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長編連載小説「クラリセージの調べ」

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「澪標」鈴木澪の妊活編です。
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#出涸らしのティーバッグ

連載小説「クラリセージの調べ」1-1

※ さくらゆきさんの描いて下さった二人の姿です。小説と一緒に、ぜひご堪能下さい。  新型…

may_citrus
6か月前
93

威厳

さくらゆき
4か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」1-2

 祖母と紬さんが揃ってお手洗いに立ったとき、結翔さんがアクリル板越しに尋ねる。 「ここは…

may_citrus
6か月前
66

連載小説「クラリセージの調べ」1-3

小山市で授業と部活指導に明け暮れる結翔さんと、高崎市で人材派遣の仕事をする私は、なかな…

may_citrus
6か月前
74

連載小説「クラリセージの調べ」1-4

 コートを着ていても木枯らしが肌を刺す一月の日曜だった。市川家と鈴木家は、結翔さんの友人…

may_citrus
6か月前
71

信頼

さくらゆき
6か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」2-1

   結翔くんは、毎朝6時半に起床し、疾風のように身支度と朝食を済ませ、7時に家を出る。私はそれに備え、5時半に起きて朝食の準備をする。  朝食は、大きなおにぎり1個、野菜たっぷりの味噌汁と玉子焼き。朝食に何が食べたいかを尋ねた時に言われたメニューだが、義両親の住む母屋で食べていたものだとわかった。一人暮らしが長かった私は、離れに住んでも母親に食事を作ってもらっていたことに違和感を覚えたが、彼が環境を大きく変えずに仕事ができるのが一番なので、同じメニューを引き継いだ。食べ終

連載小説「クラリセージの調べ」2-3

 母屋の庭には、お義父さんが孫のために作った2メートル四方の砂場がある。子供用の小さなシ…

may_citrus
6か月前
69

連載小説「クラリセージの調べ」2-4

「じゃあ、行ってくるわね~。お父さんには言ってあるから、何かあったら、声かけるといいわ」…

may_citrus
6か月前
65

連載小説「クラリセージの調べ」2-5

 朝から蝉の鳴き声が喧しい土曜日。結翔くんは部活の指導に出かけた。夏休みも終わりに近いの…

may_citrus
6か月前
68

連載小説「クラリセージの調べ」2-6

 紹介状なく特定機能病院を受診したので、保険外療養費に3000円ほど取られることを気にしつつ…

may_citrus
5か月前
66

連載小説「クラリセージの調べ」2-7

 皇太郎くんの陽性の連絡をもらってから、私は濃厚接触者として隔離生活に入った。結翔くんに…

may_citrus
5か月前
68

連載小説「クラリセージの調べ」3-1

 2週間後にようやく予約が取れた不妊治療外来は、待合室のソファが埋まるほど混みあっている…

may_citrus
5か月前
82

連載小説「クラリセージの調べ」3-2

 風呂掃除用のゴム靴を履き、バスタブと壁をシャワーで洗いながら、瑠璃子のことを考える。  彼女とは小学校時代に通っていた体操教室で出会い、中学の体操部でも一緒になった。彼女は私と同じくらい小柄だ。それでも、気品のある顔立ちで、スリムでもバストはふっくらしていて色気があった。才色兼備の彼女は、一際目を引く存在で、皆の憧れの的だった。  私は彼女の親友として一目置かれ、スクールカーストの上位に引き上げられた。そんな中学時代は刺激的だった。ただ、人一倍プライドの高い彼女が、そ