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短編 ヤクザな日々「カーナビ」

25歳から始まった翁との日々。
翁は元ドヤクザ。
足を洗ってからも、その人脈をうまく使い成り上がった。
現役ヤクザとの交流も多々あり、私もたくさんの場に同席した。

翁の同期なので、皆老人。
有名なところでいえば渋谷の元親分安藤昇さん、並木一家の津久井親分など。
既にその頃の首領は、翁など雲の上の存在で直に会うことはなかった。

昔は血気盛んだったのだろうが、落ち着き、ひょうきんで優しい、ただのおじいちゃんだった。
皆あの世である。 


しかし、そんな翁との日々もありつつ、私は28歳の頃、外国人のマフィア(A)と交際し始めた。
そのAは自国の政府に入り込み、国有地のその国の広大な名産物畑を買い取り、その国の大将だった軍人を莫大なギャラで引き抜き、自分のSPにしていた。

表から見ると、Aはその国の英雄だった。
日本で同じことをしたとしても、まあ、凄いがそこまでではない。
しかしその国では、ある競技で世界的に通用する腕を持つA、それだけで国民は魅了され、彼をその国のスターとして崇め、日本でいう国民栄誉賞的なのもの貰った。
空港や高級デパートにはAのグッズの店もある。
その人気は大統領よりも凄く、ミス○◯の審査員には必ず呼ばれるし、政治的な活動もしていた。

そんなAはあるゆるマフィアと繋がっており、違法な斡旋業も沢山していた。
日本で繋がりが深かったのが稲川会山川一家と関東連合と、大物政治家、芸能界のドンと言われる人(ジャニーさんではない)、格闘団体のボス、など。

私はAと交際していた一年ほど、川崎が拠点の山川一家の人々と行動を共にした。

当時のヤクザはベンツなど外国車ではなく既に国産車だった。
アレはおそらくアルファードのような大きな車だった。

翁車ではまずないが、この時は何故か助手席に乗ることが多く、大きい画面のカーナビを見ると、パトカーの位置が全部表示されていた。
ゆっくり動くそれもあるし、スピードを出しているそれもある。無線の音声もよく聞こえた。
成程、これならば捕まる心配がない。これは一般的にイオンのところで見張っているような、左折禁止や速度オーバーの、揚げ足取り的な取りしまりの時に大変役に立つなぁ。

免許のない私は、最近のカーナビは進化しているなぁと思っていた。

その後Aの2人目の妻への嫉妬で、彼とは揉めに揉め、しまいにはAは翁を殺すと言いはじめ、騒ぎになった。
その様子はまた別の短編で書こうと思う。

私は夫と出会い、結婚した。
子供が生まれてすぐ、中古車を買った。

日々の移動で車に乗る。
カーナビを見て、パトカーが近くにいたので

「ここにパトカーがいるねぇ」
「え?これは交番のマークだけど」
「そうなの?であれば、これは、どこにパトカーがいるかわからないタイプのカーナビなの?」
「え?そんなものあるわけないよ」
「え?」 

つまり、この時知ったのは、パトカーの場所が全てわかるタイプのカーナビは、警察とズブズブのヤクザ車ならではカーナビであった。

確かによく考えたら、皆それがわかってしまったら警察も取り締まり数が減ってしまう。
ズブズブのヤクザにはやらないけど、日々税金を納めている善良な国民には積極的に取り締まり、即座に罰金を請求する。

それが日本の警察なのだなぁ。

というヤクザな短編。
また何か思い出したら書こう。

一旦終わり



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