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#首相脱炭素へ投資促す初の予算委 菅義偉首相は2日、就任後初めての衆院予算委員会に臨んだ。温暖化ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする目標の達成へ規制改革などを通じた投資拡大で技術革新を目指す方針を表明した。野党は日本学術会議を巡る問題を追及した。 「積極的な温暖化対策を成長戦略として捉えることが必要だ」。首相は脱炭素社会の実現を経済成長につなげる考えを繰り返し強調した。

公明党や自民党からは進め方に関する質問が相次いだ。 公明党の竹内譲政調会長は3年間で35兆円規模を環境分野に投じる欧州連合(EU)の取り組みをパネルを使って紹介し、日本の対応を尋ねた。 首相は「規制改革などの政策を総動員しグリーン投資の普及を進める。長期間にわたる支援策を講じ、経済と環境の好循環をつくる」と述べた。 脱炭素の実現には水素や蓄電池、太陽光発電などの技術革新が必要となる。再生可能エネルギーの分野は欧州が技術開発で先行する。首相発言で政府が手厚い支援を用意するとの期待が高まる。 首相は一例として水素エネルギーの活用を挙げた。自民党の小渕優子元経済産業相が水素への考え方を問うと「非常に重要なカギだ」との認識を示した。「安価で大量に水素を供給するサプライチェーン(供給網)の構築が大事だ」と普及に意欲をみせた。 梶山弘志経産相は再生エネに対応した送電網整備の必要性に言及した。「政府が主導しながら市場をどう広げるかが重要だ」と言明した。 原子力の活用も検討する。首相は「原子力を含めてあらゆる選択肢を追求する」と語り、柔軟に対応する余地を残した。梶山氏は次世代原発は安全性が高まり、初期投資を抑えられる可能性があると話した。 自民党の山際大志郎氏は中国がエネルギー政策を外交カードに使う懸念に触れて政府の考え方を質問した。首相は「エネルギーの確保は重要だ。経済安全保障の観点も含め集中的に議論して結論を出す」と答弁した。 看板政策に関しては首相が意義を強調した。デジタル庁は「規制改革を断行する突破口として創設する。権限をしっかりと付与していく」と説いた。携帯電話料金の引き下げは「政権公約という思いで取り組んでいる」と語った。 学術会議が推薦した会員候補の任命拒否を巡っては、首相が対応の正当性を訴えた。候補選定は「閉鎖的で既得権益のようになっている」と主張し「前例踏襲をやめ民間人や若い人を増やせたらいいと判断した」と話した。 任命しなかった6候補のうち加藤陽子東大教授以外の業績や研究については「承知していなかった」と明かした。個々の任命に関する理由は回答を控えると繰り返した。 立憲民主党の今井雅人氏は「なぜ任命されなかったか説明しないと前に進まない」と理由を明らかにするよう求めた。拒否された6人には若手や会員の少ない大学の教授が含まれると指摘した。 このうち53歳の宇野重規東大教授を若手と認めるかを聞くと、首相は「認めない」と答えた。今井氏は会員候補105人に52歳以下は11人だけだと述べ、首相の説明は通らないと訴えた。 

#日経COMEMO #NIKKEI

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