現状に対しても「さすが!」「すごい!」と驚いてしまう。これだと、過去の自慢話への依存が強まり、現状を改善する努力が生まれにくい。むしろどんどん過去の住人になってしまう。

そうではなく、昨日より今日、今日より明日、何か変化があった「差分」に気づき、それに驚いたり肯定したりする方がよいように思う。昨日まで寝返りも打てなかった赤ちゃんが寝返り打ったり、後進しかできなかった赤ちゃんが前進できたりしたのに驚いたように。差分に驚く。

自慢話から苦労話にスライドさせ、できれば苦悩した情けない自分をさらけ出しても大丈夫だという安心感を持ってもらうことで自慢話をする習慣から脱却してもらい、そして次に、前に進んでもらう触媒として、「差分に驚く」。すると、過去にしがみつく依存症から、少しずつ前に進むようになると思う。

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