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不眠症は治らない?を徹底的に論破してみる。

ろんぱ【論破】《名・ス他》議論して相手の説を破ること。言い負かすこと。

この論破王として君臨する2ちゃんねるの創始者「ひろゆき」氏。京都大の教授だろうが弁の立つ元政治家だろうがどんな人でも言い負かすその姿。相手の説が矛盾している部分を見抜きそこを論理的に詰めて崩していく。しかも半笑いで。まあ見ていてすげえなと。どんな分野のことでも返す刀を持っているその造詣の深さに舌を巻いております。それが高じてそのひろゆき氏が色々な方からの質問に対して鋭い斬れ味で回答していくYouTubeチャンネルに最近ハマって抜け出せなくなっているましもんでございます。

2ちゃんねるの訴訟問題などで自分の中ではネガティブなイメージしかなかったひろゆき氏ですが、このチャンネルで息子さんを亡くされた方への回答は本当に心に沁みましたし実は優しくて常識的な人なのかな?なんて思ったりしているわけです。

と思っていたら!出ました夢に。論破王が、別にワイは何も持論を展開していないのに論破されるという。ただのダメ出し的なやつ。ハッ!!と目が覚めたら明け方でしたね。そしてザーーー。。。という雨の音が聞こえてくる。

さんま御殿で「こんな目覚めはイヤだ。」というテーマがあったら絶対エントリーしてもらいたくなる。そんな朝でした。

不安定な天気が続いているからか最近眠りが浅くてスッキリしないという方も自分だけではないのではないでしょうか?

先日配信開始したstand.fmでも触れましたが、これは身体に溜まった痰湿が原因になっていることが第一に考えられます。

人間は眠らないとどうなってしまうのか?このまま眠れないとどうなってしまうのか?この心配事は睡眠トラブルを抱える方につきまといます。

結論から言うと「質の良い睡眠が取れないことで様々な疾患や不調の原因になる」ことは明らかになっています。具体的に挙げると以下の通りです。

*睡眠負債の蓄積によってうつ病の発症率が高くなる。

*睡眠不足のラットは肥満ホルモンであるレプチン分泌量が増えて太った。

*疫学的調査によって睡眠時間が短い子供の肥満率が高いことが判明した。

*アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの蓄積は睡眠の質や睡眠時間の短さに比例する。

いかがでしょうか?睡眠の大切さを知れば知るほど眠れないつらさや心配事が増えて余計に不眠症を助長させているパターンは店頭での相談でも非常に多くあります。そして口々におっしゃられることが。

不眠症は治らない。睡眠薬はやめられない。という間違ったイメージなのです。

ということで今回は最近相談の多い睡眠障害について色んな角度から掘り下げてこのネガティブなイメージを論破してみたいと思います。

①睡眠の仕組み

まず論破する際にそもそも人間ってどういう仕組みで睡眠に入っていくのか?を知っておかなければなりません。

人間は生活の中で覚醒と睡眠を繰り返して生きていますがこれには脳全体が深く関わっています。それが脳幹に存在する覚醒中枢と前脳に存在する睡眠中枢となります。

この睡眠中枢では深睡眠。また脳幹の中の下位脳幹(橋と延髄にまたがる部分)がレム睡眠に関わっています。

このように覚醒・深睡眠・レム睡眠を作り出す仕組みがあって、お互いに働きあいながら覚醒と睡眠が周期的に出現するのです。

そしてこの覚醒中枢と睡眠中枢はお互いにシーソーのような関係を持っておりこのシーソーを調整するのが視床下部に存在する視交叉上核と呼ばれる部分です。具体的にはここで光を感知して覚醒中枢を優位にします。人間の体内時計は約25時間であるためこの部分で毎日微調整を行なっているのです。この体内時計はサーカディアンリズム(概日リズム)とも呼ばれ、目などの感覚器を通して、外界の様々な指標から「急速⇄活動」「睡眠⇄覚醒」の行動リズム。体温や血圧の調整をする自律神経リズム。メラトニンなどホルモンに関わる内分泌リズムを刻んでいきます。

