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#NTT復権へ再編に活路・ドコモとコム統合も #次世代通信網で主導権狙う NTTはNTTドコモを完全子会社化し、グループに散らばる技術を集約して成長力を取り戻す。ドコモをNTTコミュニケーションズ(NTTコム)などと統合することも検討し、データ経済を支える次世代通信網の構築で主導権を握る考えだ。国内では通信料金ではなくキャッシュレス決済などの消費者サービスに活路を見いだす。

「グローバル市場で『ゲームチェンジ』を起こしたい」。29日の記者会見でNTTの澤田純社長はこう強調した。 一方、12月に退任するドコモの吉沢和弘社長は「5Gが始まり、異業種も加わった競争の中で『モバイル』だけを視点にしていた」と反省の弁を述べた。澤田氏が完全子会社化の方針を固めたのは4月。「シェアは高いが利益が3番手になった時点で、ドコモに働きかけた」という。 完全子会社化でまずドコモの国内事業を成長軌道にのせる。携帯電話市場は頭打ちで政府からの値下げ圧力が強まり、携帯料金収入の大幅な増加は見込めない。キャッシュレス決済や電子商取引(EC)などデジタルサービスでの課金収入を成長の柱にすることが欠かせない。 「デジタルサービスの軸となるキャッシュレス決済でドコモは乗り遅れた」。あるNTT幹部は話す。ドコモが18年4月に始めた決済サービス「d払い」は、ソフトバンクグループ(SBG)の「PayPay(ペイペイ)」に見劣りする。 d払いから半年後に始まったペイペイは利用者数が3000万人を突破し、決済金額で国内首位となった。SBGに加え傘下の通信子会社ソフトバンク、ヤフーが出資し、総力で育てる。 SBGに対し、ドコモが「スマートライフ事業」と呼ぶデジタルサービスは苦戦している。キャッシュレスはその象徴だ。「グループの力を得てスマートライフ事業のサービス創出力を高めたい」。吉沢社長はこう強調した。 成長戦略を再定義するNTTにとって、次世代通信技術がもう一つの柱となる。 世界で普及し始めた5Gは、インフラの核である基地局で中国の華為技術(ファーウェイ)、北欧のノキア、エリクソンの3社が市場を牛耳る。米中摩擦でファーウェイが身動きを取りにくいなか、NTTはNECと資本・業務提携することで、両社の通信技術を結集させ、対抗軸を作ることを決めた。 次の一手として、グループ会社の技術を集約する。NTTはクラウドやデータセンターも手がけるNTTコム、ソフトウエア開発のNTTコムウェアの2社をドコモと統合させる方向で検討に入った。NTTコムの固定通信のノウハウなどを活用し、次世代通信網を支える技術を開発する。 NTT本体は基礎研究を手がけ、上場子会社のNTTデータはシステム開発で支援する。通信インフラ整備の主導権が通信会社に移る機運に乗り、インフラそのものを構築する事業に海外で打って出る――。これがNTTの狙いといえる。

#COMEMO #NIKKEI

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