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「孤独」という問題をどう考えていくか

今回は、「孤独」というのが問題化してきていると改めて思う、という漠然とした内容です。
 

高齢化や社会とのつながりの希薄化などの背景があるのだとは思いますが。
事件が起きたときに容疑者の「孤独」な側面が必ずと言ってよいほど取り上げられますし。
 
イギリスで「孤独問題担当国務大臣」が2018年1月に置かれ、日本でも「孤独・孤立対策担当室」が2021年2月に置かれて、担当大臣も任命されています。
 
それほど国家が「孤独」を深刻にとらえていることになります。
 
私も相談業務をしながら実感するところがあるので、今回は「孤独」について書きたいと思います。



心理相談の仕事をしていると、「自分の話を聞いてほしい」というのがメインの訴えである相談者が非常に多いです。
 
話を聞いていると、つまるところ、「孤独」や「さみしさ」を抱えて生きていらっしゃるのだなと思います。
 
一人で生活して人との関わりが少ない方ももちろん、人と一緒にいて関りを持っている方でも「孤独」を抱えているように思います。
 
友人や家族、パートナーがいても、「さみしさ」を抱えていますので、単に一人の状況を逃れれば「孤独」はなくなるというものでもなさそうです。
 
 
これまでは「ひとりでいられる能力」があれば、大丈夫、と楽観的に考えていましたが、そうでもなさそうです。
 
「ひとりでいられる能力」は、小児科医で精神分析家のウィニコットが心の成熟の指標を表した言葉です。
安心して孤独を楽しんでいられる力のことです。
 
乳幼児期の赤ちゃんはひとりで生きていくことができませんので、養育者(たいていは母親)のサポートが必要です。
不快や苦痛を感じたときに泣き叫んで母親を呼び、世話をしてもらいます。
母親がいなくなることは、とてつもない不安と恐怖です。
やがて心身が成熟してくると、徐々に物理的に母親と離れたり、心理的に離れたりすることが可能になります。
急に離れることはできないため、移行対象(ぬいぐるみなど)を母親の代わりにする移行期間があります。
そうして、安定した母親イメージが自分の中に内在化することで、ひとりでいられることが可能になるのです。
 
ひとりでいられるということは、逆説的にはひとりではないと言えます。
 
しかしながら、最近はこの「ひとりでいられる能力」があっても、孤独に苛まれることがあるのだと思うようになりました。
 
 
「孤独」は独り身や困窮だけの問題ではなく、人と一緒にいても、恵まれた環境にいても抱える大きな問題として、今後も社会のテーマになるだろうと考えています。
 
 
 
今回は「孤独」について取り上げました。
相談者の本質に「孤独」がありそうで、それは現代社会とどう関係しているのか、どのような対策があるのか、今後も私のテーマにしたいと考えています。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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