このリズムが崩れることによって引き起こされるのが「概日リズム睡眠障害」で近年増えてきています。睡眠相後退型など現代の生活リズムの乱れによるものも多くありますが自身での矯正が困難でお悩みの方も多いようです。このような方には早朝に光を照射して日没から光を遮断する「高照度光療法」やメラトニンもしくはメラトニン受容体を作動させる薬を内服する治療なども採用されます。また交代勤務や海外渡航による時差によるものなど就業環境によるものもあり、個々の状況に応じてリズムを整える療法が選ばれるようです。

またここまで深刻ではないですが。夜遅くまでブルーライトを浴びるなど視交叉上核に刺激を与えることで覚醒中枢が優位になり睡眠障害を引き起こすパターンもかなり増えています。

②不眠症はこんな風に仕分けられる

少し前ではありますが1991年の国内8カ所。4797人(男性2885人/女性1912人)を対象として行われた調査では不眠有病率は約27.2%で約4人に1人が不眠という結果が残っています。

行われたアンケートによると

⑴寝付くのに30分以上かかる。

⑵夜中に6回以上目が覚める。

⑶夜中に目が覚めるとなかなか寝付けなくて困ることがしばしばある。

⑷毎晩眠れなくて困っている。

この中のいずれかに当てはまる場合を「不眠」とされています。

こちらは厚生労働省が不眠症についてまとめたページです。

そして不眠症の原因としては大きく6つに分けられています。

①ストレス/過度な緊張によるもの。細かく考え過ぎてしまう人や生真面目な人は眠れないこと自体がストレスになることもある。

②からだの病気によるもの。循環器や呼吸器などによる身体の不調・アレルギー疾患による痒み・リウマチなどによる痛みなどによる睡眠障害。

③こころの病気によるもの。うつ病などによって引き起こされることもある。

④薬や刺激物によるもの。降圧剤や甲状腺・気管支拡張剤の一種。コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインによって眠りが妨げられることもある。

⑤概日リズム睡眠障害。生活リズムの乱れ/概日リズム=体内時計の補正がうまくいかず夜のスムーズな睡眠に移行できない。

⑥環境によるもの。騒音や夜勤明けの日光など睡眠時の環境で眠りを妨げられる。

あくまでもこの不眠症の分類は引き起こされる誘因によって分けられており、その因子を除いていくことによって障害を軽減していくというのが主な考え方になります。これに加えて体質的なものであったり体調を見て原因を探っていく中医学的な考えも取り入れていくとより効果的です。

③ざっくりと睡眠薬を分類してみる

⑴ベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬

情動と関わる大脳辺縁系をはじめ全身に分布するBZD受容体に作用します。不安感を和らげる抗不安薬や痙攣・鎮静・筋弛緩などの作用を期待して処方されるものも。睡眠薬としては作用時間(消失半減期)によって超短時間型・短時間型・中時間型・長時間型に分けられます。

【超短時間型】半減期2〜4時間

ゾルピデム(マイスリー)/トリアゾラム(ハルシオン)/ゾピクロン(アモバン)/エスゾピクロン(ルネスタ)このうちトリアゾラム(ハルシオン)以外は非BZD系とされBZD系と化学構造は異なるが同様にBZD受容体に作用します。

【短時間型】半減期6〜10時間

エチゾラム(デパス)/リルマザホン(リスミー)/ブロチゾラム(レンドルミン)/ロルメタゼム(ロラメット・エバミール)

【中時間型】半減期12〜24時間

エスタゾラム(ユーロジン)/フルニトラゼパム(サイレース)/ニトラゼパム(ネルボン・ベンザリン)

【長時間型】半減期24時間〜

クアゼパム(ドラール)/フルラゼパム(ダルメート)

今まで主流とされていたベンゾジアゼピン系の睡眠薬も副作用や習慣性の観点からなるべく長期にわたって多剤服用しないように。最近の処方せんでは減量していく傾向にあります。

