投球時 球速アップするための左上肢の使い方
右投げを想定しています
野球選手のほぼ全員が速い球が投げたい・遠くまで投げたいと思っているはずです。
僕が見る選手の多くが左上肢が使えていません。使い方を改善させるだけで球速や球の勢いが上がった選手が多くいるので解説していきます。
専門的な言葉が多く出てくるので難しいと思います。
一番重要なポイント
アーリーコッキング期(体重移動)からレイトコッキング期(左足が地面に着く直前)まで左肩を外転・水平内転・内旋させることです!
しっかりと肩の高さまで左肘を上げて・肩を内(お腹側)に入れて・肩を内旋位(肩を内に捻る)にさせること!
外転(肘を上げる)
内旋(肩を内に捻る)
水平内転(肩をお腹側に入れる)
動画です
外転 内旋 水平内転の順にやっています↓
なぜこの3つが重要か?
肩の挙上動作(外転)
慣性モーメントが関わってきます。慣性モーメントとは回転のしやすさ・大きさです。慣性モーメントが大きいと回転は大きく回転に必要な力も大きくなります。慣性モーメントが小さいと回転は小さくなり回転に必要な力も小さくなります。
アーリーコッキング期に外転が小さいと慣性モーメントが小さくなり身体が回転しやすくなります。これは身体が開きやすくなってしまうことです。
肘が上がると慣性モーメントが大きくなり身体が回転しずらくなり身体の開きを抑えやすくる↓
肘が下がると慣性モーメントが小さくなり身体が回転しやすくなり身体が開きやすくなる↓
肩の水平内転は肩を内(お腹側)に入れる
肩を水平内転させて身体の開きを抑え上体が後ろ(背面)に反らないようにします(上体前傾の保持)↓
肩が水平外転し肩が背中側に行くと肩が開くために身体が開き(回転)安くなってしまい上体も起き上がってしまいます。↓
動画
肩の水平内転・外転の違いです↓
肩の内旋
肩が内(お腹側)入り肩甲骨が前傾することにより身体の開きを抑える事ができ上体が起き上がることも抑えてくれます↓
これが外旋してしまうと肩が外に開き肩甲骨が後傾してしまい身体が開き上体も起き上がってしまいます。↓
内旋・外旋の動画↓
この外転・水平内転・内旋の3つの動作をすることによりアーリーコッキング期からレイトコッキング期に体幹を投球側(右手側)に捻転し身体の開きを抑える事ができます。↓
そしてこの3つは加速期(アクセラレーション期)からリリースの場面で重要なポイントになります。
アクセラレーション期には身体が回転します。その時に重要なのが左上肢の引き動作・たたみ動作です。この引き動作により体幹の回転運動を誘導することにより体幹・右肩内旋・右肘伸展・体幹前傾の角速度を獲得することができます。
角速度とは回転運動の速度・進角度
肩の外転・水平内転・内旋がアクセラレーション期にどう繋がっていくの?
