マガジンのカバー画像

ピアノを拭く人 [長編小説] (完結)

54
彩子が出会った素敵なピアノを奏でる男性は、些細なことが気になって居ても立ってもいられなくなる病に悩まされていた。
運営しているクリエイター

#新型コロナウイルス感染症対策

ピアノを拭く人 第3章 (1)

 温かい爽健美茶が、本社での仕事で強張った身体に、じんわりと染みわたる。彩子は、緊張がほ…

may_citrus
3年前
92

ピアノを拭く人 第3章 (8)

 年の瀬が迫っているが、車は思ったよりスムーズに流れている。新型コロナウイルスの感染者数…

may_citrus
3年前
77

ピアノを拭く人 第3章 (9)

 桐生のカウンセリング室の『睡蓮』は、今日も優しく2人を迎えてくれる。 「お店でのお客様へ…

may_citrus
3年前
92

ピアノを拭く人 第3章 (10)

 雀のさえずりで、目を覚ました彩子は、寝起きの頭をフル回転させ、自分がどこにいるのかを考…

may_citrus
3年前
97

ピアノを拭く人 第4章(2)

 透の交友関係は、知らないに等しい。誰に紹介されるのか考えても、何も浮かばない。過去に関…

may_citrus
3年前
115

ピアノを拭く人 第4章(10)

 Zoomセミナーの開始時間まで、透がピアノで奏でるベートーヴェン 交響曲第9番の第3楽章が流…

may_citrus
2年前
123

ピアノを拭く人 第4章(11)

 前半を終えた4人がミントウォーターで喉を潤しているとき、彩子は桐生と透と共に、座る位置の確認をしていた。  黒白の弁慶格子のスーツをまとった彩子は、三脚に乗せた録画用のデジタルカメラ越しに、いつになく洗練された透の姿を見つめていた。濃紺のスーツ姿のトオルは、空色のネクタイを締め直しながら、黒スーツを着た桐生と談笑している。事前に桐生と、話す内容と大まかな流れを打ち合わせてあるので、彼に不安の影は見られない。  彩子の両親がセミナーを視聴していることは透に伝えていない。