見出し画像

人に意見を聞き入れてもらう「自分の失敗語り」

今回は、人に自分の意見を聞き入れてもらうときの一工夫についてです。
 
 
相手のためを思って自分の意見を伝えたいとき。
「もっとこうすればいいのに」
「その行動はやめたほうがいいのに」
 
でも相手に自分の意見を聞いてもらうのは、それほど容易くはありません。
意見の押し付けと受け取られたり、自分が間違っていると否定されたと受け取られたりします。
 
とくに心を閉ざしがちな状態、うつ的な状態にある人にとってはなおさら。
他人の意見がぜんぜん響かないことがあります。
 
私は相談の仕事をしているので、そのような場面はよくあります。
そのようなときに一工夫した伝え方をすると、自分の意見が相手に届くことがあります。
 
日常の人とのやりとりでも同様にこの伝え方は効果があると思うので紹介します。



意見の押し付けや相手の否定にならない伝え方。
 
それは、自分が失敗した、うまくいかなかった体験を話す、ということ。
 
自分が相手と似たような状況にあった時にうまくいかなかった体験を反省するように語ります。
そして、もっとこうすればよかった、あるいはこうしたらその後うまくいったというように回想するのです。
 
たとえば、プレゼンに自信がないのに準備に手を抜いている人がいるとして。
 
「準備や練習をちゃんとしたんですか?」
「どれだけ準備をしたかが自信になりますよ」
 
と意見したくなりますが、それでは相手に響きにくいと思います。
 
それよりも、自分はかつて練習不足でプレゼンをして大きな失敗をした体験がある、相当痛い思いをしたのでそれ以来準備には手を抜かないようにしているという話をするのです。
 
 
人に自分の意見を聞いてもらいたいときには、
否定しないこと
支配しないこと
 
心理的リアクタンスという概念があります。
人は自分のことは自分で決めたいという欲求があって、自由を制限された際にそれに抗おうとする性質があるのです。
 
自分の失敗体験を語るのは、単に自分の体験を語っているだけなので、それを受け取るのは相手次第。
心理的リアクタンスが生じにくいのです。
 
 
相談の仕事をしていると、相談者の中に「自分は何をしたいのかわからない」「したいことがあっても自信がないからできない」と思って、悩んで時間だけが経ってしまう人がいらっしゃいます。
 
そのようなときは、私自身がかつて何をしたいのかわからなくて、本を読んだりして考えるばかりで行動できなかったという話を反省するかのようにします。
そして、結局何かをやり始めながら考えることで先に進むことができたんだよな、という体験を話します。
 
すると、相談者は「それって自分と同じような状況だな」と思って、私の言葉が届きやすくなるのです。
 
 
人に自分の意見を聞いてもらいたいときは、否定せず押しつけず、自分がだめだったときの話を自分事として語るのが良いと思います。
 
 
 
今回は、人に意見を聞き入れてもらう「自分の失敗語り」という話でした。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
【お問い合わせ・カウンセリング】
 
■小林へのお問い合わせは⁠こちら
小林へのお問い合わせやお仕事依頼など。
 
■カウンセリングのお申し込みはこちら
カウンセリングについてのお問い合わせやお申し込み。
 
小林いさむ|公認心理師

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?