水がめ(日本)を満たすには

水がめの中を水いっぱいにするにはどうしたらよいか。出ていくより入ってくる水が多いようにすればよい。
では、水がめは深いほうがよいか浅い方がよいか。私は深いほうがよいと考える。浅ければ、少し入ってくる水が減ったりしただけですぐに干上がってしまうから。

ヨーロッパは水がめを深くする戦略を取ったのだと思う。ヨーロッパは物価も高いが、給料も高い。これにより、国内(域内)で動くお金の総量が大きくなる。水がめが深いから、大量の水を蓄えられる。あとは、域内に流れ込むお金が出ていくお金より少し多めになるよう気をつければよい。

しかし日本は低賃金化を進め、低賃金だから安いものしか買えない、という、低物価、低収入の道を選んだ。水がめを小さく浅くしたようなもの。国外から入ってくるお金より国外に出ていくお金が多ければ、あっという間に干上がってしまう。

私は、国内の賃金や物価が高くなれば国際競争力を失う、という考え方に、ちょっと待って、と思う。ヨーロッパは賃金も物価も高い。しかし国際競争力を維持してきた。実は、国内(域内)の賃金や物価は国際競争力とは関係なく、「入ってくる量が出ていく量より多い」が実現できていればそれでよいのでは。

ところが日本は、途上国が国際競争力を持つのは賃金が安いからだ、と考え、途上国並みに賃金と物価をひくくする戦略をとった。この結果、水がめを浅くしてしまったのではないか。
日本を食べさせるには、水がめの深さを浅くする必要はない。水がめに注ぐ量が出ていくのより多ければよいだけ。

何とかして、海外に買ってもらえるものを作り、それで稼いだお金が、食料などを輸入することで出ていくお金より多くなるようにする。それさえ実現できていれば、国内の賃金や物価が必ずしも低い必要はない。日本は何か、大きな勘違いをしてきたのではないか。

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