⑵メラトニン受容体作動薬

ラメルテオン(ロゼレム)

視交叉上核にあるメラトニン受容体を刺激することで催眠効果を発揮します。BZD系にみられる筋弛緩作用・記憶障害・依存性などの問題が少ないため比較的安心して服用できます。効果としては若干弱く、高齢者や概日リズムの補正のためによく使われます。

⑶オレキシン受容体拮抗薬

スボレキサント(ベルソムラ)/レンボレキサント(デエビゴ)

覚醒をコントロールする物質=オレキシンの受容体を遮断することで睡眠をもたらします。スボレキサントは中途覚醒や早朝覚醒に効果があり、レンボレキサントはオレキシン2受容体の阻害作用が強いため入眠困難にも効果が期待されます。

このオレキシン。実は食欲や筋肉の代謝にも働きかけるホルモン。食事を美味しく規則正しく摂ると分泌されて筋肉での糖利用が活性化するのでとても大切なのです。ただ就寝直前に食事をするとオレキシンが予期せず分泌されてしまい覚醒に傾いてしまうので就寝2〜3時間前は間食も含めて食事を控えるようにしましょう。

⑷その他(抗うつ薬・抗精神病薬・抗ヒスタミン薬)

不眠を改善するために抗うつ薬や抗精神病薬の一部が使われることは多くあります。主流だったベンゾジアゼピン系よりも副作用の心配も少ないためと言われています。また抗ヒスタミン薬は代表的な副作用の眠気を逆手にとって不眠の改善に使用します。一般医薬品のドリエルもこれに入ります。

睡眠薬は1〜2週間ごとに服用量の25%を目安に減薬していくのが標準的です。また効果(消失半減期)の短いものから減薬することが好ましいとされます。実際に減量する際には自己判断ではなく必ず専門医の指示のもとで行ってください。無理な減量は反跳性不眠など症状を悪化させることもあります。

④中医学から見た不眠の原因・特徴・代表的な方剤

中国の古文に「不得眠(眠を得ず)」という言葉も残されており、中医学の世界でも昔から不眠症があり独立した病証として扱われていました。ここではその不眠症の原因として考えられる原因を挙げてみたいと思います。

⑴情緒失調

心配して眠れない。興奮して眠れない。腹が立って眠れない。など過度な精神活動によって眠れなくなる。これは五臓の中で「心」「肝」「脾」が一時的に失調することで起こります。

⑵心脾両虚

長期間にわたる情緒の失調をはじめ病気や手術・外傷・出産、生理の経血量過多などによって気血が減少することで起こります。心血が不足して心神を滋養できない「心不蔵神」となるため不眠を生じます。

【特徴】寝つきが悪い・夢が多い・眠りが浅い・動悸・倦怠感・食欲不振・食後の膨満感・血色が悪く潤いが少ない。

【代表的な方剤】帰脾湯・加味帰脾湯・甘麦大棗湯など

⑶心腎不交

心と腎が互いにバランスをとっている状態が腎虚(腎陰虚)などによって均衡が崩れてしまうことを心腎不交と呼び、腎陰が心火を冷ますことができない「陰虚火旺」の状態になる。この心火が亢盛することで不眠を生じます。

【特徴】手足の火照り・胸がざわざわして落ち着かない・寝汗・口の渇き・耳鳴り・物忘れ・腰痛など。

【代表的な方剤】天王補心丹など

⑷肝鬱血虚

「肝は血を蔵す」「肝は血の海」と言われており血液を貯蔵しており、心とともに血と関係の深い臓器です。この血の中には魂が宿るとされており肝血虚によって魂が外へ流出してしまい熟睡できなくなる。

また上昇する性質を持つ肝気が肝血の不足により一層旺盛になり「肝陽上亢」の状態となる。血圧上昇や頭痛、目の充血などを起こす中で肝の子である心にもその熱が波及して心の蔵する「神」がわずらわされるため不眠を生じます。