アクセラレーション期に重要なのが肩を内転・水平外転・外旋をすることです。肩内転(肘を身体に寄せる)水平外転(後ろに引く)外旋(肘をたたむ)いわゆる引き動作・畳動作
肩内転(肘を身体に寄せる)
水平外転(後ろに引く)
外旋(肘をたたむ)手のひらが上を向く
肩の内転
ここでも慣性モーメントが関わってきます。アクセラレーション期に外転から内転することにより慣性モーメントが大→小になります。身体が回転しずらいからしやすいに変わります。大→小の急速の変化により体幹の回転速度を得られます。フィギュアスケート選手の腕を伸ばした回転とたたんだ回転をイメージしてみてください
内転ぜずに肘が上がったままだと慣性モーメントが大きいままなので回転が大きくなってしまい回転が遅くなってしまいます。↓
動画 引きの肘が上がった・たたんだ違い↓
肩の水平外転
肩を内(お腹側)から外(背中側)に引くことにより身体の回転速度を得られます。しっかり最後まで引くことにより身体の回転の強さに繋がりますが、最後まで身体が回転してくれます↓
引きが弱い・最後まで引けないと回転が弱くなり身体も最後まで回転せずに上体が正面を向いたようなかたちになります。↓
動画 引きがあまい・十分できている違い↓
肩の外旋(たたみ動作)
肩を内旋し肩が内に入り肩甲骨が前傾したところから肩を外旋し肩を外に開き肩甲骨を後傾させることにより身体の回転運動を誘導します。わかりずらいですが左の肩甲骨が後傾しています
手のひらがしっかり上を向いている(外旋)↓
肩を外旋させずに内旋のまま肘を引いている。わかりずらいですが左の肩甲骨が前傾しています。手のひらが下を向いている(内旋)
身体の回転を肩でうまく誘導できなくなる↓
動画 動きを見てもあまり違いは判りずらいです↓
この3つの動作をすることにより身体の角速度を得られ身体の回転運動や肩や肘の運動などに繋がっていきます。
キメとヒキ
ここまで左上肢の使い方と重要性を説明していきました。
ここからは
肩の外転・水平内転・内旋をキメ
肩の内転・水平外転・外旋をヒキ
と短縮して書きます。
ここからはキメ・ヒキができていない場合の影響を書いていきます
アーリーコッキング期にキメができていない場合、レイトコッキング期までに体幹の投球側の捻転が低下してしまい非投球側(投球方向)に身体が開いてしまいます。↓
そのためアーリーコッキング期からレイトコッキング期にキメることで体幹を投球側に誘導し保持することが大切になります。↓
アクセラレーション期からリリースにかけてキメからヒキます。そうすることにより体幹の回転運動を誘導し十分な角速度が得られます。体幹の角速度が大きければそのあとの右肩の内旋や肘の伸展の角速度も大きくなります。
この時にキメが十分にできていない場合ヒキの変化量が小さくなってしまい十分な体幹の回転運動(角速度)ができなくなってしまいます。体幹の角速度が小さくなるとそれに連動して起こる肩・肘の動き右肩内旋・肘伸展の角速度も小さく(遅く)なります。体幹を十分に回転できないとリリース時に上体を前に持っていけないために体幹の前傾角や角速度の低下します(上体が突っ立ったような投げ方になる)
肘がしっかり引けて身体の回転が最後までできている↓
膝の引きがあまいために身体の回転が最後までできておらず上体が突っ立ったよう感じになっている↓
動画
1球目 しっかりとヒキ身体の回転を誘導している
2球目 ヒキがあまく身体の回転が十分にできていない
まとめ
アクセラレーション期にキメができていないと体幹の投球側の捻転・保持ができずに開きやすくなってしまう↓
キメが十分ではないとその後のヒキが小さくなりキメからヒキの変化量が小さくなり体幹の回転運動を十分に誘導できずに体幹の角速度が小さくり右肩内旋・肘伸展・体幹前傾角速度が小さくなる(遅くなる)
ポイントは
アーリーコッキング期からレイトコッキング期に左肩を外転(肘を両肩の高さまでもっていく)させ肩を水平内転・内旋させて肩を内(お腹側)に入れて体幹を開かないように保持する↓
アクセラレーション期に左肩を強く内転・水平外転・外旋させて肘の引き動作・畳動作を行い慣性モーメントの変化を利用・左上肢の動きも使い体幹の回転運動を誘導して体幹の角速度を大きくすること、体幹の角速度が大きければ右肩内旋・肘伸展・体幹前傾角速度も大きくなる。↓
左上肢をうまく使い身体の回転を誘導し強くすることがポイントです。
これができないと球速は上がりませんしこれができると球速がupします。
単純に左上肢(肘)強く引くことを意識するだけでも球速はアップすると思います。
ただ投球は足を上げた所からリリースまで様々なポイントがあり左上肢の使い方がわかったからといって必ず球速がupするわけではありません。他の身体の使い方がダメだと意味がなくなるからです。
ただこの記事を読んでいいただいた方には左上肢の使い方の重要性がわかっていただけたと思います。
明日から左上肢の使い方・指導の仕方を意識してみましょう
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