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結婚、夫婦って意味あるのか?

結婚(けっこん)とは、配偶者と呼ばれる人々の間の、文化的、若しくは法的に認められた繋がりの事で、配偶者同士、その子との間に権利と義務を確立する行為である[1]。それはほぼ普遍的な文化[2]であるが、結婚の定義は文化や宗教によって、また時間の経過とともに変化する。
〈Wikipediaより〉

私には幼い頃から結婚願望がなかった。
結婚して、いま現在の日々が不思議である。

俗にいう言葉で、たかが紙切れ一枚の関係、なんていうけど、結婚してはれて夫婦となって何か変わるのだろうか。

私が向島で座敷に出ていた頃、「結婚」に興味が湧いたお席の話。


もう今はほぼ消滅したであろう「戦友会」がその日向島で行われていた。

当時で90代位のメンバー4人が集まった。
その会の名の通り、戦争で一緒に戦った友たち。
皆、戦争から帰ってきて我が国の高度経済成長期に活躍した人。

大学病院理事長
プロ野球球団元社長
大手企業創業者
東京弁護士会元会長
だった気がする。

彼らは
「一昔前はねぇ、二階の大広間にもぎゅうぎゅうなくらいの人数できていたんだよ、どんどん死んでっちゃって、俺ら4人になっちまったよ」
なんて言っていた。

あの戦地に行って生きて帰ってきた仲間たち、それはそれは固い絆で結ばれているのだろう。

そして彼ら4人の共通点は同じ部隊にいた、だけではなかった。もうひとつの共通点は全員「やもめ」であった。

ピタリと話題が途切れると、誰かが妻の話をする。
すると誰かがそうそう、そうなんだよ、うちのヤツもだよ。また誰かがうちのヤツはね。
亡くなった妻の話をなんとも嬉しそうに、今もすぐ自分こ隣に居るかのように話す。

彼らは一般的に見て成功者。
銀座に行けば女は寄ってくる。
浮気どころか愛人を囲ったり、妻を泣かせたことも沢山あったらしい。

「でもね、俺らは酷いことをしてきたんだけど、アイツが死んでしまったら、あんっなにいい女どこ探してもいないんだよ。そりゃあ、ちょっと美化しちゃってるかもしれないけど、あんないい女と結婚できて俺はラッキーだよ」

そうそうそうそう、一同に、噛み締めて頷く。

「だからねぇ、今あんたたちがここにいるけど、女を口説こうなんて全く思わないもんなんだよな。女房が一番美人なんだから」

一同頷く。

そうなのか。
子供がいなければ、それこそ紙切れ一枚の関係なのかな、など思っていたけど、結婚とは、この人と添い遂げる、その覚悟があってであり、その覚悟は相手に伝わる。
互いにそれを認識して、だからこそ浮ついたり傷付けたりもするけれど、どちらかが居なくなった途端、急に熱烈に恋しくなるもの、なのかなぁ。

彼らの妻たちは自身の死後にようやく愛情表現をしてもらえるのだけど、確実に夫から愛されている。それも凄まじい愛。

この日、強烈にこの妻たちが羨ましくなり、私もいつか結婚して凄まじく愛されたい、まあ無理だろう、そんなことを思った。
でも確実にこの日「結婚」に興味をもち、いま私が既婚者であるのはこの4人の影響。

きっとこの「戦友会」、とうに消滅しただろう。
だが、私の人生を左右するひとつのことを教えてくれた。
「結婚」した夫婦は裏切っても何をしても、それは強烈に、死後も愛し合い続けている。

どちらかが先に死に、もう一方が恋しくなることで、死への恐怖も和らぐ。死んだら愛する人がいるわけだから。

今ごろ4人はあの世で夫婦揃って、この世ではできなかった愛の日々を育んでいるのだろう。

さて我々夫婦はどうだろうか。
わからない。
けど、確実にお互いが一緒に居たくて居るわけだから死後は今みたいに、なかなか言えない「ありがとう」「ごめんね」が言えてますように。

終わり

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