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2020年の私的ベストあれこれ

天皇の即位を終え、五輪イヤーのどこか浮かれた気分で迎えた2020年。
想定外のパンデミックに塗りつぶされ、季節を感じる余裕もないまま気がつくと大晦日になろうとしている。

これほど人と会わないで過ごした年はなかったのだが、それにもかかわらず常に得体の知れない忙しなさに背中を押されていた気もする。
あまりにも1年が短かかったように感じるのは、そうした不安定な環境のなせるところでもあるのだろう。

そんな1年の備忘録として、印象に残った本や映画などをいくつか留めておこうと思う。
ただし、これらは必ずしも2020年に刊行・公開されたものだけに限らない。
あくまで、個人的に今年、自分が触れたという括りである。

印象に残った本ベスト20(順不同)

①和歌史
②四季の創造
③菊地成孔レクイエムの名手
④宮沢賢治と法華経
⑤リスクの立憲主義
⑥オードリー・タン
⑦哲学の誤配
⑧ブッダが考えたこと
⑨信長が見た戦国京都
⑩宿所の変遷からみる信長と京都
⑪眼の神殿
⑫砂と人類
⑬台湾レトロ建築案内
⑭才能をひらく編集工学
⑮歪んだ正義
⑯ⒷⓁが開く扉
⑰「線」の思考
⑱三島由紀夫悲劇への欲動
⑲コロナの時代の僕ら
⑳もてなしとごちそう

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雑多なラインナップだなと思う反面、一見バラバラにも見えるテーマが自分のなかでニューロンのようにつながり合っている気もして面白い。

【追記】
大事な本を忘れていた。
プラープダ―・ユンの『新しい目の旅立ち』だ。
内容はもちろん、タイ文学という時宜性、翻訳も装丁も見事。

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印象に残った展覧会ベスト5(順不同)

今年は展覧会そのものに行く回数が著しく減った。それだけに足を運んだ展覧会は濃厚な余韻を残している。

①STARS(森美術館)
②Uncertain(スカイ・ザ・バスハウス)
③宮島達男「クロニクル 1995-2020」(千葉市美術館)
④桃山――天下人の100年(東京国立博物館)
⑤敦煌写経と永樂陶磁(三井記念美術館)

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印象に残った映画ベスト5(順不同)

ソンランの響き(ベトナム)
その手に触れるまで(ベルギー・フランス)
罪の声(日本)
君の心に刻んだ名前(台湾)
インサイダーズ/内部者たち(韓国)

映画も試写会は1度も行かず、わずかにDVDやオンラインでの視聴によった。映画館に足を運んだのは3回だけだった。
『ソンランの響き』と『君の心に刻んだ名前』は、同質のテーマを扱っているが、描き方が全く対照的。
そこには、いまも保守的なベトナムと、戒厳令下からアジアで最初に同性婚が合法化されるまで変化を遂げた台湾のコントラストが見える。
同時に、どちらも70年代や80年代の社会状況をしっかり描きこんでいる点は共通しており、キャスティングが抜群に成功している点も通じ合う。
『君の心に刻んだ名前』(原題:刻在我心底的名字)はクラウド・ルーの歌う主題曲が劇中でも重要な役割を果たす。
巨匠ダルデンヌ兄弟の『その手に触れるまで』はイスラム過激派の洗脳を受けた少年が主人公で、『罪の声』はグリコ森永事件を想起させる事件に利用された子どもが主人公。
日本映画には失望することのほうが多いなか、『罪の声』は久々によくできたと感じられた作品だった。

印象に残った料理(番外編)

これほど外食しなかった年は人生で初めて。そんななかで年末に日本料理の名店「藤よし」でいただいた料理は、いままでに食べた和食の最高峰だった。

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