最終兵器(怒鳴る・言葉で追い詰める)を封印すること

YouMeさんと一緒に暮らすようになってまもなく、二人で約束したこと。
・私はYouMeさんに大声で怒鳴ったり、暴力を振るわないこと。
・YouMeさんは私を言葉で追い詰めたり、刺さないこと。
結婚して11年、幸い、お互いに約束を守ることができている。

YouMeさんは若い頃、自分じゃない人に対してなんだけど、男性がそばで大声で怒鳴ったとき、心底恐怖し、体が硬直し、涙がこぼれたという。YouMeさんの家族はみんな穏やかで、大声で怒鳴る人がいない。怒鳴り声はもはやそれだけで暴力だからやめてほしい、と私に話してくれた。

女性が男性の怒鳴り声にそんなに怯えるものだとは、なんとなく感じてはいたのだけれど、改めて「そうなのか」と腹落ちした。「わかった。約束する」と伝えた。その代わり、と、私からもお願いをした。

一般化してはいけないかもしれないけど、男性は口下手が多くて頭の回転が必ずしもよくなく、口喧嘩では女性に勝てないことが多い。私もそのご多分にもれないので、「言葉で追い詰めないでほしい。また、どんな言葉が胸を刺せるかわかっていても、それを口にしないでほしい」とお願いした。その代わり。

決して怒鳴らないし、暴力は振るわないし、話を必ず聞く、と約束した。YouMeさんも、私が聞く態度をとる限り説明する、と約束してくれた。(※YouMeさんが私の話を聞く、というのが約束から抜けてるのは、私の考えてることくらいYouMeさんにはたいがいお見通しだから。)

その後、私の物わかりが予想以上に悪いことにYouMeさんは愕然とする出来事が。けれどその後、YouMeさんはどう言葉を選べば私にわかるのかをウンウン考えながら説明してくれるようになった。私は「へえ!」「そうだったのか!」と驚きの声。発見に次ぐ発見。それが四冊の本を書くことにつながった。

一般化できないが、腕力が強く声が低い男性は、暴力や怒鳴り声が武器になりやすい。しかしそれに頼るからか、口喧嘩はあまり強くないように思う。
女性は、口下手な人もいて一般化できないが、腕力の代わりに口が達者な人も多く、相手の弱点を突き刺す言葉を見つけるのも上手い人がいる。

私は口ではYouMeさんに全く歯が立たない。YouMeさんは私に暴力や怒鳴り声で全く太刀打ちできない。互いの必殺技、最終兵器は封印しないと、建設的な関係は作れないと互いに早い段階で確認することができたのは、私たち夫婦にとって幸運だったと思う。

もし若いうちに結婚していたら。もののわかっていない私は、暴力は振るわないまでも、伴侶に怒鳴ることは構わないと考えた可能性がある。YouMeさんも若いうちだと、男性を言葉で追いつめ、言葉で心臓を突き刺していたかもしれない、という。互いにある程度人生を重ねてから結婚したのが功を奏した。

YouMeさんに教えてもらったことで、男性の怒鳴り声がどれだけ女性にとって脅威か、恐怖せざるを得ないものなのか、知ることができた。もし男性で、怒鳴るのを習慣にしてしまっている人がいたとしたら、それはぜひ即日改めることをお勧めしたい。

男性は、決して暴力も怒鳴ることもしないことを誓った上で、女性に、言葉で追い詰め過ぎないようにお願いしてはどうだろう。私が思うに、言葉が達者な女性に口で勝てる男性は少ない(口下手な女性はこの限りではないが)。言葉で負けるから暴力に頼る面があるように思う。しかしそれは非常によくない。

最終兵器は、決して出してはいけないものだと思う。それは相手を破壊する。もちろん関係を破壊する。最終兵器は互いに封印し、関係を続けるための努力を互いに寄せ合う必要があるように思う。私は、YouMeさんが歩み寄ってくれたおかげでそれができた。世の男性も、最終兵器は決して使わないよう願う。

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