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日本国が無視出来ない原発が存在できない最大の要因‼ 海底巨大火山、浮かぶ全貌 鬼界カルデラを探査 直近1万年間で世界最大の噴火を起こした超巨大火山の全貌が浮かび上がってきた。

九州南方の海底にある「鬼界(きかい)カルデラ」だ。これまでの探査で、その中央部には巨大な溶岩ドームが形成されており、周囲は火砕流が原因の分厚い堆積層で覆われていることが分かった。海底下では次の超巨大噴火の準備段階とも考えられるマグマの動きがあるようだ。

鹿児島港から船で約4時間南下すると噴煙を上げる火山島に着く。平家物語に登場する俊寛僧都(しゅんかんそうず)が流された鬼界ケ島とも伝えられる薩摩硫黄島だ。この火山島が、深さ約600メートルから立ち上がる鬼界カルデラの外輪山の頂上になる。 神戸大学の「深江丸」が周辺海域を4年間探査した結果、「鬼界カルデラの規模は九州中央にある雄大な阿蘇カルデラに匹敵することが分かった」と同大学の研究組織、海共生(ともいき)研究アライアンスの巽好幸アライアンス長は話す。 7300年前、この海域にあった大きな火山島が大噴火した。火砕流が海上を走って九州本土南部を襲い、当時栄えていた縄文文化が滅亡した。火山灰は東北地方南部や朝鮮半島南部まで降り積もった。放出されたマグマの総量は、江戸の街を灰まみれにした富士山の宝永大噴火の700倍以上とみられる。膨大なマグマを放出した火山島は中央部が大きく陥没して海に沈み鬼界カルデラとなった。 地球深部探査船「ちきゅう」による今年1月の掘削調査と深江丸による探査の結果を総合すると、鬼界カルデラ周辺は7300年前の噴火の噴出物が分厚く堆積しており、その総量は従来想定をはるかに上回るという。火砕流の重い成分が海底を土石流のように流れ、大津波も起きた可能性があると神戸大の研究グループはみている。 カルデラの外輪山に囲まれた内部は山手線のループが2つ入るほどの広さがあるが平らではなく、ドーム状に盛り上がり、その頂上は海面に接している。このドームの素性がよくわからなかったが「巨大な溶岩ドームであることが私たちの調査で明らかになった」(巽アライアンス長)。 7300年前の噴火の後、カルデラ底部の火口からマグマが噴出したが、かなり粘り気が強かったため、水のようには流れず、火口直上に盛り上がってドームを形成したと考えられる。国内の溶岩ドームでは北海道の昭和新山や九州の雲仙・普賢岳が有名だが、それらをはるかに上回るサイズだ。単独の火口から噴出してできた溶岩ドームとしては世界最大規模という。 このドームの中央域では火山性ガスの噴出が見られ、現在もマグマが活動している。今後を考えると重要なのは、このマグマの正体だ。実は鬼界カルデラでは少なくとも3回は超巨大噴火が起きている。14万年前と9万5000年前、そして7300年前だ。火山の寿命が数十万年以上あることを考えると、4回目がないとは言い切れない。もし起きたら日本は壊滅的被害を受ける。 溶岩ドームのマグマが前回の超巨大噴火を起こしたマグマの残渣(ざんさ)であれば、現在は超巨大噴火後の静穏期で、次の超巨大噴火の切迫度はあまり高くないと考えられる。一方、それとは別物の新たに地下深部から供給されたマグマであれば、次の超巨大噴火に向けた準備期に入っている可能性が出てくる。 溶岩ドームの岩石を分析した結果、前回の超巨大噴火のマグマとは異なり、現在活動中の薩摩硫黄島の火山のマグマと同類であることが分かった。「鬼界カルデラでは活発にマグマが上昇しており、マグマだまりが巨大化している可能性がある」と巽アライアンス長は警鐘を鳴らす。 深江丸で調べられるのは海底下1キロメートルくらいまでなので、そうしたマグマだまりがあるのかどうか突き止められない。そこで期待がかかるのは来年度に計画されている海洋研究開発機構の海底広域研究船「かいめい」による大規模探査だ。 かいめいを使えば海底下30キロメートルあたりまでの鬼界カルデラの構造が分かるとみられている。超巨大噴火をもたらすマグマだまりや、さらに下方にあるマグマが生み出されている場所をも調べられるのではないかと期待されている。 日本には鬼界カルデラ以外にも阿蘇カルデラや、桜島をその一部とする姶良(あいら)カルデラなど過去約10万年以内に超巨大噴火を起こした火山がいくつもあり、これらも将来、再び目覚める恐れがある。鬼界カルデラで得られた知見と探査のノウハウは、日本列島を襲う超巨大噴火を予測し、破局的な火山災害を減災するための基盤となる。 

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