「俺みたいになれ」の幼児性

偉くなると「俺みたいになれ」と訓示したくなるらしい。しかしそう言われれば言われるほど「お前みたいなのにだけはなりたくない」と思う部下が多いのはなぜだろう。そしてそういうお偉いさんには忖度ヒラメ(上ばかり見る魚)が取り巻き、耳に心地よい言葉だけ聞かせる側近ばかりなのはなぜだろう。

逆に、「自分は昔こういう失敗をした」「この点で皆さんにご迷惑をかけた」と、しくじり先生(自分みたいなのにだけはなるな)みたいに語る偉い人には「素晴らしいなあ、こういう人になりたいなあ」と思うのはなぜだろう。そしてそういう人には直言をする人が多く、だけど敬意も欠かさない人ばかり。

多分だけど、「俺みたいになれ」という言葉の裏メッセージとして「俺みたいにできてないお前らはダメだ」と、バカにしてるのが伝わるのだろう。そして、「俺ってすごいだろ、ねえ、見て見て。ほめてほめて」という幼児性も伝わるのだろう。その幼児性を感じて、尊敬する気になれなくなるのだろう。

他方、自分のダメなところを直視し、反省を口にできる人、そして部下へのリスペクトを失わない人は、裏メッセージとして「あなたのこういうところが素晴らしい」と、きちんとこちらを見てくれているということが伝わるし、反省の弁は自分を等身大で捉えていて「大人だな」と感じさせるのだろう。

「俺ってすごいだろ」と言いたい人ほど、言ってしまう人ほど、子供っぽく見え、「私はまだまだです」と言う人は大人に見え、こんな人になりたいと思わせる逆転現象。
こうしたことは、下からはよく見える景色。上に立つと見えなくなるのも面白い。

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