【特徴】寝つきが悪い・夢が多い・驚きやすい・爪が割れる・目が乾く・目が充血する・ため息がよく出る・怒りっぽい・イライラするなど。

【代表的な方剤】酸棗仁湯など

⑸痰熱内擾

痰熱は湿から発生します。食生活のかたより=肥甘厚味や酒などの摂り過ぎや梅雨時期の湿気など季節の影響も大きく受けます。また湿を処理する脾をはじめとした臓腑の機能失調によって湿が体内に停滞し、この停滞が長期間に渡ることで熱を生じ「痰熱」を生みます。この熱の性質によって心神を犯すことで不眠を生じます。

【特徴】胸がざわざわして落ち着かない・口の苦みがある・めまい・頭重・舌が赤い・舌の苔が黄色いなど

【代表的な方剤】温胆湯など

⑹胃気不和

胃気の不足もしくは食べ過ぎ飲み過ぎによって胃の機能が損傷されることで「食滞」を起こします。下降すべき胃気が上逆することで胃のむかつきを伴って不眠を生じることがあります。一時的な場合もありますが長引くと⑸の痰熱に変化していくため治療が難しくなってきます。慢性胃炎の方で胃の不快感と不眠を訴えるパターンもよくみられます。

【特徴】胃もたれ・胃部膨満感・腹痛・むかつき・臭いの強いゲップ・下痢・便秘・舌の苔が黄色いなど

【代表的な方剤】保和丸・晶三仙・調胃承気湯など

⑤中医学的な不眠に対する養生とは。

中医学的な原因のうち⑴は一時的なもの。⑵〜⑷は虚証によるもの。⑸⑹は実証によるものとなります。養生に関してもそれぞれに適したものをあげていきます。

⑴情緒失調は心配事。興奮。怒りによるものです。一時的なもので時間が解決してくれるのであれば心配はありませんが、長引くにつれてそれぞれの感情が身体の失調につながっていきます。どうでも良いことでもクヨクヨしすぎたりイライラしすぎたりする場合は相談してください。

⑵心脾両虚は血を全身に巡らせる「心」と消化吸収を司り気血を生成する「脾」の働きが弱くなっている状態。思い悩むことで症状が長引きます。夜の悩み事は解決しない上に余計に失調するので切り替えて寝ちゃいましょう。またよく噛むことや水分の摂り方を意識すると胃腸の働きも良くなります。

⑶心腎不交は腎虚(腎陰虚)の進行を予防することが大切です。「酸甘化陰」という言葉がある通り食べ物の中では甘酸っぱいものが陰を養うとされています。ぶどう・梨・柑橘類などの果実やトマト・スイカ・豆乳・レンコンなどもおすすめです。*唐辛子・胡椒・山椒など香辛料の摂りすぎ。サウナや岩盤浴など発汗しすぎると陰虚が進行するので注意しましょうね。

⑷肝鬱血虚は肝を養って血を補うことが大切。レバーや鶏肉・人参・クコの実など血虚を補う食材や、酸味のあるもの=レモンを効かせたり酢の物を積極的に取り入れたりすると改善します。またストレス(気滞)を緩和するセロリやパクチーなど香りの強い食材もおすすめです。以前にご紹介した「イカとセロリのマリネ」が超オススメ。

⑸⑹は食べ過ぎ飲み過ぎを改善することが大切です。ひと口30回を目標によく噛むこと。ひと口食べたら一度箸を置く。食事中の水分は控えるなど食べ方や飲み方などの見直しが必要になってきます。「肥甘厚味」といって甘辛いコッテリとした味付け。クリームなどがたっぷり入ったスイーツなども⑸痰熱を助長するので少し我慢が必要です。

いかがでしたか?不眠症を西洋医学的にも中医学的にも原因から考えてみると対策は見えてきたのではないでしょうか?本来人間には眠るための機能が必ず備わっています。今回挙げた原因が思い当たる方はまずそちらへのアプローチを行なってみてはいかがでしょうか?

不眠症は治らない。睡眠薬はやめられない。

現場からましもんが論破してみました。

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