お姫様のリクルートスーツ　〜ショートショート

昔アラビアのお姫様がリクルートスーツに憧れた。王宮を出入りするペルシアの商人に熱心にお願いし、商人はシルクロードを渡り東の異国から青山の就活おまとめセットを持ち帰った。街を歩くお姫様のリクルートスーツ姿は愛らしく、たいそう評判となった。エントリーシートを出してもいないのに名だたる企業から採用の連絡が王宮に相次いだ。しかしお姫様はどこの会社にも行く気は無かった。お姫様には密かに想いを寄せる男がいた。男は街の外れでランプの会社を営んでいた。お姫様は緊張の面持ちで会社を訪ね、深呼吸して上品にドアを２回ノックし、名前と所属を大声で伝えた。男は喜んだが、大変申し訳ないが今年は新人を取る余裕がないんだ、と伝えた。お姫様は、それは構いませんわ。だって私はあなたに就職したいんだから。と志望動機を伝えた。会社のランプは後々、夢が叶う魔法のランプと評判になり世界中で売れに売れたらしい。

喫茶店に、就職活動の話をしている若者がいたので、それをテーマにショートショートを書いてみました。描き初めは可能性を感じるのだが、やはりフィニッシュと全体の強度が難しい。。